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パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

希望の灯は、都知事選への4野党共闘

2016年07月28日 | 平和憲法
 ◆ 参院選結果に見る光と影 (リベルテ)
弁護士 澤藤統一郎

 第24回参院選の結果が出た。光と影の両面がくっきりと現れている。大局的には影の大きな選挙結果だが、希望の光を見落としてはならない。
 壊憲勢力の徹底した争点隠しにかかわらず、客観的にこの選挙の最大争点は憲法問題だった。アベ政治が放擲した立憲主義を取り戻すことができるか否か。憲法に準拠して政治も行政も行うべしとする当たり前の大原則を、きちんと政権に守らせようとする立憲野党の議席を増やすか。あるいは、憲法をないがしろにして、あわよくば明文改憲を実現したいという壊憲勢力の議席を増やしてしまうか。
 その争点をめぐって、「立憲4党(民・共・社・生)+市民運動」と「壊憲4党」(自・公・維・こ)との対峙の構図が明確となった。
 その結果は、壊憲勢力に参院の3分の2の議席を与えるものとなった。衆院に続いて、両院とも改憲発議の条件を調えた。明日にも、改憲が実現するわけではないが、憲法は明らかにこれまでとは違った危険水域に達した。このことを心しなければならない。
 では、国民の過半が憲法改正を望んでいるのか。そうではない。参院選投票時に実施された複数大手メディアの出口調査では、憲法改正賛成意見は、反対意見に比較して少数である。
 共同通信も時事もNHKも同様である。他の調査も同様である。これを9条改憲の是非に絞って意見を聞けば、さらに反対意見が多くなる
 「安倍政権下での9条改憲」の是非を聞けば、反対派が改憲賛成派を圧倒するはず。この点には、自信をもってよい。
 明らかに、国民の憲法意識と国会の政党議席分布にねじれが生じている。国民は改憲の意思をもっていないのに、改憲勢力が改憲発議の内容とタイミングを決する権限を手に入れてしまった。今をそのように読み取るべきだと思う。
 今回選挙の希望の光は、立憲4党での共闘が進展し、32ある一人区のすべてで統一候補を擁立して壊憲派候補と切り結んだことである。その結果が11勝22敗
 「3分の2で負けた」ではなく、前回(2013年)通常選挙からの大きな前進を見なければならない。前回選挙では一人区は31。獲得議席は自民29、社大(沖縄)1、そして無所属1だった。
 無所属1は岩手県選挙区の平野達男、今回選挙のあと自民に鞍替えしたのだから、前回一人区は自民党の30勝1敗だったといってよい。そこからの巻き返しなのだ。
 とりわけ、注目選挙区の沖縄、福島では現職大臣を破っての当選だった。
 この一人区一騎打ちに投じられた票数合計はおよそ2000万。立憲派に900万票壊憲派に1100万票と振り分けられている。これが両陣営の実力差というところ。
 希望の灯は、都知事選への4野党共闘に受け継がれ、鳥越俊太郎という野党統一候補擁立となった。しかも、自公勢力は分裂している。
 首都東京から「ストップ・アベ暴走」の知事を誕生させる千載一遇のチャンスではないか。
 同候補公約の柱の一つが、「人権・平和・憲法を守る東京を」である。「憲法を生かした『平和都市』東京を実現します。」と訴えているのだ。この機会を生かしたいと思う。
 一方に「都政に憲法を生かす知事」誕生の希望があり、他方に改憲発議の恐れもある。
 仮に、改憲発議がなされるとすればその内容はどうなるか。いま、自民党が唯一の公式案としているものが、2012年4月発表の「日本国憲法改正草案」、立憲主義を否定し、平和を否定し、露骨に人権よりも国家の秩序を優先することを宣言する恐るべき改憲案
 人類の叡智が到達した普遍的原理としての人権思想や立憲主義を意識的に否定して、「日本に固有の歴史・伝統・文化を反映した、日本にふさわしい憲法」というイデオロギー。結局のところ、天皇制とナショナリズム鼓吹の憲法というのが草案の正体。
 草案は天皇利用の意図であふれている。言うまでもなく、天皇という神聖な権威の存在は、これを利用する為政者にとって便利この上ない政治的な道具。
 草案の第一章「天皇」には、「国旗及び国歌」「元号」の条文があり、驚くべきは「日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない」とまで書き込まれている。国家主義偏重憲法草案と言うほかはない。
 さらに、「草案」前文の第五項は「日本国昆は、よき伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため、ここに、この憲法を制定する」としている。「天皇を戴く国家を、末永く子孫に継承する」ことが憲法制定の主目的だというのだ。「君が代は千代に八千代に細石の苔のむすまで」を法文上の用語に翻訳して憲法前文に挿入したもの。
 私は、この「草案」を「君が代憲法」と呼ぶことにしている。私たちの眼前にある、光と影、希望と困難、その両者をともにくっきりと映し出した今回の選挙結果ではないか。
『東京・教育の自由裁判をすすめる会ニュース 第44号』(2016年7月23日)

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