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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

教育基本法の「改正」が家庭・学校にもたらしたもの

2010年06月18日 | 人権
 《第3回子どもの権利条約市民・NGO報告書をつくる会統一報告書》9-12-2
 ◎ 1947教育基本法の「改正」が家庭・学校にもたらしたもの

 06年に強行された1947教育基本法の「改正」が何をもたらしたか、ジェンダーの視点で改めて考えてみたいと思う。
 もともと第5条を削除すること自体が、本質的には「女性差別撒廃条約」違反だったのだが、「改正」当時にはこうした論調は大きく取り上げられることはなかった。このこと自体が「ジェンダー・バイアス社会」を物語っている。
 「改正」後の子ども・学校・家庭は具体的には、第三回政府報告書が高く評価している「教育再生会議」の発するメッセージ(07年1月、6月、07年12月)に翻弄された。その目的は子どもが高い学力をつけること(全国一斉学力テスト)、同時に高い規範意識を持つことであり、これが現教育基本法の第2条(道徳心一愛国心)、第6条2項(学習者の責任〉、第10条(家庭)に具現されている。
 そして、「家庭のしつけのいい子は学力が高い」という状況がつくり出され、自治体によってはあらかじめ子どもが守るべき項目を箇条書きにして、家庭でそれをチェックして提出させるところまで出てきている。学カテストで優劣を競わせ、さらにその優劣と家庭生活を比例させて子ども・学校・家庭を追い詰めるやり方である。
 また、上記のような政策が様々な形で子どもに直接に影響している。07年2月に文科省から出された「問題行動を起こす児童生徒に対する指導にっいて(通知)」のなかでも、子どもの自己責任を強調して、出席停止や警察への通報をためらわない、などきびしい指導を要請。新しく作られた「家庭教育手帳」(乳幼児から中学生のいる家庭に配布)の正体も、前記の第10条2項の「国などは保護者に対する必要な施策を行う(要約)」ことの具体化である。
 改訂学習指導要領(09年3月に官報告示で、小学校2011年・中学校12年・高校13年から完全実施)には、道徳教育の異常な強調と教育支配の強化、伝統・文化の強調と教育内容の組み立ての変更、つめこみ教育の推進と教育の格差などなどが押し寄せている。
 家庭科の関係者からは一様に小・中学校とも「消えた男女共同参画の理念」が指摘されている。そして、国の責任を免罪し、「食の安全の危機」や「労働問題」などの責任を、個人や家庭の自覚に求め、家庭教育の責任や自己責任が強調されている。
 いま国が目論む家庭像では、どうしても母親に重点がかかってくる。ジェンダーバイアス社会がそれをあと押しし、「男女の特性論」の復活につながりジェンダーや子どもの権利条約バッシングにもなるのだ。
 こうした中で「国連女性差別撤廃委員会」から、09年8月に「教育基本法に男女平等推進の再組み入れ」という画期的な勧告が出された。これはユニセフやILOがいう「ジェンダー・バイアス社会」の是正に重なる課題であり、ぜひ実現させたいと願ってやまない。

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