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パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

尊厳回復へ、ハンセン病家族訴訟

2018年05月24日 | 平和憲法
 ◆ 家族の訴え (東京新聞【本音のコラム】)
鎌田 慧(かまたさとし・ルポライター)

 この土日、那覇市や、名護市の国立療養所「沖縄愛楽園」で、ハンセン病市民学会が開催された。
 毎年、各地の療養所で回復された人たちの体験をうかがい、国の隔離政策の歴史と被害を学び将来の解決を考える集いである。
 いつも地元の学生や高校生たちがボランティアとして多数、運営に参加して頼もしい。
 ハンセン病は遺伝、感染する「業病(ごうびょう)」とされ、社会から激しく忌避されたのは、撲滅が政府方針だったからだ。それは犯罪的なまちがいだった。
 施設内での結婚は認められたが、出産は禁じられ、堕胎、断種の処置が強制された。手術の失敗で、生まれることができた子どもがいた、とは聞いていた。
 その父親(82)と娘(60)と孫娘(33)、三代のいのちが並んで涙ながらに訴えた。家族訴訟の原告である。
 父親のAさんが二十三歳のとぎ、園内で知り合った同病の女性と結婚、翌年、妻が妊娠した。しかし、園は堕胎を強制、胎児に注射した。ところが、僥倖(ぎょうこう)というべきか、失敗。女の赤ちゃんが無事に生まれた
 再手術が強要されたが、Aさんは断固拒否。祝福のない、園内の冷たい眼差(まなざ)しと空気は想像するだに恐ろしい。赤ん坊は実家に預けた。
 妻におなじ苦しみを与えないために、Cさんは断種手術に応じた。
 国の罪業に私たち「社会」の側はあまりにも無知、無関心だった。

『東京新聞』(2018年5月22日【本音のコラム】)

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