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パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

元山仁四郎氏(「辺野古」県民投票の会代表)15日から宜野湾市役所前でハンガーストライキに突入

2019年01月19日 | 平和憲法
 ◆ ウーマン村本氏にハンスト青年が語った言葉 (ハーバービジネスオンライン)
   ~「投票で選ばれた市長が、市民の投票する権利を奪うことは許されない」
渡瀬夏彦(ノンフィクションライター)


急遽沖縄に駆けつけた村本大輔氏と、ハンストで「住民投票不参加」への抗議を行う元山仁四郎氏

 ◆ 「県民投票阻止」策を練ってきた自民党
 沖縄県では、県議会での条例制定の手続きを経て、米軍基地建設に埋め立ての賛否を問う「辺野古」県民投票が2月24日に行われることになっている。しかし、そうはさせじとする勢力の妨害活動も激しい。
 自民党本部では、じつは2018年7月頃からこの「県民投票」を阻止するための研究を重ねてきていた。そのことを堂々と明かしたのは、石垣市議会議員(自民党石垣支部幹事長)の砥板芳行氏
 同年12月15日の浦添市内の集会で正直に語った内容が、右派系インターネット放送「チャンネル桜 沖縄支局『沖縄の声』」の同年12月18日放送分で公開されたのだ。
https://youtu.be/HEki9QQcmis?t=3360
 彼は明確に、この自民党本部の研究結果を受けて、県民投票反対意見書可決や予算案否決をしていこうという動きになったと述べている。(※動画の終盤、放送開始から56分以降)
 一部の自治体ではその研究をもとに、市町村議員が県民投票実施予算案(誤解のないように述べれば、これは県の全額補助による予算)を否決し、そして首長らが「議会の議決は重い」として「県民投票不参加」の意思表示をする。
 そういう流れを準備してきたのが、自民党本部である。安倍官邸がこの動きを是認していることは想像に難くない。
 その後、宮崎政久衆議院議員(沖縄2区で惨敗し、自民党比例区九州ブロック復活当選を繰り返している代議士)が、12月上旬の県内自民党地方議員の勉強会で、県民投票予算案否決から首長の不参加表明に至る流れをつくる指南役を務めていたことも発覚した。弁護士資格を持つ宮崎氏が、地方自治法の解釈を文書として示し、県民投票を否定する地方議員たちを擁護するレクチュアを行っていたのである。
 結果、1月14日までの時点で、宮古島市、沖縄市、宜野湾市、石垣市、うるま市の5人の保守系市長が、案の定「議会の議決は重い」「普天間基地の危険除去という原点がおろそかにされている」「賛成、反対の2者択一でなく、やむを得ない、どちらとも言えないの四者択一ならばよい」といった自民本部や安倍官邸や県議会自公会派の主張の受け売りのような見解表明とともに、県民投票への不参加を決めるに至った。
 ◆ 民主主義の危機にハンストで抗う青年

 この5市の有権者人口は県全体の3割強の36万人に上り、それだけの人が投票したくても、投票の権利自体を、奪われることになってしまう。
 このままでは、例えば県民投票実現のための署名活動から奔走してきた「『辺野古』県民投票の会」代表の元山仁四郎氏(宜野湾市民)や玉城デニー沖縄県知事(沖縄市民)も県民投票で1票を投じることができなくなる。
 元山氏は、自身を含めて当然認められるべき市民の権利が、市民が選んだ議員や首長によって奪われる、という理不尽な状況に抗議して、15日朝8時から宜野湾市役所前でハンガーストライキに突入した。
 15日は所用で東京にいた筆者も、16日の朝8時半頃にはハンスト座り込みの現場へ駆けつけた。
 市役所の玄関先の敷地の片隅に夜露をしのぐためのキャンプ用簡易テントが設けられ、その傍らで彼は折り畳み式の椅子に腰かけ、全国紙記者の取材を受けていた。
 そこへ宜野湾市役所職員が現れ、市の規定として、ここは使用許可を得てからでないと使用できない場所だと告げに来た。この担当者は非常に紳士的な穏やかな態度で、違う意見を持つ市民から苦情が来ていることも明かした上で「注意に来ました」と話した。
 元山氏は、「わかりました、一旦撤去します」と答え、次の瞬間、簡易テントは彼の友人たちが片付け始めた。
 午前10時頃、そこへある著名な人物が現れた。2017年の暮れの「THE MANZAI」以来、「社会問題・政治問題」をネタにした漫才や独演会で注目されているウーマンラッシュアワーの村本大輔氏である。ハンスト中の元山氏に会うためだけの目的で、朝の飛行機で東京から駆け付けたのだ。
 じつは筆者は、前夜の時点で村本氏が来沖することを知り、その即決の行動力に感心し、彼の到着前から現場で待ち構えていた次第である。
 二人の対話は、村本氏が元山氏にインタビューする、という形で始まった。

 ◆ 「声をあげる勇気に感動した」と村本氏

 村本:県民投票をやらないという市長がやると言ってくれるまでハンストをやる、水しか飲まず座り込む、というのは、どういう覚悟で始めたんですか?
 元山:いきなりハンストをやろうと思ったわけではなくて……。

 と、元山氏は、東京の大学院を1年間休学することを決め宜野湾市内の実家に帰り、県民投票の会の代表になり、「米軍基地建設のための辺野古の埋め立ての是非」について県民みんなで議論して意思を示しましょうと2カ月間県内を駆けまわって署名を集め、県議会で県民投票実施の条例ができるに至った経緯から説明し始めた。
 村本氏はそこでさらに質問を重ねた。

