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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

人種差別撤廃条約は、公的機関による差別の助長と煽動を禁じている

2016年10月23日 | 人権
 ◆ 沖縄における大阪府警機動隊員差別発言:論点メモ (前田朗Blog)
 10月19日、沖縄東村高江における工事現場で、大阪府警機動隊員による「シナ人」「土人」などの差別発言がなされたことが発覚し、報道された。沖縄県警および菅官房長官は「不適切な発言」としている。
しかし、単なる「不適切な発言」にとどまるものではない。とり急ぎ論点をメモしておく。
 第1に、当該発言は目の前にいた人物に向けて発声されたものであり、侮辱罪に当たる可能性がある(刑法231条「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。」)。
 第2に、当該発言は明らかな差別発言である。「シナ人」という言葉については、一部に「Chineseの意味だから差別ではない」と主張する者もいるが、日本社会において中国人に対する差別がなされ、この言葉は差別的文脈で用いられてきた。今回も明らかに差別的文脈で用いられている
 第3に、「シナ人」という言葉を差別と侮蔑の意味で用いたことは、沖縄の人々に対する侮辱だけでなく、中国人に対する侮辱である。個人に対する発言ではないので侮辱罪は成立しないが、中国人全体に対する侮辱として政治問題化しうる。
 第4に、当該発言は、日本政府が批准した人種差別撤廃条約1条「人種差別」の定義に該当する。
 条約2条は、政府「人種差別を非難」することを求め、「人種差別に従事しないこと」、「いかなる個人、集団又は団体による人種差別も禁止し、終了させる」を求めている。
 政府及び自治体はこの義務に従う必要がある。

 第5に、条約4条はいわゆるヘイト・スピーチを禁止する条項である。日本政府は4条(a)(b)の適用に留保を付しているが、4条柱書及び(c)には留保を付していない。4条(c)は「国又は地方の公の当局又は機関が人種差別を助長」しないことを求めている。
 第6に、本年制定されたいわゆるヘイト・スピーチ解消法は、定義の中に「本邦外出身者」という言葉を用いているので、沖縄の人々が除外される。しかし、「本邦内出身者」である沖縄の人々に向けて「本邦外出身者」として扱う差別表現が用いられたことに留意するべきである。
 また同法が沖縄の人々を除外していることは、現実に沖縄の人々に対してヘイト・スピーチが行われていることに即していないので、同法の限界が明らかになったと言える。速やかな法改正が求められるのではないか。
『前田朗Blog』(Wednesday, October 19, 2016)
http://maeda-akira.blogspot.jp/2016/10/blog-post_19.html
 ◆ 維新沖縄県総支部、大阪府・松井知事に抗議文
   「このような時にご苦労さまと言うか」
(沖縄タイムス)


 日本維新の会沖縄県総支部の儀間光男代表は20日、党代表の松井一郎大阪府知事が東村高江の米軍ヘリパッド建設に反対する市民に対し「土人」などと発言した機動隊員に、ツイッターで「出張ご苦労さま」と投稿したことへの抗議文を発表した。
 抗議文は県総支部の儀間代表、當間盛夫幹事長の連名で「機動隊員の発言は完全に不適切。『土人』『シナ人』は決して警察官が使う言葉ではない」と機動隊員の発言を批判。
 「役所の窓口で職員が市民を傷つける対応をしたときに首長が『ご苦労さま』と言うか。『市民の心を傷つけるようなことを発言してはならない』と言うべきだ」とも指摘し、松井氏のツイッター投稿に「激しく抗議する」とした
『沖縄タイムス - Yahoo!ニュース』(2016年10月20日)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161020-00067429-okinawat-oki&pos=1
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