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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

共謀罪法案は、犯罪構成要件を大幅に引き下げる治安維持法復活立法

2016年10月23日 | 平和憲法
  『労働情報』【時評自評】
 ◆ 「お試し弾圧」が示す共謀罪の危険
喜多幡佳秀(APWSL日本)

 政府・自民党は過去(小泉政権時代)に3度廃案になった共謀罪法案を、「テロ等組織犯罪準備罪」法案として、来年にも成立を狙っている
 「国際社会と協調して組織犯罪と戦うことは極めて重要」(菅官房長官の8月26日の記者会見)という大義名分を立てて、対象を「組織的犯罪集団」に限定していると説明している。それと呼応するように読売、産経はこの法案の「重要性」を力説している
 本誌の昨年7月1日号の「闘いの現場から」でも報告されているが、関西では大阪府警公安課による市民運動に対する不可解な弾圧が続いている。
 昨年は、京都・京丹後市の米軍Xバンドレーダー基地反対の現地集会に自前のバスを仕立てて結集したことが「白バス営業」にあたるとして3人が逮捕され、十数カ所に一斉の家宅捜査が入った。
 今年も5月に、G7サミット前というタイミングで、今度はエルおおさか(元の大阪府立労働会館)会議室を組合料金で使用したのが「詐欺」にあたるという全くの言いがかりで3人が逮捕され、十数カ所に一斉の家宅捜査が入った。
 これは従来の微罪逮捕、つまり逮捕権の恣意的な濫用とも違う。
 組合員が逮捕され、組合の事務所に不当な捜査が入ったが、狙いが組合弾圧にあったとも言い切れない。
 相手の狙いがわからないのは気持ちが悪いものである。とりあえず関係者の間では、「お試し弾圧」ではないかという認識に落ち着いた。
 つまり、使ってみて効果がありそうだったら継続して使う、ダメだったらほかのやり方を試してみるというやり方である。
 メディアとの連携も大きな特徴だった。昨年の逮捕時には、特定のメディアにだけ事前連絡して逮捕のシーンを撮影させ、センセーショナルに放映させた(たぶん「独占報道」ということで、放送局側のモチベーションを上げたのだろう)。
 新聞報道は、わざわざ被逮捕者の所属する政治党派名を明記し、政治党派の活動家が労働組合の名前を騙って不正行為を行い、資金を集めたかのようなストーリーを印象付けている。警察情報をそのまま報じており、独自に取材した形跡がない
 本題に戻ろう。共謀罪をめぐる動きの中で、試されているのは警察による治安対策の名の下で行われる人権侵害に対する人々の感度である
 テロ対策という名を冠せば何でも容認される、あるいは人権侵害は自分には直接関係がない、そんな雰囲気が支配的になれば、共謀罪の成立も容易になるだろう。
 幸いなことに、関西での2度にわたる弾圧に対しては、すばやく救援運動が組織され、警察署への抗議行動が展開され、逮捕された仲間は全員不起訴で釈放された。
 「弾圧慣れ」した党派活動家や組合活動家よりも、市民運動活動家が自分たちへの弾圧であることを敏感に感じ、本気で怒っていたのが印象的だった。ここに希望がある。
『労働情報 945号』(2016年10月15日)

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