◆ アベノマスクはやはり利権だった!
~「疑惑の1社」驚愕の事実 (レイバーネット日本)
新型コロナウィルスの感染拡大以降、こちらも世界的に深刻化する一方のマスク不足。これまで「感染者が着用するもの」だという意識で、予防的着用の習慣がなかった欧米諸国までが、アジア諸国と同様、予防的着用をするようになったこともあいまって、事態は国際的な奪い合いにまで発展している。世界各国が増産を始めているが、全人類が1人1日1枚着用すると仮定しても、1日100億枚生産されなければ足りないことになる。当然ながら世界のマスク生産力は到底この水準には及んでいない。世界的なマスク不足は楽観的に見ても数ヶ月、最悪の場合数年は続くと覚悟しなければならないだろう。
日本政府も、ネットでのマスクの高価転売に対し、国民生活安定緊急措置法に基づき統制に乗り出している。石油危機を受けて1973年に制定された、半世紀近く前の古めかしい法律を活用せねばならないほどの危機なのだが、それでも需要に対し供給がまったく追いつかないため、最優先でマスクを配布すべき医療機関などですら、マスク入手は次第に困難になりつつある。
そんな中、安倍政権が突如として打ち出した布製マスク(いわゆる「アベノマスク」)の全世帯2枚配布の方針に基づいて、製造を受注した業者は4社とされ、そのうち3社は興和(愛知県、契約額54億8000万円)、伊藤忠商事(東京都、同28億5000万円)、マツオカコーポレーション(広島県、同7億6000万円)と早々に公表された。しかし、残る1社についてはなぜかこの3社との同時公表とはならず、遅れることになった。何かと横並びが多い政界、官界で「1社のみ社名公表遅延」というのは異例中の異例だ。当然、この遅延は「利権ではないか」などと憶測を呼ぶことになった。
4月27日の菅義偉官房長官の記者会見で、残る1社が「ユースビオ」(福島市/写真)であることが明らかにされた。2007年4月から2013年3月まで、東日本大震災・福島第1原発事故を挟んで6年間福島に住んだ筆者にとっても初めて聞く名前だが、それもそのはずで、木質バイオマス事業参入のため、3年前に設立された若い企業であることもわかった。こんな設立から間もない、名前も聞いたことのない企業を誰がどんな経緯で首相官邸とつないだのか。嫌でもそこに利権の臭いを感じざるを得ない。
そこで今回、「ユースビオ」社について、レイバーネット日本報道部と安全問題研究会は直ちに独自調査を行った。その結果判明したのは、案の定というべき事実だった。
◆ 脱税経営者の企業へ発注
独自に入手した登記簿によると、ユースビオ社の設立は平成29(2017)年8月24日。「再生可能エネルギー生産システム」「バイオガス発酵システム」の研究開発及び販売などを目的としている。バイオガス発酵システムとは、畜産廃棄物を堆肥など再利用可能な資源に再生処理する際に発生するメタンガスなどをエネルギー源として利用するためのシステムだ。熱源としての利用の他、発電装置を組み合わせれば発電や売電も可能になる。原発事故後の福島「復興」の一環として、国も福島県も再生可能エネルギー事業に多額の補助金を投じている。原発事故後の新たな福島の利権として、再エネ周辺には魑魅魍魎が跋扈しているのだ。
ユースビオ社は樋山茂なる人物が社長(代表取締役)を務める。所在地の住所は「福島市西中央5丁目54-6」だが、ここには同社だけでなく「株式会社アスティア」「株式会社あづま荒川エコファーム」「技研通信工業株式会社」など、11もの企業が置かれていることになっている。これらの会社のすべてが実体を伴っているとは思えず、ほとんどがいわゆるペーパーカンパニーだろう。
そして、この11社の中でもとりわけ注目すべきなのが「株式会社樋山ユースポット」だ。代表者は樋山茂。ユースビオ社と同じである。この会社に関しては、2018年にある「事件」を起こしている。当時の記事をご紹介しよう。
本来ならこれだけでも税金が原資となる政府契約の相手方としての資質を欠いている。だが単にそれだけなら筆者はわざわざレイバーネットにこんな記事を書くほどの労は執らない。この後の調査で出てきたのはさらに驚くべき事実だ。
◆ 復興副大臣へ「献金」
その公式資料はネットの片隅から見つかった。埼玉県選挙管理委員会が平成28(2016)年2月8日に受理した前年度、すなわち2015年の政治資金収支報告書だ(注1)。
