=『リベルテ』から=
◆ 東京「君が代」裁判
五次訴訟の第3回口頭弁論報告と今後
2月7日に五次訴訟の第三回口頭弁論が行われ、書面の陳述のほか、原告2名と弁護士1名による意見陳述が行われました。
今回は第三回弁論におけるこれらの陳述について紹介するほか、今後の審理進行の見通しについても報告いたします。
【第三回口頭弁論までの主張の展開】
これまで原告側は、訴状に続いて準備書面(1)(2)と書証を提出して主張を陳述してきましたが、このうち(2)は被告の答弁書(訴状への反論書面)に対する反論となっていました。
都教委側が答弁書の中で、「国旗国歌に反対する教職員が式典や校務運営にあまたの混乱を引き起こしており、通達発出で事態を収拾するほかはなかった」として、通達発出の必要性・合理性を主張してきた(四次訴訟までの主張と同一)ことに対して、
原告側は「この通達は学校現場に内在する必要性から出たものではなく、当時、国旗国歌を利用した愛国心教育をめざした都議や教育委員らから強い政治的圧力を受けて、都教委が方針変更を迫られて発出したもの」であることを証拠に基づいて主張しました。
第三回弁論の実施にあたり原告側は、この準備書面(2)の主張を補充する書面を3種作成して陳述し、それぞれ準備書面(3)(4)(5)として、1月17日に提出しました。
その主張の要点について、弁論で平松弁護士が口頭で以下のような説明をしました。
・準備書面(3)・・・最高裁判決は本件について、自己の自由を主張する人たちの事案として捉えているが、教職員としてその職責意識ゆえに職務上の義務に従えなかった人たちの事案だ。職務命令に対置されるべきは「生徒に対し正しい教育を行う職業の信条」で、職務命令に従わなかった教職員に対する懲戒処分の是非は、その信条に対する直接の制約に対して憲法判断が求められているのだ。
・準備…書面(4)・・・学習指導要領の国旗国歌条項は10・23通達の根拠とはなりえない。
そもそも学習指導要領は、教師自身が自分で研究していく手引きとして書かれたものであり、記載内容を画一的に児童生徒に教え込んだり、記載内容が必ず実現することが予定されているものでもない。
旭川学テ事件最高裁大法廷判決も「必要かつ合理的と認められる大綱的」基準にとどめられなければならないと判示した。
国旗国歌条項も「教師による創造的かつ弾力的な教育の余地」や一方的な一定の理論や観念を生徒に教え込むことを強制するものでない」よう解釈されなければならない。
よって壇上正面の掲揚のみしか認めないピアノ伴奏以外の方法以外の指導方法を認めないような通達及びこれに基づく職務命令の根拠とはなりえない。
・準備書面(5)・・・10・23通達によって卒業式等の運営が最も影響を受けた障害児学校の例を挙げ、国旗の掲揚方法、国歌斉唱の方法について細部にわたって規定する都教委の通達及び実施指針は個々の子どもの発達段階や心身の状態を無視した教育活動を強制するものとなっており、学校の創意工夫や生徒の自主的、実践的活動を阻害し、教育現場を荒廃させたことを明らかにした。
【今後の審理進行について】
この日の法廷では原告側意見陳述の終了後、そのまま今後の審理進行について協議に入り、今後は、
①原告側の主張を一通りしてもらう。
②被告に反論をしてもらう。
③必要であれば原告側に再反論をしてもらう。
⑤原告側の立証(証人尋問など)を行う。
⑥最終的な主張を行い結審とする。
…という進行とすることを確認し、
①については、次回4月28日と次々回7月14日の2回の弁論期日を設定(いずれも16時~709号法廷)し、
次回期日では、原告側が国旗国歌条項問題を敷術して教基法16条違反(不当な支配)に関する主張を補充するとともに、原告2名の意見陳述を実施すること、
次々回期日では、原告側がさらなる主張の補充とともに立証計画を示す予定とすることなどが確認されました。
【第三回口頭弁論における原告・今田和歌子さんの陳述内容】
https://wind.ap.teacup.com/people/16671.html
【第三回ロ頭弁論における原告・山ロ美紀さんの陳述内容】
https://wind.ap.teacup.com/people/16672.html
『東京・教育の自由裁判をすすめる会ニュース リベルテ 第65号』(2022年2月24日)
◆ 東京「君が代」裁判
五次訴訟の第3回口頭弁論報告と今後
