★ 新規採用教諭決定の青年が辞退届
~都教委"君が代"通達下、「信教の自由」との狭間(はざま)で
首都圏の現・元教員や保護者が、2010年12月11日、都内の教会で「祈りの会~信教の自由を求めて、キリスト者のつながりを」を開き、都教育委員会の"君が代"強制通達下、心の葛藤や苦悩を語り合った。
"君が代"強制下、「教師への夢」と「信教の自由」との狭間(はざま)で苦悩しつつ、5年近く前の4月、着任直前に辞退届を出した高野信さん(仮名、20歳代)のお話は、以下の通り。
私はクリスチャンホームで育ちました。小学校時代から学校が大好きで、「仲間っていい。自分がすてき」という子どもを育てるため、教師になろうと夢を持ち続け、大学の教育学部に進みながら、小学校でボランティア活動等をしてきました。
教師は神から与えられた職ですが、「卒業式等では"君が代"があるという現実」と「天皇の賛美歌は歌えないという信仰」との狭間(はざま)で悩んだ末、受験した東京都教員採用試験に合格しました。
2006年3月下旬、4月1日からの赴任先に決まっていた都の公立小学校で校長と面接、校内をすべて見学し担任するクラスも決まり、新任教諭に必要な分厚い書類も頂きました。帰り際に「4月に言って、校長に考える時間がないといけないのではないか」と思い、「入学式の"君が代"時に起立できないので、警備等、式場外の係にして頂けませんか」と言うと、校長は顔色を変え、「君の採用を取り消さねばならない」と言われました。
私は「教室に『自ら考え行動する子』という学校目標が掲示してありましたが、そういう子どもを育てるには、私も自ら考え行動しなければならないと思います。起立できません」と涙を浮かべて言いましたが、そのまま地元の教育委員会に連れて行かれました。
校長の立ち会う中、教委職員2名に「信仰の自由は心だけで守りなさい。君は社会人になるのだから、上司の校長先生の命令に従わなければならない」と言われましたが、「起立できません」と答えました。
すると、教委職員2名は「こちらから採用を取り消すことはできないが、君から辞退することはできる」と言い、私は辞退届を提出しました。分厚い書類も返却し、子どもたちに会うこともなく、教員生活をスタートさせられませんでした。
私はその後、非常勤講師等で「子どもたちを教える夢」はかないましたが、卒業式に関係する6年生は持たせてもらえません。
『週刊新社会』2011年1月18日号
~都教委"君が代"通達下、「信教の自由」との狭間(はざま)で
永野厚男(教育ライター)
首都圏の現・元教員や保護者が、2010年12月11日、都内の教会で「祈りの会~信教の自由を求めて、キリスト者のつながりを」を開き、都教育委員会の"君が代"強制通達下、心の葛藤や苦悩を語り合った。
"君が代"強制下、「教師への夢」と「信教の自由」との狭間(はざま)で苦悩しつつ、5年近く前の4月、着任直前に辞退届を出した高野信さん(仮名、20歳代)のお話は、以下の通り。
私はクリスチャンホームで育ちました。小学校時代から学校が大好きで、「仲間っていい。自分がすてき」という子どもを育てるため、教師になろうと夢を持ち続け、大学の教育学部に進みながら、小学校でボランティア活動等をしてきました。
教師は神から与えられた職ですが、「卒業式等では"君が代"があるという現実」と「天皇の賛美歌は歌えないという信仰」との狭間(はざま)で悩んだ末、受験した東京都教員採用試験に合格しました。
2006年3月下旬、4月1日からの赴任先に決まっていた都の公立小学校で校長と面接、校内をすべて見学し担任するクラスも決まり、新任教諭に必要な分厚い書類も頂きました。帰り際に「4月に言って、校長に考える時間がないといけないのではないか」と思い、「入学式の"君が代"時に起立できないので、警備等、式場外の係にして頂けませんか」と言うと、校長は顔色を変え、「君の採用を取り消さねばならない」と言われました。
私は「教室に『自ら考え行動する子』という学校目標が掲示してありましたが、そういう子どもを育てるには、私も自ら考え行動しなければならないと思います。起立できません」と涙を浮かべて言いましたが、そのまま地元の教育委員会に連れて行かれました。
校長の立ち会う中、教委職員2名に「信仰の自由は心だけで守りなさい。君は社会人になるのだから、上司の校長先生の命令に従わなければならない」と言われましたが、「起立できません」と答えました。
すると、教委職員2名は「こちらから採用を取り消すことはできないが、君から辞退することはできる」と言い、私は辞退届を提出しました。分厚い書類も返却し、子どもたちに会うこともなく、教員生活をスタートさせられませんでした。
私はその後、非常勤講師等で「子どもたちを教える夢」はかないましたが、卒業式に関係する6年生は持たせてもらえません。
『週刊新社会』2011年1月18日号
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