この資料の、PDFファイルのページ数で66ページ中45ページ目に問題の記載がある。政治団体「若松かねしげ市民フォーラム」に対し、「会社社長」樋山茂を名乗る人物から12万円、「会社役員」樋山尚子を名乗る人物から12万円、計24万円の寄付が行われている。2人は同じ住所で親族とわかる。夫婦の可能性もある。「若松かねしげ市民フォーラム」は、若松謙維(かねしげ)参院議員(公明、比例)の政治団体である。寄付を行ったのは、茂氏が2015年7月6日、尚子氏が同年7月29日である。若松議員は、2015年10月から復興副大臣に就任し2016年8月まで務めた。樋山茂、尚子両氏による寄付が行われたわずか3か月後の就任である。
さらに樋山ユースポット社は、全村避難の象徴となった福島県飯舘村での「復興」事業に関連して「ふくしま産業復興企業立地補助金」を受けている。この補助金は、「企業立地を加速し、当該地域での生産拡大及び継続的な雇用創出を行う企業」に対する支援を行うことを目的として、原発事故直後の2011年第3次補正予算で1700億円が措置され、2017年3月までに375社に1563億円が交付された(注2)。通常、民間企業の設備投資などに対する補助金は「企業のモラルハザード防止」などを理由に最大でも2分の1程度とされることがほとんどだが、この補助金は1件あたり200億円を上限に最大4分の3まで補助率を上げることが認められている。企業にとって「手厚い」制度のため申請件数が多かった。これだけ支援が手厚いと、不正を行う企業も現れる。実際、福島県白河市内の事業に関し、虚偽の申請でこの補助金2億5千万円をだまし取ったとして、2017年に 大阪府岸和田市の企業が摘発されている(注3)。
ここで樋山ユースポット社に関してもう一度思い出していただきたいことがある。(1)補助金を受給した時期、(2)国税局から告発された際の摘発理由、(3)脱税を行っていた時期だ。(1)に関して言えば、申請を希望する企業への事前説明や受付、交付事務などこの補助金に関する実務上の窓口を担う福島県の資料によると、平成27(2015)年3月12日時点で交付対象になった事業として樋山ユースポット社の名前が登場しており(注4)、同社は遅くともこの時点ですでに補助金を受給していたことになる。
(2)に関しては、上で紹介した毎日新聞の記事のとおり「従業員に支払った給与を、他の会社への外注費と偽装。偽の外注費分の消費税を、国などに本来納めるべき消費税から差し引く手口」だった。そして(3)に関して言えば、「2016年3月までの4年間」とあるから2013年から2016年までの期間であることがわかる。つまり樋山ユースポット社は、福島県内で「生産拡大及び継続的な雇用創出を行う企業」に対して支給される補助金を片手で受けながら、ほぼ同じ時期にもう片手では雇用(つまり労働者)をダシにして消費税を脱税していたことになるのである。
最後にもう一度、全体像をまとめておこう。樋山ユースポット社が雇用維持を名目とした国の補助金を片手で受けながら、もう片手で「雇用」をダシにして消費税脱税を繰り返していたさなかの2015年10月、若松議員は復興副大臣に就任した。その就任の「前祝い」でもするかのように、2015年7月、樋山茂・尚子両氏から若松議員への寄付が行われた。そんな「前科」のある樋山茂なる人物が今度は「ユースビオ」社を設立。この会社に対して「アベノマスク」の発注が行われた--。
少々複雑ではあるが、解きほぐしていくとこのような構図が見えてくる。ネットの片隅に眠るように置かれていた埼玉県選管の政治資金収支報告書、そして数々の公的資料が明らかにした「アベノマスク疑惑」の全容である。
若松元復興副大臣に関しては、仙台国税局によって脱税摘発が行われる2018年2月まで、その事実を知るすべはなかったのだからまだ同情の余地もあろう。だが、消費脱税と若松元復興副大臣への寄付の事実が公表されていながら、いわく付きの人物が経営する企業にアベノマスクを発注した今回の事件に関して安倍首相にはまったく同情の余地はない。多くの人命がかかったこの未曾有の危機にあっても、政策判断上の基準が「お友達か、そうでないか」以外にない政権を戴いていることは、日本の市民にとってコロナそのもの以上に多くの悲劇をもたらすだろう。「新型コロナ危機は安倍政権による人災である」--そのように断罪される日は、意外に早く訪れそうな気がする。
