☆ 自衛隊員は、どの国を守るために戦死するのか?
増田都子
1,戦争が家の中にも上がり込んできている?
火箱芳文元陸上自衛隊幕僚長(現靖国神社奉賛会崇敬者総代)は昨年の日本会議機関紙『日本の息吹』8月号において
※ 国家の慰霊追悼施設としての靖国神社の復活を願う|日本会議岩手県本部(nipponkaigi-iwate.org)
「近い将来国を守るため戦死する自衛官が生起する可能性は否定できない。…戦死の場合…筆者ならば靖国神社に祀ってほしい。」という一文を公表した。
本年1月31日には産経新聞が岩田清文元陸上自衛隊幕僚長の一文を掲載した。
※ <正論>自衛官の靖国参拝の意味と思い元陸上幕僚長・岩田清文-産経ニュース(sankei.com)
そして、本年4月1日、靖国神社トップの宮司に大日本帝国敗戦後初めてとなる元海上自衛隊海将の大塚海夫氏が就任した。
この日、私は「『新しい戦前にさせない』共同テーブル」主催の「『金権』から『民権』へ」という院内集会に参加したが、岡崎ひろみ新社会党委員長・元衆議院議員の発言「『戦争は廊下の奥に立っている』といいますが、私にいわせるなら『今は玄関で大きな顔をして立っていて、戦争が出来る国になっている』」…が、強く印象に残った。
※ 集会「金権」から「民権」へ㊦|桑原亘之介(note.com)
上記自衛隊元幹部らが自衛隊と靖国神社との強い結びつきを、もはや全く隠そうともせず、堂々とおおぴっらに自衛隊員戦死の予定を公にしたことは、もう戦死後の靖国合祀実行計画があることを明らかにしていると言っていいのではないか…。
戦争が、もう廊下どころか玄関どころか、家の中にまで一歩上がり込んできているのではないか!?
日本国憲法は戦争を放棄しているのだ。当然、仮想敵国など想定しておらず、自衛隊員の戦死など有り得ないはず…にもかかわらず…。
2,自衛隊員が戦死する予定の戦争とは?
それは「台湾有事」という、アメリカの国益を守るのための「台湾防衛」戦争における戦死だろう。そして、これは安倍晋三の憲法破壊政策の結果である。少し、振り返ってみよう。
アベは『この国を守る決意』(扶桑社 2004年)という著作の中で「自衛隊はアメリカが攻撃されたときに血を流すこと」をするべきだから集団的自衛権を行使できるようにしなければならない(P63)と主張した。
そしてアベは首相となって2014年7月1日、集団的自衛権も日本国憲法の下で合憲と閣議決定し、翌15年9月19日、安保法制という戦争法制を数の暴力によって強行成立させた。
2018年2月14日の衆院予算委員会では「先に攻撃したほうが圧倒的に有利」とも発言している。
2022年12月16日には岸田政権が「安保」3文書という、実質は「戦争するぞ」3文書を閣議で決定し、民の福祉を犠牲にしてGDPの2%という異次元の大軍拡をガムシャラに推進。琉球列島を中心とする西南諸島の前線基地化を住民がどんなに反対しても押し潰し、ミサイル基地&兵站基地建設を進めている。
前記火箱芳文元自衛隊幕僚長の「戦死自衛隊員を靖国に祀れ」という投稿の1か月後になるか、2023年8月8日には麻生が「戦う覚悟だ。いざとなったら、台湾の防衛のために防衛力(※自衛隊員)を使う」(※増田)などと公言した上、本年1月10日には米国ワシントンで「台湾有事は日本の存立危機事態(※有事)」などと公言した。
「日本は中国の台湾侵攻時に集団的自衛権を発動する可能性が高いという考えを示した。」そうだ…。
※ 自民 麻生副総裁"「戦う覚悟」が地域の抑止力に" 台湾で講演 | NHK | 台湾
※ 「台湾有事は日本の存立危機事態」 麻生氏 米国で抑止力強化訴え:朝日新聞デジタル (asahi.com)
本年2月4日には「自衛隊と米軍が実施中の最高レベルの演習(※戦争練習)で、仮想敵国を初めて『中国』と明示していること」が報道された。
※ 「中国」明示し日米初演習 台湾有事の作戦計画反映へ(共同通信) - Yahoo!ニュース
実は米軍は「オフショア・バランシング戦略」を公表しており、それには「米国は大陸における闘争に直接関与することは極力回避し、これを同じ地域の他の大国によって抑止させるべきと主張する…ユーラシア大陸における勢力争いに可能であれば傍観を決め込むが、抑止が破綻し勢力均衡が崩れた場合には直接介入」(下線:増田)とある。海上自衛隊幹部学校Web(2013年12月)にある。
※ 戦略研究会-新着情報- (mod.go.jp)
つまり、米軍は現在「有事(戦争)」において自軍の損傷をできる限り減らすために他国の軍に戦わせることを基本としているのである。ベトナム戦争の教訓だろう。「アジア人をしてアジア人と戦わせよ!」
伊波洋一参議院議員のブログには以下のようにあった。
「第1列島線で戦う自衛隊など同盟国のインサイド部隊と第2列島線上の米軍が主体のアウトサイド部隊を想定しています。…台湾有事=中国による台湾統合の際、その兆候を察知した米軍は中国ミサイルの射程圏内にある日本列島から退避します。」
※ 台湾有事で、日本を戦場にする政府に反対しよう (kokuminrengo.net)
実際、伊波議員は2023年5月9日の参院外交防衛委員会で次のように発言している。
「二〇一五年には、米軍が日本を守るとした一九九七年の日米ガイドラインを変更し、新ガイドラインでは、米国が武力で日本を守ることはないということにしました。」
「今、日本には最大五万人超えているわけです。本当に全世界で一番多いんですよね。しかし、その五万人が有事ではいなくなる。」
「極めて現実的なシミュレーションでは、現在五万人を超えて駐留し、各地で住民に多大な被害を与えた訓練を繰り返している米軍は登場しません、岸田首相のシミュレーションではですね。国家防衛戦略でも、万が一、抑止が破れ、我が国への侵攻が生起した場合には、我が国が主たる責任を持って対処し、これを阻止、排除する、とあるように、もはや在日米軍は抑止が破れた時点で我が国を守らないのですね。」
浜田防衛大臣の回答は、これを否定することはなかった。
「政府として、米国が日米安保条約上の義務を果たすことに全幅の信頼を置いており」
自衛隊元幹部は「近い将来国を守るため戦死する自衛官が生起する」というが、では、自衛隊員はどこの「国」を守るために戦死するのだろうか? 「台湾有事(戦争)」で、なぜ、自衛隊員が「台湾防衛」のために戦死しなければならないのだろうか?
