◎ 田中聡史さんの「服務事故再発防止研修」強行に抗議する声明
本日(6月15日)、都教委は、被処分者の会による中止の「申し入れ」(6月14日)にもかかわらず、3月の石神井特別支援学校卒業式での「君が代」斉唱時の不起立を理由として懲戒処分(減給10分の1・1月)を受けた田中聡史教諭に対する「服務事故再発防止研修」を強行した。私たちは、憲法に保障された「思想・良心の自由」と「教育の自由」を踏みにじり、「服務事故者」というレッテルを貼り、反省や転向を迫る「再発防止研修」の強行に満身の怒りを込めて抗議するものである。
同研修については、「繰り返し同一内容の研修を受けさせ、自己の非を認めさせようとするなど、公務員個人の内心の自由に踏み込み、著しい精神的苦痛を与える程度に至るものであれば、そのような研修や研修命令は合理的に許容される範囲を超えるものとして違憲違法の問題を生じる可能性があるといわなければならない」(2004年7月 研修執行停止申立に対する東京地裁決定 須藤典明裁判長)との司法の警告が発せられている。
しかるに都教委は、毎年「再発防止研修」を繰り返してきたのみならず、2012年度より、内容を「地方公務員法(服務規律)について」に「教育における国旗掲揚及び国歌斉唱の意義と教職員の責務について」を加え、事前課題(受講前報告書)の作成、長期に亘る所属校研修の導入、2回のセンター研修の義務付けなど、再発防止研修を質量ともに強化した。
このような「研修」は、明らかに受講者に思想転向を強要するもので、上記東京地裁決定(2004年7月)に反して「思想・良心の自由」を真っ向から踏みにじるものであり、断じて許すことができない。
本日の「研修」は、「平成28年度、服務事故再発防止研修の実施について(通知)」(6月2日 教職員研修センター所長伊東哲)に基づく「所属校研修Ⅱ」(6月15日、7月15日、8月29日の3回)の1回目で、教職員センターに呼び出して受講を強制するものである。従来通り所属校で所属校研修を行っている他の被処分者と異なり、田中さんだけを研修センターに呼び出すなど、個人を狙い打ちにした威嚇、弾圧である。
更に重大なのは、これまでとは異なる内容の同通知を発出した意図・理由を本人には全く説明せず、また事前に授業・行事などの予定・計画などを一切聞かず、一方的に期日を決め研修センターへ呼び出しての研修を命令していることである。
これは、午前中の学校での勤務、子どもたちへの指導を不可能とさせ、授業・担任の仕事に支障を生じさせ、子どもたちへの教育的配慮を欠き、学校の教育活動に問題を生じさせるものである。
このような「研修」が、「教諭は児童の教育をつかさどる」とする学校教育法や「教員は、授業に支障のない限り…勤務場所を離れて研修を行うことが出来る」とする教育公務員特例法にも反することは明らかである。
教員を本来の職場である学校から引きはがし、「不要不急」の研修を課することは、教育活動よりも、違憲・違法な研修を優先するものであり、教育に責任を持つ教育委員会として断じて許されるものではなく、教育行政に対する都民の期待に背くものである。
受講対象者は、すでに不当にも処分を受け、「思想・良心の自由」を圧迫され、著しい精神的苦痛と経済的損失を与えられている。これに加えて度々行われる「再発防止研修」は、「研修」という名を借りた実質的な二重の処分行為であり、「懲罰・イジメ(精神的・物理的脅迫)」により被処分者に思想転向を強要するものである。
本日の研修の中止、及び今後に「予定」している所属校研修、センター研修などすべて中止を要求する。
私たちは、決して都教委の「懲罰・弾圧」に屈しない。東京の異常な教育行政を告発し続け、生徒が主人公の学校を取り戻すため、広範な人々と手を携えて、自由で民主的な教育を守り抜く決意である。「日の丸・君が代」強制を断じて許さず、「再発防止研修」強行に抗議し、不当処分撤回まで闘い抜くものである。
2016年6月15日
「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会・東京「君が代」裁判原告団
共同代表 岩木 俊一 星野 直之
【連絡先】近藤 徹(事務局長) 携帯090-5327-8318 e-mail:qq947sh9@vanilla.ocn.ne.jp
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