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注1)埼玉県選挙管理委員会公表「収支報告書」 https://t.co/2RNv0HxOrp
注2)レポート「東日本大震災後の中小企業支援と今後の課題―これからの中小企業政策に求められるもの―」(参院経済産業委員会調査室、https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2012pdf/20120702036.pdf)
注3)「震災復興補助金2.5億円詐取の疑い、会社役員2人逮捕」(2017年7月20日付「朝日新聞」、https://digital.asahi.com/articles/ASK7N3QFWK7NUTIL012.html)
注4)「産業復興の現状とこれまでの取組」(復興庁、https://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat1/sub-cat1-20/shiryou1-2.pdf)。この資料のPDFページ数で67ページ中41ページに樋山ユースポット社の記載がある。
『レイバーネット日本』(2020-04-29)
http://www.labornetjp.org/news/2020/0429kuro
~「疑惑の1社」驚愕の事実 (レイバーネット日本)
黒鉄好(安全問題研究会)
新型コロナウィルスの感染拡大以降、こちらも世界的に深刻化する一方のマスク不足。これまで「感染者が着用するもの」だという意識で、予防的着用の習慣がなかった欧米諸国までが、アジア諸国と同様、予防的着用をするようになったこともあいまって、事態は国際的な奪い合いにまで発展している。世界各国が増産を始めているが、全人類が1人1日1枚着用すると仮定しても、1日100億枚生産されなければ足りないことになる。当然ながら世界のマスク生産力は到底この水準には及んでいない。世界的なマスク不足は楽観的に見ても数ヶ月、最悪の場合数年は続くと覚悟しなければならないだろう。
日本政府も、ネットでのマスクの高価転売に対し、国民生活安定緊急措置法に基づき統制に乗り出している。石油危機を受けて1973年に制定された、半世紀近く前の古めかしい法律を活用せねばならないほどの危機なのだが、それでも需要に対し供給がまったく追いつかないため、最優先でマスクを配布すべき医療機関などですら、マスク入手は次第に困難になりつつある。
そんな中、安倍政権が突如として打ち出した布製マスク(いわゆる「アベノマスク」)の全世帯2枚配布の方針に基づいて、製造を受注した業者は4社とされ、そのうち3社は興和(愛知県、契約額54億8000万円)、伊藤忠商事(東京都、同28億5000万円)、マツオカコーポレーション(広島県、同7億6000万円)と早々に公表された。しかし、残る1社についてはなぜかこの3社との同時公表とはならず、遅れることになった。何かと横並びが多い政界、官界で「1社のみ社名公表遅延」というのは異例中の異例だ。当然、この遅延は「利権ではないか」などと憶測を呼ぶことになった。
4月27日の菅義偉官房長官の記者会見で、残る1社が「ユースビオ」(福島市/写真)であることが明らかにされた。2007年4月から2013年3月まで、東日本大震災・福島第1原発事故を挟んで6年間福島に住んだ筆者にとっても初めて聞く名前だが、それもそのはずで、木質バイオマス事業参入のため、3年前に設立された若い企業であることもわかった。こんな設立から間もない、名前も聞いたことのない企業を誰がどんな経緯で首相官邸とつないだのか。嫌でもそこに利権の臭いを感じざるを得ない。
そこで今回、「ユースビオ」社について、レイバーネット日本報道部と安全問題研究会は直ちに独自調査を行った。その結果判明したのは、案の定というべき事実だった。
◆ 脱税経営者の企業へ発注