 ◆ 原発のある土地に生まれた村本氏は元山氏の立ち上がった勇気に称賛の声を送った
 村本:元山さんは、普天間が地元でしょ? 僕は福井の原発のある大飯町で育った人間として「原発反対」と言いにくい空気があるのを知ってるわけです。だから、基地のある宜野湾市に育った元山さんが、いろんな声、例えば基地の問題を言う元山さんを煙たがったり、基地について変なことは言わんといてくれという声もある中で、(「基地建設反対」の)声をあげるその勇気に感動したんですけど、元山さんの「行動し続けるエネルギー」はどこから出てくるんですか
 元山:いまの沖縄の置かれている現状が、あまりにも不条理じゃないか、というのがまずあります。
 そして、普天間基地をどうするか、とか、辺野古移設をどうするかねということに対して、自分の子や孫に絶対訊かれると思うんですね。「お父さん、あのとき何してたの?」と。「なんで辺野古の基地できてしまったの?」あるいは「どうして辺野古の基地建設を止められたの?」と。
 そのときに、そのときの政治家がどうだったとか言うんじゃなくて、自分の言葉で語りたいな、と。自分が何をしたか、を話したいと思ったんです。
 (複数の)市長や議員や議長の皆さんと会ってお話もしましたが、それでも不参加という意思は変わらないという現状を目の当たりにして、どうしたらもう一回考えてもらえるかな、どうしたら県民皆が投票できるようにしてもらえるかな、と考えました。
 署名してくれた人は約10万人です。全県の市町村から、法律で定められた数を超える署名が集まったわけです。その思いを無駄にしたくないんです。しっかり全県でやってほしい。
 村本:元山さんは、地元で生まれ育って基地があるのは当たり前だと思っていたんですよね。それが大学に入り東京で生活して気持ち変わった、と? 基地問題への無関心さを感じることも?
 元山:たしかに、沖縄出身だというと、まず、羨ましいねという反応が返ってくることが多いです。その人たちは青い空、青い海、美味しい食べ物とかお酒とか、いろんなことを思い浮かべてのことだと思います。でも、言われる側は複雑で、そういう面もあるけれどもそうでない基地問題で地元が分断されたりする苦しい状況があるので素直に喜べないところ。
 村本:ネットなどでは「辺野古の人たちは(基地建設を)OKしているんじゃないか」とよく言われますね。それについてはどう思いますか。
 元山:自分も実際に辺野古の集落で何人かから話を聞いたことがあります。やっぱり両方の立場の人があります。反対だという立場で頑張ってきた人もいれば、仕方がないんじゃないか、という人も。でも賛成だという人はなかなかいないんですよね。20年も続いた問題を造らせることで終わりにしたい、いう人はいますが。
 しかし、自分たちが嫌だなぁと思う普天間基地を、名護市の辺野古の人たちに押し付けるというのは、本当に苦しいことだと思ってます。母親が名護市の西側の出身ですが、そこには親戚も住んでいます。その人たちに新たな危険や騒音を押し付けるのはいやです。
 村本:僕が今日ここに来たのは、この問題は辺野古の人だけの問題じゃくて、日本のことだからです。沖縄の基地のことは、日本のニュースになかなかならない。(2016年に)殺されたあの女の子の賠償は、だれがどういう風にしているのか、なんていうこともまったくニュースにならない。沖縄への基地押し付けは、国民の意識のなかにある問題だと思うんです。
 元山:そうですね。歴史的にも、元々日本本土にあった米軍基地が沖縄に移された経緯があります。基地問題を、本土の人に見えなくさせてきています。本土の人が騒いだら問題になるけど、沖縄の人が騒ぐ分には問題ない、無視できる、と。これは物凄く理不尽だし、差別と感じざるを得ませんね。
 村本:元山さんは、基地を造ろうとする側の集会にも、一人で行ってますよね。よく行きましたね。
 元山:県民投票は反対だと言っている人たちのなかには、やはり辺野古に基地を造るべきだと言っている人もいるわけですが、県民投票でみんなの意思を示そうと呼び掛けているわたしとしては、いろんな人の意見を聞くことは大事だと思っています。
 ◆ 対談の最中も低空でオスプレイが飛んでいく「日常」

 ここで二人のすぐそばの低空をオスプレイが、低周波を含む騒音をまき散らしながら、2機通過していった。
 元山氏は、これが普天間の日常であり、子供の時はヘリなどに対して「うるさい!」と叫んでいたものの、長じるに従って、当たり前になってしまった、という実体験を村本氏に伝えた。
 村本氏は、元山氏が辺野古県民投票に反対する側(辺野古に基地を造るべきだと考えている側)の集会に一人で乗り込んでいった勇気を称えた。
 元山氏は、県民投票に参加するという当然の市民の権利が奪われる理不尽さについて、「2019年の民主主義国家といわれる日本において、こんなことがあってよいのか。投票で選ばれた市長が、市民の投票権を奪うことがあってよいのか」という表現をした。
 極々シンプルな真っ当な感想であった。

 元山氏に会うためだけに沖縄へ飛んできた村本氏が、何を言わんとしているのかは、明白である。
 自分は沖縄の人びとの痛みを見て見ぬフリをすることだけはできない。ところで、あなたはどうですか? という問いかけをしたかったのである。
 ここまで書いたところで、ハンスト3日目の元山仁四郎氏が、現場で記者会見に臨むという知らせが舞い込んできた。
 心身のエネルギーを消耗しつつある今、とまとまった会話ができるギリギリの状態かもしれない。今から駆け付けたいと思う。
 続編も、すみやかに書きたい。

 <取材・文/渡瀬夏彦>
 わたせなつひこ●28年の沖縄通いを経て移住13年目を迎えたノンフィクションライター。
『ハーバービジネスオンライン』(2019.01.18)
https://hbol.jp/183665
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