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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

英エコノミスト誌“Hate speech in Japan”(日本のヘイトスピーチ)

2014年10月03日 | 平和憲法
 ◆ 国際社会で問題が大きくなる日本社会の最大の恥、ヘイトスピーチ (星の金貨プロジェクト)

 「韓国・朝鮮人を殺せ、殺せ、殺せ」、スローガンを大声で叫ぶ日本の人種差別主義者
 国連人権委員会に人種差別の撤廃を求められた『先進国』は、他に例があるのだろうか?
 国家主義者である安倍首相とその支持者の政治家たちは、ヘイトスピーチ批判に消極的
 《英エコノミスト 9月27日》


 昨年、韓国籍の人々が多く暮らしている大阪の鶴橋地区14歳の女の子が韓国・朝鮮人を虐殺しろと叫ぶ拡声器の声に驚き、思わず通りに出るという事がありました。
 東京在住の韓国人が多く暮らしている新大久保周辺では、多くの人々が在留外国人攻撃の度が過ぎることを口にしています。
 路上やインターネット上での在留外国人排斥の動きは、近年例がない程過激になってきました。
 これら人種差別主義者が叫ぶスローガンには次のようなものがあります。
 「我々の国から出ていけ」
 そして「韓国・朝鮮人を殺せ、殺せ、殺せ」

 この問題は貧しく自らを守る術を持たない在留韓国人はもちろんのこと、日本の政治家とメディア対策専門家に、恐らく初めて本格的な対策を取ることを求めています。
 2020年東京オリンピック開催がすでに決まっており、そのカウントダウンが始まっています。
 国会議員を始めとする政治家に対し、在留外国人、韓国・朝鮮国籍の人々に向けられる言葉の暴力を何とかすべきであるとの圧力は強まる一方です。
 日本にはおよそ500,000人の日本国籍を持たない韓国・朝鮮人がいます。
 その中の一部はこの20年ほどの間に日本にやってましたが、大半は20世紀前半、朝鮮半島が大日本帝国の一部であった時代に半強制的に、あるいは進んで日本に渡った人々です。
 彼らは、長く敵意の標的にされてきました。
 1923年の関東大震災の際には、東京の住民が少数民族である韓国・朝鮮人が水道に毒を流し込もうとしたとのデマが流布され、多数が虐殺される事件が起きました。
 これまで韓国・朝鮮国籍の人々への排斥が、具体的な暴力事件に発展することはありませんでした。
 ヘイトスピーチを行う集団に対しては日本の市民たちによる抗議デモが組織され、その前に立ちはだかってきました。
 日本の警察はことばの暴力であるヘイトスピーチに対し、能動的に動こうとはしませんでした。
 しかし現状を見る限り、ヘイトスピーチを行う集団がいつ暴力沙汰を起こしても不思議ではありません。
 日本政府はその対策を行う必要に迫られています
 今年7月、国連の人権委員会は、日本が人種差別を禁止している法律の条項に、ヘイトスピーチの禁止を加えるよう要求しました。
 東京の舛添要一知事は、安倍晋三首相に対し、東京オリンピックの開催前にヘイトスピーチを禁止する法律を可決成立させるよう迫りました。
 日本の法廷にも動きがありました。
 今年7月に大阪高等裁判所は、日本国内でヘイトスピーチ集会を主催するなどしている極右集団の在特会に対し、京都にある朝鮮系の小学校周辺で行った脅迫行為に1,200万円の賠償金の支払いを命じた一審判決を支持する判断を下しました。
 少なくとも1つの右翼団体、一水会だけは反韓国の人種差別を批判しています。
 創設者の一人である鈴木邦男氏は「日本人の品位を貶める」ものとしてレイシズムには批判的な立場をとり、代わりに「対米自立」「戦後体制打破」を訴えています。
 鈴木氏はこのような過激な外国人排斥運動は、これまで見たことが無いと語りました。
 憎しみを露わにするヘイトスピーチ集会が急増した背景には、従軍慰安婦問題をきっかけに緊張が高まる日韓関係、そして1970年台から80年代にかけて北朝鮮が国家的規模で行った日本人拉致問題があります。
 しかし一水会の鈴木氏は、2012年の安倍首相の政権返り咲きも一定の影響力を持っていると語りました。
 国家主義者である安倍首相とその支持者の政治家たちは、ヘイトスピーチ批判について常に奥歯にものの挟まったような言い方しかしてきませんでした。
 安倍首相が率いる自由民主党が日本のイメージを海外で改善する必要に迫られたとしても、ヘイトスピーチに関する対応ははっきりしないものになりそうです。
 9月初め、内閣改造で新たに国家公安委員会委員長、内閣府特命担当大臣(防災担当)に任命された山谷えり子氏が、2009年在特会のメンバーと一緒に写真に納まっていた事が発覚しました。
 日本政府はこの時は山谷氏が、今まさに問題の渦中にある団体の関係者だったとは知らずに一緒に写真撮影に応じたものだと弁明しています。
 しかし山谷氏は充分慰安婦問題については、慰安婦が強制連行されたとする主張を否定する立場をとり、問題の存在自体に異議を唱える立場を取っています。
 しかし法制度に明るい人々の多くはヘイトスピーチに関する法律が適切な対象を特定せずに成立した場合には、表現の自由を侵す可能性があると懸念しています。
 日本の歴史を書き換えようとする政治家のひとりである高市早苗氏は、9月の内閣改造で閣僚のひとりに加わる直前、もしヘイトスピーチに関する法律が成立すれば、彼女にとって腹立たしい存在である国会や政府機関の外で抗議活動を行っている人々にも、この法律が適用されなければならないと語っています。
 しかし特定秘密保護法や自衛隊の海外派遣の反対、あるいは脱原発を訴えるこれらの人々の礼儀正しく秩序だった抗議行動の様子は、すでに国際的にも評価が確立しているはずです。
 国会議員は『どのような批判にも屈することなく』活動すべきであると、高市氏は付け加えました。
 安倍首相の思想的同士である自由民主党政務調査会長の稲田朋美氏ともども、なぜ日本のネオナチのリーダーと一緒に撮影した写真が存在するのか、高市氏の事務所はその説明を迫られています。
 韓国・朝鮮国籍の人々に向けられる言葉の暴力の中には、日本の政界のトップに示唆されてのものもあるかもしれません。
 原題 : Hate speech in Japan(日本のヘイトスピーチ)
   Spin and substance(過激化とその実態)
   A troubling rise in xenophobic vitriol(問題が拡大する在留外国人に対する言葉の暴力)

http://www.economist.com/news/asia/21620252-troubling-rise-xenophobic-vitriol-spin-and-substance?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227
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 この問題に関するさらに詳しい報道は、Independent Web Journalhttp://iwj.co.jp/ )でご覧になれます。ぜひ一度お目を通されてみてください。
 エコノミストのこの記事を翻訳した日は朝から落ち込んだ気分の中にいましたが、翻訳していて増々憂鬱になりました。
 しかし事は気分の問題では済まされません。
 国連人権委員会に人種差別の撤廃を求められた『先進国』は、他に例があるのでしょうか?
 イギリス人やフランス人のように苦労して市民社会を手に入れたのでは無い分、日本人は民主主義社会の価値と大切さを今ひとつ理解できていないような気がします。
 それにしても、安倍政権は今の日本に必要なことではなく、自分たちのやりたいことばかりやっているというニューヨークタイムズの指摘( http://kobajun.chips.jp/?p=19838 )が身に沁みます。
『星の金貨プロジェクト』(2014年10月1日)
http://kobajun.chips.jp/?p=20067
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