独自に入手した登記簿によると、ユースビオ社の設立は平成29(2017)年8月24日。「再生可能エネルギー生産システム」「バイオガス発酵システム」の研究開発及び販売などを目的としている。バイオガス発酵システムとは、畜産廃棄物を堆肥など再利用可能な資源に再生処理する際に発生するメタンガスなどをエネルギー源として利用するためのシステムだ。熱源としての利用の他、発電装置を組み合わせれば発電や売電も可能になる。原発事故後の福島「復興」の一環として、国も福島県も再生可能エネルギー事業に多額の補助金を投じている。原発事故後の新たな福島の利権として、再エネ周辺には魑魅魍魎が跋扈しているのだ。
ユースビオ社は樋山茂なる人物が社長(代表取締役)を務める。所在地の住所は「福島市西中央5丁目54-6」だが、ここには同社だけでなく「株式会社アスティア」「株式会社あづま荒川エコファーム」「技研通信工業株式会社」など、11もの企業が置かれていることになっている。これらの会社のすべてが実体を伴っているとは思えず、ほとんどがいわゆるペーパーカンパニーだろう。
そして、この11社の中でもとりわけ注目すべきなのが「株式会社樋山ユースポット」だ。代表者は樋山茂。ユースビオ社と同じである。この会社に関しては、2018年にある「事件」を起こしている。当時の記事をご紹介しよう。
--------------------------------------------------安倍政権発足時、5%だった消費税の税率は8%、そして10%へと、この間2倍になった。その重税に市民が苦しむ中、樋山ユースポット社と樋山茂社長は消費税脱税で摘発されていたのだ。まともな仕事はせず、脱法行為の足がついたら会社を畳み、素知らぬ顔をして別の名前でまた会社を立ち上げる。同じ住所に刻まれている11もの会社名は、そうした「樋山流錬金術」の足跡である可能性を示している。
※ 「毎日新聞」2018年2月23日付記事より
消費税約3100万円を免れたとして、仙台国税局は22日、電気通信機器修理業「樋山ユースポット」(福島市西中央5)と、同社の樋山茂社長(56)を消費税法違反(過少申告ほ脱)などの疑いで福島地検に昨年12月19日付で告発したと発表した。
国税局によると、同社は従業員に支払った給与を、他の会社への外注費と偽装。偽の外注費分の消費税を、国などに本来納めるべき消費税から差し引く手口で、16年3月までの4年間で消費税計約3100万円を免れた疑いがある。
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本来ならこれだけでも税金が原資となる政府契約の相手方としての資質を欠いている。だが単にそれだけなら筆者はわざわざレイバーネットにこんな記事を書くほどの労は執らない。この後の調査で出てきたのはさらに驚くべき事実だ。
◆ 復興副大臣へ「献金」
その公式資料はネットの片隅から見つかった。埼玉県選挙管理委員会が平成28(2016)年2月8日に受理した前年度、すなわち2015年の政治資金収支報告書だ(注1)。
この資料の、PDFファイルのページ数で66ページ中45ページ目に問題の記載がある。政治団体「若松かねしげ市民フォーラム」に対し、「会社社長」樋山茂を名乗る人物から12万円、「会社役員」樋山尚子を名乗る人物から12万円、計24万円の寄付が行われている。2人は同じ住所で親族とわかる。夫婦の可能性もある。「若松かねしげ市民フォーラム」は、若松謙維(かねしげ)参院議員(公明、比例)の政治団体である。寄付を行ったのは、茂氏が2015年7月6日、尚子氏が同年7月29日である。若松議員は、2015年10月から復興副大臣に就任し2016年8月まで務めた。樋山茂、尚子両氏による寄付が行われたわずか3か月後の就任である。
さらに樋山ユースポット社は、全村避難の象徴となった福島県飯舘村での「復興」事業に関連して「ふくしま産業復興企業立地補助金」を受けている。この補助金は、「企業立地を加速し、当該地域での生産拡大及び継続的な雇用創出を行う企業」に対する支援を行うことを目的として、原発事故直後の2011年第3次補正予算で1700億円が措置され、2017年3月までに375社に1563億円が交付された(注2)。通常、民間企業の設備投資などに対する補助金は「企業のモラルハザード防止」などを理由に最大でも2分の1程度とされることがほとんどだが、この補助金は1件あたり200億円を上限に最大4分の3まで補助率を上げることが認められている。企業にとって「手厚い」制度のため申請件数が多かった。これだけ支援が手厚いと、不正を行う企業も現れる。実際、福島県白河市内の事業に関し、虚偽の申請でこの補助金2億5千万円をだまし取ったとして、2017年に 大阪府岸和田市の企業が摘発されている(注3)。