原告 鈴木 毅
2月7日に五次訴訟の第三回口頭弁論が行われ、書面の陳述のほか、原告2名と弁護士1名による意見陳述が行われました。
今回は第三回弁論におけるこれらの陳述について紹介するほか、今後の審理進行の見通しについても報告いたします。
【第三回口頭弁論までの主張の展開】
これまで原告側は、訴状に続いて準備書面(1)(2)と書証を提出して主張を陳述してきましたが、このうち(2)は被告の答弁書(訴状への反論書面)に対する反論となっていました。
都教委側が答弁書の中で、「国旗国歌に反対する教職員が式典や校務運営にあまたの混乱を引き起こしており、通達発出で事態を収拾するほかはなかった」として、通達発出の必要性・合理性を主張してきた(四次訴訟までの主張と同一)ことに対して、
原告側は「この通達は学校現場に内在する必要性から出たものではなく、当時、国旗国歌を利用した愛国心教育をめざした都議や教育委員らから強い政治的圧力を受けて、都教委が方針変更を迫られて発出したもの」であることを証拠に基づいて主張しました。
第三回弁論の実施にあたり原告側は、この準備書面(2)の主張を補充する書面を3種作成して陳述し、それぞれ準備書面(3)(4)(5)として、1月17日に提出しました。
その主張の要点について、弁論で平松弁護士が口頭で以下のような説明をしました。
・準備書面(3)・・・最高裁判決は本件について、自己の自由を主張する人たちの事案として捉えているが、教職員としてその職責意識ゆえに職務上の義務に従えなかった人たちの事案だ。職務命令に対置されるべきは「生徒に対し正しい教育を行う職業の信条」で、職務命令に従わなかった教職員に対する懲戒処分の是非は、その信条に対する直接の制約に対して憲法判断が求められているのだ。
・準備…書面(4)・・・学習指導要領の国旗国歌条項は10・23通達の根拠とはなりえない。
そもそも学習指導要領は、教師自身が自分で研究していく手引きとして書かれたものであり、記載内容を画一的に児童生徒に教え込んだり、記載内容が必ず実現することが予定されているものでもない。
旭川学テ事件最高裁大法廷判決も「必要かつ合理的と認められる大綱的」基準にとどめられなければならないと判示した。
国旗国歌条項も「教師による創造的かつ弾力的な教育の余地」や一方的な一定の理論や観念を生徒に教え込むことを強制するものでない」よう解釈されなければならない。
よって壇上正面の掲揚のみしか認めないピアノ伴奏以外の方法以外の指導方法を認めないような通達及びこれに基づく職務命令の根拠とはなりえない。
・準備書面(5)・・・10・23通達によって卒業式等の運営が最も影響を受けた障害児学校の例を挙げ、国旗の掲揚方法、国歌斉唱の方法について細部にわたって規定する都教委の通達及び実施指針は個々の子どもの発達段階や心身の状態を無視した教育活動を強制するものとなっており、学校の創意工夫や生徒の自主的、実践的活動を阻害し、教育現場を荒廃させたことを明らかにした。
【今後の審理進行について】
この日の法廷では原告側意見陳述の終了後、そのまま今後の審理進行について協議に入り、今後は、
①原告側の主張を一通りしてもらう。
②被告に反論をしてもらう。
③必要であれば原告側に再反論をしてもらう。
⑤原告側の立証(証人尋問など)を行う。
⑥最終的な主張を行い結審とする。
…という進行とすることを確認し、
①については、次回4月28日と次々回7月14日の2回の弁論期日を設定(いずれも16時~709号法廷)し、
次回期日では、原告側が国旗国歌条項問題を敷術して教基法16条違反(不当な支配)に関する主張を補充するとともに、原告2名の意見陳述を実施すること、
次々回期日では、原告側がさらなる主張の補充とともに立証計画を示す予定とすることなどが確認されました。
【第三回口頭弁論における原告・今田和歌子さんの陳述内容】
https://wind.ap.teacup.com/people/16671.html
【第三回ロ頭弁論における原告・山ロ美紀さんの陳述内容】
https://wind.ap.teacup.com/people/16672.html
『東京・教育の自由裁判をすすめる会ニュース リベルテ 第65号』(2022年2月24日)
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