▼ 顔の傷補償、性差別は違憲の京都地裁判決が確定!
~障害等級の男女差、国は控訴せず…顔の傷めぐる京都地裁判決
6月10日厚生労働省は、5月27日の京都地裁の違憲判決を受け入れると発表しました。
いまも私たちの社会のなかに、「女性は見た目が第一」という考えをあたりまえに受け止める素地があるのではないか-。そんなことも考えさせられるとの信濃毎日新聞の社説が本質を突いた解説だと思います。国そのものが持っている、<女性は容姿だ>とする価値観、制度の中に多くある愚劣な女性差別のほんの一つの表れです。
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【信濃毎日新聞社説 6月18日(金)】
▼ 顔の傷の補償 「男」「女」と束ねずに
仕事中のけがで顔に傷あとが残った場合、男性への補償は、女性に比べて格段に低い。労働災害の補償をめぐる国の基準である。
顔に傷が残る苦痛は女性の方が男性よりも大きい-との考え方からという。
先ごろ京都地裁が、この基準を「不合理な差別的取り扱い」として、男女平等を定めた憲法に反するとの判断を下した。
元になったのは、京都府の男性の訴えだ。勤務中に大やけどを負い、顔や首にあとが残った。
地裁の判決はこうだ。外見に傷が残ることで本人が被る精神的苦痛などは、男女差が明らかではない。男性でも苦痛を感じることはあるし、現に原告の苦痛は大きい-。もっともな指摘である。
労災による後遺症に対しては、労災保険法に基づき労働者に一時金や年金が支給される。その基準となるのが厚生労働省の「障害等級」だ。傷や症状に応じて重い方から1~14級に区分されている。
顔などに大きな傷あとがある場合、女性の障害等級は7級になる。これに対し男性は12級。給付金額に大きな格差がある。
この障害等級の表が制定されたのは、戦後間もない1947年。補償に男女差を設けた背景には、女性の容姿に価値が置かれた当時の社会通念がある。
それが女性の能力を軽んじる傾向につながり、戦後も長く就労の幅を狭めてきた。そのことを心に留めおく必要がある。
いまとなれば“時代遅れ”の基準である。男なら顔に傷があっても苦にならないだろう-というのは、あまりに大ざっぱな決めつけだ。女性にだけ手厚い補償は、男女平等の徹底が図られる労働法制になじまない。
男性が裁判に訴えるまで、この障害等級は60年以上も放置されてきた。そればかりか、交通事故の自賠責保険額や犯罪被害者救済の給付金の算定などにもこの等級が引き継がれている。なぜ見直しの議論が起きなかったのか。関係省庁は重く受け止めるべきだ。
いまも私たちの社会のなかに、「女性は見た目が第一」という考えをあたりまえに受け止める素地があるのではないか-。そんなことも考えさせられる。
厚労省は地裁判決を受け入れ、障害等級の見直しに入る。ほかの省庁も対応が急がれる。
とともに、この機会に、各省庁は同じような規定が残っていないか点検してほしい。法律や制度のなかに埋もれている差別を見過ごさずに改めていくことだ。
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【共同通信】(2010年5月27日)
▼ 顔の傷補償、性差別は違憲 京都地裁、初の判断
労災で顔や首に大やけどをした京都府の男性(35)が、女性よりも障害等級が低いのは男女平等を定めた憲法に反するとして、国の補償給付処分取り消しを求めた訴訟の判決で、京都地裁は27日「不合理な差別的取り扱いで、違憲」と判断し、処分を取り消した。
原告側の代理人弁護士によると、性差別を理由に障害等級を違憲とした判決は初めて。
労災保険法に基づく厚生労働省令では「外貌(外見)に著しい醜状を残すもの」として顔などにけがが残った場合、女性の障害等級を7級、男性を12級と規定。
7級は平均賃金の131日分が年金として生涯にわたり給付されるが、12級は156日分を「一時金」として1回支払われるだけで、給付金額に大きな格差がある。
滝華聡之裁判長は、顔などに傷が残った場合の影響について検討し(1)就労機会の制約(2)本人の精神的苦痛―などの損失について「男女の差異は顕著でない」と判断。「男女によって5級もの差が設けられ、給付金にも大きな違いがあるのは著しく不合理だ」と結論付けた。
判決によると、原告の男性は1995年11月、勤務先で金属の溶解作業中に大やけどを負い、顔や首、腹部にあとが残った。園部労働基準監督署は2004年4月、ほかの症状を併合して11級と認定した。
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【産経関西】(2010年6月10日)
▼ 障害等級 「顔の傷」男女差見直し 京都訴訟、国が控訴断念http://www.sankei-kansai.com/2010/06/10/20100610-024884.php
転載元: 労働相談・労働組合日記
『今 言論・表現の自由があぶない!』(2010/6/25)
http://blogs.yahoo.co.jp/jrfs20040729/15369596.html