ここで樋山ユースポット社に関してもう一度思い出していただきたいことがある。(1)補助金を受給した時期、(2)国税局から告発された際の摘発理由、(3)脱税を行っていた時期だ。(1)に関して言えば、申請を希望する企業への事前説明や受付、交付事務などこの補助金に関する実務上の窓口を担う福島県の資料によると、平成27(2015)年3月12日時点で交付対象になった事業として樋山ユースポット社の名前が登場しており(注4)、同社は遅くともこの時点ですでに補助金を受給していたことになる。
(2)に関しては、上で紹介した毎日新聞の記事のとおり「従業員に支払った給与を、他の会社への外注費と偽装。偽の外注費分の消費税を、国などに本来納めるべき消費税から差し引く手口」だった。そして(3)に関して言えば、「2016年3月までの4年間」とあるから2013年から2016年までの期間であることがわかる。つまり樋山ユースポット社は、福島県内で「生産拡大及び継続的な雇用創出を行う企業」に対して支給される補助金を片手で受けながら、ほぼ同じ時期にもう片手では雇用(つまり労働者)をダシにして消費税を脱税していたことになるのである。
最後にもう一度、全体像をまとめておこう。樋山ユースポット社が雇用維持を名目とした国の補助金を片手で受けながら、もう片手で「雇用」をダシにして消費税脱税を繰り返していたさなかの2015年10月、若松議員は復興副大臣に就任した。その就任の「前祝い」でもするかのように、2015年7月、樋山茂・尚子両氏から若松議員への寄付が行われた。そんな「前科」のある樋山茂なる人物が今度は「ユースビオ」社を設立。この会社に対して「アベノマスク」の発注が行われた--。
少々複雑ではあるが、解きほぐしていくとこのような構図が見えてくる。ネットの片隅に眠るように置かれていた埼玉県選管の政治資金収支報告書、そして数々の公的資料が明らかにした「アベノマスク疑惑」の全容である。
若松元復興副大臣に関しては、仙台国税局によって脱税摘発が行われる2018年2月まで、その事実を知るすべはなかったのだからまだ同情の余地もあろう。だが、消費脱税と若松元復興副大臣への寄付の事実が公表されていながら、いわく付きの人物が経営する企業にアベノマスクを発注した今回の事件に関して安倍首相にはまったく同情の余地はない。多くの人命がかかったこの未曾有の危機にあっても、政策判断上の基準が「お友達か、そうでないか」以外にない政権を戴いていることは、日本の市民にとってコロナそのもの以上に多くの悲劇をもたらすだろう。「新型コロナ危機は安倍政権による人災である」--そのように断罪される日は、意外に早く訪れそうな気がする。
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注1)埼玉県選挙管理委員会公表「収支報告書」 https://t.co/2RNv0HxOrp
注2)レポート「東日本大震災後の中小企業支援と今後の課題―これからの中小企業政策に求められるもの―」(参院経済産業委員会調査室、https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2012pdf/20120702036.pdf)
注3)「震災復興補助金2.5億円詐取の疑い、会社役員2人逮捕」(2017年7月20日付「朝日新聞」、https://digital.asahi.com/articles/ASK7N3QFWK7NUTIL012.html)
注4)「産業復興の現状とこれまでの取組」(復興庁、https://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat1/sub-cat1-20/shiryou1-2.pdf)。この資料のPDFページ数で67ページ中41ページに樋山ユースポット社の記載がある。
『レイバーネット日本』(2020-04-29)
http://www.labornetjp.org/news/2020/0429kuro
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