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パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

大阪府人事委 不当裁決への抗議文

2014年11月06日 | 日の丸・君が代関連ニュース
2014年11月4日
 大阪府人事委員会 委員長 栗原良扶 様
 ◎ 元大阪府公立学校教員Kさんへの裁決に対する抗議文
「日の丸・君が代」強制反対、不起立処分を撤回させる大阪ネットワーク
代表 黒田伊彦

 貴委員会は2014年10月15日、元大阪府公立学校教員Kさんの不利益処分に関する不服申立てに対して、「1 処分者が平成24年3月9日付けで申立人に対して行った戒告処分は、これを承認する。 2 処分者が平成24年3月19日付けで申立人に対して行った再任用の任期を更新しないとの通知の撤回を求める不服申立ては、これを却下する。」と裁決した。
 これは、以下に述べるように不当かつ不法極まる裁決である。
 私たちは府教委側が行った戒告処分再任用更新拒否に対し、主に以下の点について人事委員会の裁決に注目していた。
 ①府教委側の処分理由は、卒業式当日の校門外でのビラ配布にまで言及し、あたかもそれが校長の禁止命令を破った職務命令違反であったかのように描かれ、処分理由の一つとされている。勤務時間外のビラまきまで一校長の職務命令で禁ずるなど、明らかに言論の自由、表現の自由を封殺する違憲、違法な行為であり、ビラまきが処分理由になり得ない。
 ②勤務を要しない日(いわゆる「非番」)の職員に対して、「君が代」起立斉唱の教育長命令が有効であるはずがない。教育長の職務命令そのものが違憲、違法であり、また校長の当該に対する当日の行動への言及は職務命令でなく、「指導」(処分理由書)に過ぎない。
 ③再任用更新合格から取消に至るまでの間に発生した「勤務実績が良好でない」と府教委が判断するに足る事由は、不起立で戒告処分を受けたことでしかない。しかし同年同じ理由で戒告処分を受けたものが再任用している。強いていえば「意向確認」を一旦書き換えたことであるが、「意向確認」を一部削除しても合格しているものがいる以上理由とはならない。
 裁決はこれらの点につき以下のような判断を下した。

