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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

オリパラは中止ではなく、廃止すべきだ

2021年06月26日 | 平和憲法
 ◆ 「利権・差別・排除の祭典」オリンピツクをやめろ! (『労働者通信』)
伏見 忠(都教委包囲首都圏ネット)

 私たち、都教委包囲首都圏ネット(以下、「包囲ネット」)は、教育基本法の改悪や「日の丸・君が代」の強制に反対して、教育問題を課題として闘ってきました。
 この間、東京都教育委員会が東京オリンピックに向けて薦めてきた「オリパラ教育」は、改悪教育基本法で新設された愛国心条項「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」の実践にほかならないと考え反対しています。
 最初にオリンピック招致を言い出した石原慎太郎元都知事は「国威発揚のためにオリンピックを招致する」とあからさまに言い切っていました。
 私は、「レイシストの石原が都知事をやっている限り絶対に無理」と思っていましたが、残念ながらその後の猪瀬元都知事のときに、多額のワイロと「アンダーコントロール」という安倍元首相の大嘘のために東京に決まってしまいました。
 包囲ネットは、「オリパラ教育」をやめ、子どもの観戦・ボランティア動員をやめるように何度も都教委に要請をおこなってきました。
 ◆ 「オリパラ教育」とは何か

 「オリパラ教育」とは何でしょうか。東京都教育委員会は、2016年からオリンピックとパラリンピックの意義と素晴らしさを学ぶと称して、多額の税金を使つて『オリンピック・パラリンピック学習読本』を都内の公立小中高支援学校に配っています。
 内容はオリンピックの光の部分は書かれていますが、オリンピックに関して問題となっている商業主義や能力偏重の周題などは全く書かれていません。さらに、オリンピズム理念とされる「競技者の競争であって国家間の競争であってはならない」に関する記述はなく、代わって国旗掲揚時のマナーなどの記載があります。
 ナショナリズムの強化や国家間の競争の弊害については当然ながら隠され、日本の良いところが強調されて、日本のメダリストの活躍をたたえる記載にあふれ、現実におこなわれている国家の威信をかけた過酷なメダル獲得競争を肯定し、メダル偏重・能力偏重にあふれています。
 都教委は、「多面的で多角的な教育」をおこなうようにと現場には指導をしていますが、彼らが作ったこの読本はあまりに一面的で、価値観の押し付けでしかありません。
 ◆ 子どもの動員をやめろ

 都教委は、新型コロナウイルス感染が始まる前から、オリパラ教育の集大成として、オリンピック・パラリンピックの観戦を位置付けており、子どもたちに各学校の教育活動の一環として観戦するように指導をしてきました。税金で観戦チケットを購入して無料で配布することも決定しています。
 都教委は、「動員」ではなく実施するかどうかは各学校の判断に任せているので、強制ではないとしています。
 しかし、都教委は「日の丸・君が代」の強制の実態をみても明らかな通り、学校の自主性に任せるとしながらも、人事や予算などの権限を使って弱い立場の学校を従わせてきました。
 包囲ネットは「都教委が観戦を中止するように判断しろ」と何度も要請をおこないましたが、その都度「各学校の判断に任せている」として、いまだに中止の判断を出そうとしません。
 ◆ オリンピック・パラリンピックの本質

 IOCの金権体質はバッハ会長の「ぼったくり男爵」との比喩に明らかのように、招致をめぐっては多額のワィロが飛び交い、莫大な放映権料を得る目的で真夏の過酷な開催を強いて、アスリートや大会ボランティアの健康を無視しています。
 また、電通やパソナなどがオリンピック運営に深くかかわり、無償のボランティァをしり目に多額の報酬を得ています。まさに「利権の祭典」です。
 さらにオリンピック憲章の問題点です。
 私は真っ先に1968年メキシコ大会での「プラックパワーサリュート」を思い出します。
 優勝した黒人選手2人が黒手袋をして拳を高く掲げ黒人差別に抗議したことが政治的行為とされ、IOCからメダルをはく奪され、未だ名誉回復されていません。
 米五輪委員会は、「人種差別を容認してきた」として「抗議の権利などを阻む」組織内の規則を変更するように検討をしています。
 また、東京オリンピック組織委員会の森元会長の女性差別発言でも明らかなように、オリンピック憲章は「反故同然」でオリンピズムなど偽善でしかありません。
 まさに「差別の祭典」です。
 国立競技場の建て替えでは、明治公園の野宿者の追い出しがおこなわれ、都営アパートでも住民が立ち退きを強制されました
 これは今回に限らず、北京やリオなど今までの多くのオリンピックでもおこなわれています。1964年の東京オリンピックも「首都美化運動」と称し、貧困者の追い出しがおこわれています。
 また、入管法改悪が問題となっていますが、オリンピック開催を理由として、入管法の厳格運用が行われてきました。仮放免が認められず長期収容は常態化して、ウイシュマ・サンダマリさんの例をはじめとして収容中の死亡者が増えています。
 貧困者や在日外国人にとってまさに「排除の祭典」です。


 ◆ 「超人化」するパラアスリートの問題

 パラリンピックが近づき、テレビでは「障害」を乗り越え活躍するアスリートの姿が報道されています。
 「障害」は「克服」するべき対象なのでしょうか。「障害」の克服を美徳とする発想は、できる者とできない者の分断を生みだします。ここにも能力主義、優生思想に貫かれた日本国家の価値観の押し付けがあります。
 ◆ コロナ下での開催に反対多数

 さらに、新型コロナウイルスの感染拡大の中で、様々な懸念が表明されています。
 アスリートや大会役員などへのワクチンの優先接種の問題。医療従事者が不足する中での、医師や看護師のボランティア動員の問題。我慢を強いられているのに、オリンピックだけ優遇されることに批判が高まり、中止を求める声がおおきくなっています。
 私たちはJOCに対して、オリンピックの中止を要請してきました。しかしJOCは要請書も受け取らず、全くの門前払いで驚くほど傲慢な組織でした。とても「公益を担う法人」の態度とは言えません。
 菅首相も小池都知事も無責任にも開催を強行しようとしています。
 彼らにとっては、私たちの命よりも、自らの利権や権力の方が重要だということです。
 共謀罪改悪の理由が、オリンピック開催だったことは忘れられません。テロ対策と称し治安が強化され国家による人民の管理は強化される一方です。
 調べれば調べるほどオリパラは中止ではなく廃止すべきと思います。
 パンデミックがオリンピックや政府の本質をはっきりと暴き出しました。オリンピック・パラリンピックは廃止しかありません。
『労働者通信 NO.361』(2021.5.30)


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