《朝日新聞「声」語り継ぐ戦争》
★ ムチにおびえた教育勅語暗唱
元教員 神戸 道(三重県94)
私は満州事変が始まる前、昭和4(1929)年の生まれです。女学校を卒業したのが昭和21年でしたから、学校生活ではずっと戦中を歩いていたような気がします。
尋常小学校3年生の時、担任の先生から教育勅語と歴代天皇のお名前を暗唱するよう命じられました。八つか九つの子どもにです。
つっかえると先生は寒竹のムチで男の子を打ちました。女子には机を打つだけでしたが、それでも体が震えました。
歴代天皇は「神武・スイゼイ・アンネイ」に始まって「長ケイ・後亀山」までは今でも言えます。教育勅語のほうは難しくて、やっとのことで「御名ギョジ」までたどり着きました。意味も分からずです。
せめて藤村やハイネの詩だったらどんなによかっただろうと、今は思います。
ムチで打たれる不安におびえながら暗唱させられた歴代天皇のお名前と教育勅語。その勅語を現代に生かそうという人たちがいるとは、考えもつきませんでした。
たとえ「中身がすばらしい」としても、その目的は天皇に従って命を投げ出せということなのですから。
しかも原爆投下を受けた広島の市長がです。私には納得がいきません。
『朝日新聞』「声:語り継ぐ戦争」(2024年4月18日)
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15914411.html?pn=3&unlock=1#continuehere
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