 (1)ビラ配布は戒告の処分理由にはならないとの当然の判断
 人事委員会も、勤務時間外の校門外のビラまきにはさすがに「懲戒理由とならないとの点は認められる」とせざるを得なかった。しかし、委員会は、ビラ配布の禁止を求める大澤校長の発言が職務命令としての要件を欠くから職務命令たり得ない、また当該校長の発言は憲法に定める表現の自由に反し違憲・違法である、との主張に何ら誠実な答えを示していない。曰く、大澤校長のビラ禁止発言は、指導にすぎず職務命令でないことは処分者も認めている、指導にすぎないものに違反したからといって、職務命令に違反したのではないから戒告の処分理由にならないと、逃げの一手である。
 ビラ配布があたかも不法行為であり処分理由の一つであるかのように書かれた府教委側の処分理由に対する断罪、大澤校長の禁止発言の違憲性そのものへの切り込みが人事委員会裁決には一切ない。言論の自由、ひいては一般に基本的人権の尊重に対する理解が、人事委員会側にも府教委側にも決定的に不足していること、この程度に軽視しても良いものだと思っていることを示す十分な証拠である。
 いずれにせよ、処分理由の一角は崩された。この一点からしても戒告処分は取り消されるべきである。
 (2)教育長は教職員一人一人の直接の「上司」?だから「教育長通達」は有効?
 裁決は、「府教育長は、府立学校教職員の指揮監督の系列における上位の職にあるもの者として、府立学校教職員に対して教育長通達を発することのできる職務上の上司に該当する」と断ずる。その理由は、「府立学校の任命権者は府教委であることから、府教委は、任命権者として、府立学校教職員の身分上の上司である」「教育長は、地教行法第17条第1項により、教育委員会の指揮監督の下に、教育委員会の権限に属するすべての事務をつかさどることとされている」からと、府教委と全く同じ理屈を述べる。だから、府立学校教職員に対し職務命令を発することができるというのである。しかし、府教委自身が認めているように、府立学校教職員の服務を監督する権限(指揮監督権)を府教委が有することの明文上の規定などどこにもない
 教育長が府立学校教職員の直接の「上司」であるなら、教育長はなぜ2012年1月17日に、教職員向けと校長向けの二種類の通達をわざわざ用意しなければならなかったのか。校長にわざわざ教育長通達が出ていることを言わせる必要などないではないか。卒業式・入学式の国歌斉唱時の起立・斉唱の職務命令は教育長のものだけで良いということになるが、人事委員会はそれをどう考えるのか、明らかにせよ。
 (3)「非番」の人間でも、教職員席に座れば職務命令は有効?
 そもそも教職員が、共に学校生活を送った卒業生の門出を祝って卒業式に参列する、参列したいというのは自然の情であり、それはその教職員が「非番」であっても同様である。まして日頃教職員として、他の教職員、生徒、保護者にも教職員であると認知されている以上、「保護者席」にすわって参列するなどというのは不自然極まりないことである。従って申立人が教職員席に座ったのもいわば自然の成り行きであった。
 もしこうした行為が法律上も道義上も許されないというならば、人事委員会は法律上、道義上の不当性をまず指摘すべきである。
 ところが裁決は、本件職務命令(教育長通達)が「非番であるか否かにかかわらず、教職員として式場に参列し、教職員席に着席する場合は、国歌斉唱時には起立して斉唱することを求める職務命令」であると断言する。申立人は「教職員席に着席して参列したことにより、当然に、申立人は本件職務命令をうける対象となり、これを遵守すべきこととなる」と断ずる。
 実際に教育長通達が要請する範囲、「非番」の教職員が「教職員」として卒業式に参加できない法的根拠、「非番」に職務命令が及ぶことの法的根拠付け、そもそも「非番」と職務命令(教育長通達)の法的関係、一般に「非番」の教職員と教育長、教育委員会、校長との法的関係等々に一切言及することなく、いわば卒業式の「君が代」斉唱時に教職員席付近に居合わせれば、何人といえども起立斉唱をするのだ、という乱暴・粗雑極まる「論理」で人事委員会は裁決を下した。
 (4)命令が出ていたことを認識していれば、職務命令は有効である? 事実としては職務命令は出ていない
 裁決は、申立人は教育長通達が2012年1月17日に教育長通達が出たこと、同2月14日には学校長の職務命令が発せられたことは知っているはずだという。さらに申立人は校長から「市民として」参列するのであれば「保護者席に着席するように」との説明(裁決書、処分理由書では「指導」)を受けていることから職務命令を認識していなかったはずはないという。
 すなわち、本人が直接職務命令を受けなくても、教職員としてどこかで聞いた職務命令ならばそれに服すのは当然、職務命令は有効、というのである。一体人事委員会は一旦出された教育長通達は、卒業式・入学式で「君が代」斉唱が行われる限り、大阪の教職員はいつまでもその対象になる、とでもいうのだろうか。しかし、申立人が職務命令を受けていないという事実は、学校長自身が審理の中で「休日なので職務命令は出せない」と発言している通りである。
 (5)実質解雇である再任用更新取消も不利益処分ではないとの門前払い
 再任用制度は、定年を迎え、年金支給が開始されるまでの間の生活保障としての意味を持っている。これに採用されないこと、まして一旦更新すると言われたものを取り消されるというのは、再任用を求める者にとっては一挙に生活設計を狂わせるものであり、老後の生活そのものを不安定にさせるものである。これに採用されないこと、更新を拒否されることは実質的な首切りであり、実質上の解雇と思えるが、人事委員会はそうは判断しない。
 すなわち、「再任用が更新される場合は、一からの新たな採用として任用されることとなり、更新されない場合は、採用されないとの結果になるに過ぎない(!?)と考えられ、更新されないことが、解雇あるいは雇い止めのように、当該再任用職員の従前の法的地位に何らかの変動を生じせしめるものではないと解される」との、何とも定年後の人々の常識、世間の常識を裏切る判断をする。
 さらに、「内示」については「内示の時点までの勤務実績の評価に基づいて、次年度における任期の更新が行われる予定であることを知らせる通知であり、当該内示によって、直ちに、任期を更新する法的効果が生じるわけではない」。従って「内示」の後にも、「新たな事情が生じたことなどにより任期更新がされなかったとしても、内示そのものについて法的効果は生じないものであることから、その後不更新の通知により、当該再任用職員の権利関係又は法律上の地位に変動が生じたとはいいえない」とするという、内示したって採用しないことはありだし、別に再任用職員の権利を侵害したことにもならないでしょう、と言う。
 従って「再任用職員の任期を更新しないことは、そもそも当該再任用職員の権利関係又は法律上の地位に変動を生じさせるものでなく、本件不更新通知は、不服申立ての対象となる不利益処分には該当しないと考えざるをえない」とする。だから通知の不更新にあたり平等原則違反があったところで不服申立ての裁量範囲を超えるものだから、判断しませんよ、と言う。
 人事委員会の口頭審理は、Kさんの「勤務実績が良好でなかった」ということがデタラメであることの反証に費やされ、実際は良好であったことが多くの証人によって立証された。再任用継続拒否の件に関して門前払いの結論を出すなら、一体最初から証人を認める必要があったのか、一体何のために数多くの証人に足を運んでいただいたのか、人事委員会は無駄足を踏ませて、公正審理のポーズをとっただけのことではないか。
 申立人の不服申立て以来、口頭審理も経て2年7ヶ月、貴委員会は一体何をしていたのか。結局多くの点で府教委側の主張をなぞり、何らの異なった積極的な法的論証も加えず、府教委側の結論を追認しただけのことではないか。
 いやそれに止まらない。府教委側の主張を超えて、この間の安倍政権や橋下・維新の会等政治権力の教育への介入、条例や通達を発してまでの「日の丸」「君が代」の教育現場への強制に積極的に荷担している。
 それは、「日の丸」「君が代」は歴史的、世界的に見て、日本の侵略の象徴であり、この「侵略の象徴」と憲法前文に示された日本の「平和主義」がどう整合性を持ちうるか、という申立人側の主張に対し、府教委側は何も反論していないのに、人事委員会が「本件職務命令が求める卒業式における起立斉唱行為は、これらの式典における慣例上の儀礼的所作としての性質を有するにすぎ」ず、「本件職務命令が、憲法前文が掲げる平和主義に違反するものということはでき」ない、と述べている点に端的に表れている。
 人事委員会の独立性、第三者機関性、「公正・中立性」など、以上の裁決のどこにあるというのか。
 人事委員会は府教委と共に政治権力の走狗に成り下がっているだけではないか。私たちはこのような裁決に到底承服も納得もできない。人事委員会はこの裁決結果を即刻撤回し、裁決をやり直せ。
以上

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