「日の丸・君が代」強制反対・嘱託採用拒否撤回裁判 2008・12
■ 控訴審は今・・・「裁量権の濫用」にのみ興味を示す裁判官
11.13弁論 職務命令・「10・23通達」の違憲・違法性を問おうとしない裁判長に訴える
嘱託採用拒否撤回裁判は08年2月の一審判決後、私たち原告と都側双方で控訴しましたが、6月5日の控訴審第1回口頭弁論から5ヶ月も過ぎた11月13日にようやく第2囲の口頭弁論が開かれました。
15分という短い時間でしたが原告代理人の水口・秋山両弁護士から、
①「10.23通達」の「適法性」が国歌起立斉唱命令の「適法性」を検討する前提であること、および学習指導要領の大綱的基準論の意味について、
②期待権論・裁量権濫用論について、それぞれの内容が凝縮された弁論がありました。
「報告集会」 《撮影:平田 泉》
①は第1回口頭弁論と8月1日の進行協議において稲田裁判長が述べた「10・23通達が違法であれば、校長の職務命令も違法であるというのはよくわからない」、「学習指導要領は国の組織のあり方として作っているものでは……」といった疑問に答えたものです。
そもそも憲法19条や教育基本法10条などについて本質的に考えようとする姿勢を見せない裁判官に対し、基本の基本を繰り返し説かなければならないところにこの控訴審弁論の苦労があります。
②は同じく裁判長の「本件事案の争点は再雇用の期待権論、裁量権の濫用論という点にある」、「この点で原告の主張の分量が不足している」、「原告は通達や職務命令についてばかり述べているが、採用の裁量権についてもどうなるか分からない」といったような脅しにも似た言い方を受けての弁論です。
高裁が「日の丸・君が代」強制の本質的な問題を捨象し、この事案を一般的な採用問題に矮小化し、しかも採用拒否の合法性(=一審原告敗訴)を打ち出す危険性があるのではと私たちは危機感を覚えています。
■「10・23通達」以後の不起立が問題だとやっと気づいた?裁判長
続いて裁判長から訴訟進行について一審原告・被告双方にいくつかの質問が出されましたが、この事案に対する認識の浅さをあらためて感じました。
私たちは、嘱託採用時における校長の推薦書と面接票の提出命令を出すよう裁判所に申し立てていますが、それに対し都側は個人情報保護の関係等を理由に提出を拒んでいます。
そのことについて裁判長は都側に対し「原告が言うように、10・23通達後のだけの不起立が(採用拒否の)理由ということで良いのか」、「『成績不良』の中身として処分を受けた回数は争いがないということでよいか」といった不思議な質問をしました。
一見、"たった…回だけで採用を拒否したのか"と都側に確認しているように思えますが、この裁判は「10・23通達」が出されてからの採用拒否という問題ですから、「10・23通達」以前に不起立を繰り返したということはそもそも問題になっていないはずです。
2月に控訴してから9ヶ月が経っているというのに、裁判長は控訴理由書や準備書面等をきちんと読んでいるのか疑わしく思えてしまいます。
「10・23通達」や職務命令の違憲・違法性という重要な要素にたいして関心を示さず、ことさらこの文書提出の件にこだわっている裁判長は問題の本質を外すことに汲々としているかのようです。
それでも、原告代理人のねばり強い追求によって、被告都側に対し提出しない主張を意見書として示すことを求め、少なくとも校長推薦書、面接票に関する私たち一審原告側の文書提出命令申立てには関心を示すようになりましたので、これを手がかりにこの裁判の本質を理解してもらうよういっそう努力をしていきます。
それにしても、前途をいつでも断たれてしまうという難を含めて、前途の多難を思わせる第2回口頭弁論ではありました。
「日の丸・君が代」強制反対・嘱託採用拒否撤回を求める会
■ 控訴審は今・・・「裁量権の濫用」にのみ興味を示す裁判官
11.13弁論 職務命令・「10・23通達」の違憲・違法性を問おうとしない裁判長に訴える
嘱託採用拒否撤回裁判は08年2月の一審判決後、私たち原告と都側双方で控訴しましたが、6月5日の控訴審第1回口頭弁論から5ヶ月も過ぎた11月13日にようやく第2囲の口頭弁論が開かれました。
15分という短い時間でしたが原告代理人の水口・秋山両弁護士から、
①「10.23通達」の「適法性」が国歌起立斉唱命令の「適法性」を検討する前提であること、および学習指導要領の大綱的基準論の意味について、
②期待権論・裁量権濫用論について、それぞれの内容が凝縮された弁論がありました。
「報告集会」 《撮影:平田 泉》
①は第1回口頭弁論と8月1日の進行協議において稲田裁判長が述べた「10・23通達が違法であれば、校長の職務命令も違法であるというのはよくわからない」、「学習指導要領は国の組織のあり方として作っているものでは……」といった疑問に答えたものです。
そもそも憲法19条や教育基本法10条などについて本質的に考えようとする姿勢を見せない裁判官に対し、基本の基本を繰り返し説かなければならないところにこの控訴審弁論の苦労があります。
②は同じく裁判長の「本件事案の争点は再雇用の期待権論、裁量権の濫用論という点にある」、「この点で原告の主張の分量が不足している」、「原告は通達や職務命令についてばかり述べているが、採用の裁量権についてもどうなるか分からない」といったような脅しにも似た言い方を受けての弁論です。
高裁が「日の丸・君が代」強制の本質的な問題を捨象し、この事案を一般的な採用問題に矮小化し、しかも採用拒否の合法性(=一審原告敗訴)を打ち出す危険性があるのではと私たちは危機感を覚えています。
■「10・23通達」以後の不起立が問題だとやっと気づいた?裁判長
続いて裁判長から訴訟進行について一審原告・被告双方にいくつかの質問が出されましたが、この事案に対する認識の浅さをあらためて感じました。
私たちは、嘱託採用時における校長の推薦書と面接票の提出命令を出すよう裁判所に申し立てていますが、それに対し都側は個人情報保護の関係等を理由に提出を拒んでいます。
そのことについて裁判長は都側に対し「原告が言うように、10・23通達後のだけの不起立が(採用拒否の)理由ということで良いのか」、「『成績不良』の中身として処分を受けた回数は争いがないということでよいか」といった不思議な質問をしました。
一見、"たった…回だけで採用を拒否したのか"と都側に確認しているように思えますが、この裁判は「10・23通達」が出されてからの採用拒否という問題ですから、「10・23通達」以前に不起立を繰り返したということはそもそも問題になっていないはずです。
2月に控訴してから9ヶ月が経っているというのに、裁判長は控訴理由書や準備書面等をきちんと読んでいるのか疑わしく思えてしまいます。
「10・23通達」や職務命令の違憲・違法性という重要な要素にたいして関心を示さず、ことさらこの文書提出の件にこだわっている裁判長は問題の本質を外すことに汲々としているかのようです。
それでも、原告代理人のねばり強い追求によって、被告都側に対し提出しない主張を意見書として示すことを求め、少なくとも校長推薦書、面接票に関する私たち一審原告側の文書提出命令申立てには関心を示すようになりましたので、これを手がかりにこの裁判の本質を理解してもらうよういっそう努力をしていきます。
それにしても、前途をいつでも断たれてしまうという難を含めて、前途の多難を思わせる第2回口頭弁論ではありました。
「日の丸・君が代」強制反対・嘱託採用拒否撤回を求める会
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