劇場彷徨人・高橋彩子の備忘録

演劇、ダンスなどパフォーミングアーツを中心にフリーランスでライター、編集者をしている高橋彩子の備忘録的ブログです。

『コースト・オブ・ユートピア』と魔法の入れ物

2009-09-20 00:20:35 | 観劇
『コースト・オブ・ユートピア』@シアターコクーン


19世紀ロシアの貴族や知識人たちがヨーロッパ各国を舞台に繰り広げる人間ドラマ。
しかもカタい思想・哲学あり洒脱な恋愛あり……と、日本人には敷居が高そうな
諸条件をクリアした舞台は、想像以上に魅力的だった。

12:00開演で終演は22:20。休憩時間を除いても正味9時間近く。
どうなることかと思ったが、シンプルながら趣向を凝らした舞台は
洗練されて美しく、転換のスピードやバランスもいい。
俳優のせりふも明瞭で、演技にも隙がない。配役も的確だったように感じた。
とくに膨大な長台詞もよどみなく言い切り演じきった阿部寛、
そして、演技巧者ぶりを見せて舞台を引き締めた勝村政信の功績は大きい。

長編だけに仕上げる時間は限られていたであろうから、
公演中日近くというタイミングがちょうど良かった可能性も。
ともあれ、あれこれ言うのは簡単だが、今の日本ではやはり
蜷川幸雄の演出でなければ、これほどの大作はなかなか上演できないだろう。

なお、チラシにある程度の筋や時代背景は頭に入れておいたほうがいいかもしれない。
それらが未知の状態で長時間、言葉の隅々まで追うのは、脳が疲れると思われるから。

ちなみに↓本日のお役立ちアイテム


数日前に魔法が「解けて」保温・保冷できなくなってしまった先代魔法瓶に
紅茶を入れ、二代目を開演前に購入して、急ぎ、移し換えた次第(笑)。
温かい飲み物がないとつらいタチなので、大変心強かった。
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『音楽の友』10月号/取材先... | トップ | ダンストリエンナーレ開幕(... »
最新の画像もっと見る

観劇」カテゴリの最新記事