~障害等級の男女差、国は控訴せず…顔の傷めぐる京都地裁判決
6月10日厚生労働省は、5月27日の京都地裁の違憲判決を受け入れると発表しました。
いまも私たちの社会のなかに、「女性は見た目が第一」という考えをあたりまえに受け止める素地があるのではないか-。そんなことも考えさせられるとの信濃毎日新聞の社説が本質を突いた解説だと思います。国そのものが持っている、<女性は容姿だ>とする価値観、制度の中に多くある愚劣な女性差別のほんの一つの表れです。
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【信濃毎日新聞社説 6月18日(金)】
▼ 顔の傷の補償 「男」「女」と束ねずに
仕事中のけがで顔に傷あとが残った場合、男性への補償は、女性に比べて格段に低い。労働災害の補償をめぐる国の基準である。
顔に傷が残る苦痛は女性の方が男性よりも大きい-との考え方からという。
先ごろ京都地裁が、この基準を「不合理な差別的取り扱い」として、男女平等を定めた憲法に反するとの判断を下した。
元になったのは、京都府の男性の訴えだ。勤務中に大やけどを負い、顔や首にあとが残った。
地裁の判決はこうだ。外見に傷が残ることで本人が被る精神的苦痛などは、男女差が明らかではない。男性でも苦痛を感じることはあるし、現に原告の苦痛は大きい-。もっともな指摘である。
労災による後遺症に対しては、労災保険法に基づき労働者に一時金や年金が支給される。その基準となるのが厚生労働省の「障害等級」だ。傷や症状に応じて重い方から1~14級に区分されている。
顔などに大きな傷あとがある場合、女性の障害等級は7級になる。これに対し男性は12級。給付金額に大きな格差がある。
この障害等級の表が制定されたのは、戦後間もない1947年。補償に男女差を設けた背景には、女性の容姿に価値が置かれた当時の社会通念がある。
それが女性の能力を軽んじる傾向につながり、戦後も長く就労の幅を狭めてきた。そのことを心に留めおく必要がある。
いまとなれば“時代遅れ”の基準である。男なら顔に傷があっても苦にならないだろう-というのは、あまりに大ざっぱな決めつけだ。女性にだけ手厚い補償は、男女平等の徹底が図られる労働法制になじまない。
男性が裁判に訴えるまで、この障害等級は60年以上も放置されてきた。そればかりか、交通事故の自賠責保険額や犯罪被害者救済の給付金の算定などにもこの等級が引き継がれている。なぜ見直しの議論が起きなかったのか。関係省庁は重く受け止めるべきだ。
いまも私たちの社会のなかに、「女性は見た目が第一」という考えをあたりまえに受け止める素地があるのではないか-。そんなことも考えさせられる。
厚労省は地裁判決を受け入れ、障害等級の見直しに入る。ほかの省庁も対応が急がれる。
とともに、この機会に、各省庁は同じような規定が残っていないか点検してほしい。法律や制度のなかに埋もれている差別を見過ごさずに改めていくことだ。
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【共同通信】(2010年5月27日)
▼ 顔の傷補償、性差別は違憲 京都地裁、初の判断
労災で顔や首に大やけどをした京都府の男性(35)が、女性よりも障害等級が低いのは男女平等を定めた憲法に反するとして、国の補償給付処分取り消しを求めた訴訟の判決で、京都地裁は27日「不合理な差別的取り扱いで、違憲」と判断し、処分を取り消した。
原告側の代理人弁護士によると、性差別を理由に障害等級を違憲とした判決は初めて。
労災保険法に基づく厚生労働省令では「外貌(外見)に著しい醜状を残すもの」として顔などにけがが残った場合、女性の障害等級を7級、男性を12級と規定。
7級は平均賃金の131日分が年金として生涯にわたり給付されるが、12級は156日分を「一時金」として1回支払われるだけで、給付金額に大きな格差がある。
滝華聡之裁判長は、顔などに傷が残った場合の影響について検討し(1)就労機会の制約(2)本人の精神的苦痛―などの損失について「男女の差異は顕著でない」と判断。「男女によって5級もの差が設けられ、給付金にも大きな違いがあるのは著しく不合理だ」と結論付けた。
判決によると、原告の男性は1995年11月、勤務先で金属の溶解作業中に大やけどを負い、顔や首、腹部にあとが残った。園部労働基準監督署は2004年4月、ほかの症状を併合して11級と認定した。
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【産経関西】(2010年6月10日)
▼ 障害等級 「顔の傷」男女差見直し 京都訴訟、国が控訴断念http://www.sankei-kansai.com/2010/06/10/20100610-024884.php
転載元: 労働相談・労働組合日記
『今 言論・表現の自由があぶない!』(2010/6/25)
http://blogs.yahoo.co.jp/jrfs20040729/15369596.html
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