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パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

再雇用3次控訴審判決報道記事で、判決文の読み間違い

2017年05月28日 | 日の丸・君が代関連ニュース
  =再雇用拒否3次控訴審判決報道=
 ◎ 『東京民報』と『マスコミ市民』の誤報


 再雇用3次控訴審判決について、一部の報道に重大な誤りがあるので、指摘しておきたい。既に、各々の報道機関には、訂正を要請済みだが無視されたままである。
 この裁判は、定年退職後に再雇用を拒否された原告らが都教委を訴えて、地裁で棄却された事案だが、原告側は納得せず上告を準備している。そんな中、裁量権の逸脱濫用の判示について、次の箇所が、判決文には存在しない、それどころか判示とは逆の意味になる間違った引用である。
 ※『東京民報』5月14日号
   「非常勤教員制度が、定年退職後の雇用と年金の連携の施策を補うものであることなどを認めながら、」
 ※『マスコミ市民』6月号(永野厚男氏の署名原稿)
   「非常勤教員制度が、定年退職後の教職員の(年金制度の改定による)無年金期間を補完する機能を果たしている面のある事実を、判決は"否めない"と認めた。」
 いずれも、裁判所が、非常勤教員制度は定年退職後の教職員の雇用と年金の連携を補うものと認定した、という説明である。
 カギ括弧も付けずに、主観を交えた引用は、不正確なばかりか、判決文とは全く逆の意味になってしまっている。
 判決文の非常勤制度についての判示の箇所(p36)を、カギ括弧付きで引用すると、
非常勤教員の制度は,雇用と年金の連携を目的とする施策ではなく,公立学校等における業務運営上の必要性から教員経験を有する者の知識・経験の活用を図る制度として設けられたものと認められる。」
 である。
 非常勤教員の制度のことを、"雇用と年金の連携を目的とする施策ではなく"とはっきり書いてある。
 それがどうして、正反対の解釈になってしまうのか。
 原告団の主張が裁判所に多少なりとも受け入れられた、と取り繕いたかったのかもしれない。
 残念ながら、実際には、判決は、どこをどう見ても、全面棄却でしかない。

 記事の引用に近い文章が、判決文のp36にある。
 ただし、よく読めば分かるように、記事の引用とは逆の意味である。
 裁判所の判示を、前後を含めてノーカットで引用しておく。
「そして,非常勤教員制度が,定年等によっていったん退職して職員の身分を失った者を新たに選考した上で採用する制度として作られていることからすると,前記のとおり非常勤教員の採用希望者の大多数が採用され,結果的には,再任用制度による雇用と年金の連携の施策を補完する機能を果たしている面のあることは否めないものの,これにより生じうる雇用期待は,非常勤教員の制度内在的なものではなく,あくまでも事実上の期待に過ぎず,選考により公務員として適任者を採用するという観点から,採否の判断の裁量を大きく制約する要因となるものではないものと解される。」
 "結果的には・・・否めないものの"と、文頭と文末の逆接の接続詞をカットして、
 その間に挟まれた文章だけを切り取ると、あたかも「制度保証がある」かのような逆の意味に読めてしまう。
 ある種ペテンのトリックだ。
 しかし全体を通して読めば「制度保証はない」と結論づけているのは明らかで、
これは判決文の改竄に等しい読み間違いである。

 この記述通りならば、裁判所が矛盾した判決文を書いていることになる。
 即ち、非常勤教員制度は雇用と年金の接続のための制度であるのに(逆接の接続詞)
 東京都は制度の趣旨を歪めて特定の人間だけ選別して不合格にしている。
 制度は正しいのに、東京都の運用が間違っていると、裁判所は言いたいのだろうか。

 ところが実際の判決文は、
 非常勤教員制度は雇用と年金の接続のための制度ではないのだから(順接の接続詞)
 東京都が特定の人間を選別して不合格にしても違法にはならない、
 と言っており、裁判所の判示は矛盾どころか、終始一貫している。

 ここを取り違えると、上告審での攻めどころが見当違いになってしまう。
 本来なら、非常勤教員制度は退職者の無年金期間の生活権を保障するための制度であるという
 根幹の主張の立証に全力を注がなければならないところ、
 そこは「事実認定済み」としてしまうと、
 勤務成績の善し悪しでだけ選別していいかどうかみたいな狭い範囲に、争点が矮小化されてしまうことになる。
 大変危険な、読み間違いであり、無責任でもある。

 もし裁判所が、本当に記事の通りに「事実認定」したのであれば、原告たちにとってはそれは大きな成果である。
 しかし実際は、原告側の主張は裁判所に認められず、悲しいかな、成果はなかったのが現実である。
 少しでも原告団に有利に読み取ろうとしたのかも知れないが、判決内容を誤魔化してしまっては、逆に贔屓の引き倒しになってしまう。
 この判決は、不起立者に対する悪意ある先入観に凝り固まった結論先にありきの判決だった。
 この不当判決に立ち向かっていくためには、悔しいけれども、幻想にしがみつくのではなく、現実から目をそらすことなく、潔くゼロベースから再出発するしか事態を打開する道はない。
 一部報道機関のこのような不正確な誤報は、原告とその支援者の闘いの前進にとって有害でしかなく、公正で正確な報道を使命とする報道機関ならば、速やかに訂正すべきものである。
ブログ管理人RK


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