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パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

日弁連「国際人権に関する研究会」から

2012年01月02日 | 人権
 ◆ 日弁連「国際人権に関する研究会」(2011/12/7)から
■ 報告「自由権規約委員会一般的意見34(19条「意見及び表現の自由」)」について

 <第1-20項>意見及び表現の自由の内容 永野貫太郎弁護士(日弁連国際人権問題委員)
 <第21-36項>権利制限規定 東澤靖弁護士(日弁連国際人権問題委員会委員)
 <第37-52項>特定状況における制限の限定 上柳敏郎弁護士( 同 副委員長)
 ※全文翻訳(賀谷恵美子訳)アップロード済み → 20120101gc34wayaku.doc
 1,パラグラフ38についての質問と回答
 (1)「disrespect for flags and symbols(国旗やシンボルへの無礼)」が、最終版で新たに追加された意味

Q:Draft版(2010年10月)には無かった文言が追加されている。前後の脚注には、ホンジュラスなりザンビアなり根拠となった審査や先例の例示があるが、この文言には脚注がない。昨年10月から今年7月の最終版まで、世界中に国旗・国歌に対する敬意表明が社会問題になっている国が日本以外にあるだろうか。これは日本を念頭に置いた追加挿入と考えられないか。
A:確かにDraft版には無かった。挿入の経過については知らないが、日本を意識したことはありうる(パラ37では、「戸別訪問」「ビラ配付」の脚注に、はっきり「日本への総括所見」と記載している)。しかし、日本しか社会問題化していないかと言えば、米国の事例も多数あり、確言することは出来ない。
 (2)板橋高校卒業式事件への適用
Q:「laws should not provide for more severe penalties(より厳しい処罰を科してはならない)」とは、刑事罰の禁止の意味か。都教委の教育政策を批判する呼びかけをして刑事罰を科せられた板橋高校卒業式事件に適用できそうか。
A:penaltyとは、広く制裁の意味に使うが、法律用語としては刑事罰。ここに取り上げられた行為すべてに対して、絶対処罰禁止なのか、禁止する法律を作ることが許される場合もありうるのか、読み方が分かれそう。審査基準は、19条3項にある「必要性と比例性の厳格なテスト」が適用される。
 (3)大阪府教育基本条例案への適用
Q:「laws(法令)」という言葉が出てくるが、橋下大阪府知事が提案した国旗国歌への敬意表明を懲戒処分で強制する、府条例も含まれるのか。
A:パラ7には締約国の義務として、「国、地方もしくは地域(市町村)のどの段階であれ」と記されているように、「laws」には当然条例も含まれる。
 2,報告者の解説から、注目のポイント
 ○ 19条3項(権利制限規定)の適用に関する「脚注」の解説。

  「法律で定めがあること」 パラ24~27 脚注50,51,53,55,57,58
  「目的が正しいこと」
   (1)他者の権利 パラ28 脚注59,60,61,62
   (2)国の安全 パラ30 脚注67
   (3)公の秩序 パラ31 脚注68,69
   (4)道徳 パラ32
  「必要性」 パラ22,33,34,36 脚注42,70,71,73,74,75
 ○ パラ21 権利と制限、規範と例外が逆転してはならない。
 ○ パラ25 国に、無制約の裁量権を与えるものであってはならない。
 ○ パラ34 制約手段は、守られるべき利益に比例しなければならない。
 ○ パラ35 制限する場合には、直接かつ逼迫した因果関係を個別に個別具体的に証明。
 ○ パラ47 刑法の適用の抑制。
 ○ 一般的意見31(締約国の法義務)パラ8 国家は、人権を制約するのではなく、保護する積極的義務を有する。
※ "General Comment No. 34 on Article 19"(2011)
http://www2.ohchr.org/english/bodies/hrc/comments.htm
※ 「自由権規約委員会一般的意見34(19条「意見及び表現の自由」)」
全文翻訳(賀谷恵美子訳)アップロード済み → 20120101gc34wayaku.doc
※ 「一般的意見34」"パラグラフ38"だけの英文と翻訳文
http://wind.ap.teacup.com/people/5831.html

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