麻生も岸田も絶対2万%…と言い切れるが…「台湾防衛(戦争)」のために戦死することはない。
3,日本政府が台湾の人たちに「戦争」を煽ってどうする?
「台湾有事(戦争)」は中国の問題であり何よりも台湾の人達の問題であり、台湾の人達がそれをどう考えているか、何を望んでいるかが一番大事なことだ。
本年1月、台湾では総統選挙と議会(立法院)選挙が行われた。総統選は台湾独立を目指していると言われる民進党候補者が当選したが、得票率は40%に過ぎず、議会は113議席の内、民進党は51議席で11議席減らし少数与党に転落した。
親中と言われる国民党は15議席増の52議席、「将来の統一は否定しない」という民衆党が8議席、無党派二人…一人は台湾人元日本兵の靖国合祀反対行動で知られる高金素梅氏…という構成である。
※ 台湾総統選挙 民進党・頼清徳氏国民党と民衆党破り当選も立法院は過半数割れ 中国・習近平指導部の反応は | NHK | 台湾
こうした選挙結果を見ると、台湾の人達は現状維持の平和を望んでいるのであって、誰も中国との戦争など望んでいない、と断言できるのではないか。それを、全くの外国人である麻生…それも、大日本帝国の侵略植民地支配で財を成した麻生財閥の代表的存在…などが台湾に乗り込んでいって、「台湾有事(戦争)」は「日本有事(戦争)」だから「自衛隊員を戦争に投入して戦死させることもも厭わないからね」なんぞと…そのために戦死自衛隊員を靖国神社に祀ることも計画に入れている、とまではさすがに言ってはいないけれど…戦争を煽ってどうする? それのどこが「日本国を守る」ことになるのか?
NHK報道では中国政府は次のように語っている。
【(中国政府の)国家統一を完成させるという立場は終始一貫している。『台湾独立』という分裂行動や外部勢力の干渉に断固反対する。台湾の関係する政党や団体などとの交流や協力を促進し台湾海峡両岸の融合発展を深め、平和的発展と祖国統一の大業を推し進める」として台湾統一への強い意欲を示しました。
また、中国外務省も報道官の談話を発表し、「台湾問題は中国の内政だ。台湾の情勢がどう変化しようが、世界には『1つの中国』しかないし台湾が中国の一部分だという基本的事実は変わらない」と主張しました。】
アベ政権以降、日本政府は「中国は国際法を守らない。法の支配を守れ」なんぞと繰り返し繰り返し叫んでいるけれど、締結された国際条約は国際法として遵守する義務を各国は負っている。1978年に締結された日中平和友好条約第一条には次のように明記してある。
1 両締約国は、主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存の諸原則の基礎の上に、両国間の恒久的な平和友好関係を発展させるものとする。
2 両締約国は、前記の諸原則及び国際連合憲章の原則に基づき、相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決し及び武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する。
この条約は「(日中)共同声明に示された諸原則が厳格に遵守されるべきことを確認し」た上で結ばれており、共同声明には以下が明記されている。
「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。」
日本政府が国際法を遵守し「法の支配」を重視しているのなら「台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部である」という中国の「立場を十分理解し、尊重し」ているはずであり、両国は「すべての紛争を平和的手段により解決し及び武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認」しているのだから、どうして「仮想敵国・中国」という言葉を明記した上で、中国と戦争するための軍事演習を米軍と自衛隊共同でやっているのだろうか? どうして「台湾有事は日本の有事だから、米軍がたとえ攻撃されていなくとも米軍の為に自衛隊員を戦死させてでも中国と戦争する」なんて公言できる自民党有力者を自民党総裁の岸田首相は処分できないのだろうか?
もっとも「台湾発・東アジア最大級オンラインメディア」と謳う『ザ・ニュースレンズ日本版』によれば、麻生発言は「これほどの発言が政府側と連絡をとらずになされたとは考えにくい。麻生派に所属し、今回の麻生氏の訪台に同行した自民党の鈴木馨祐政調副会長は9日夜のBS フジ番組内で、麻生氏の『戦う覚悟』発言に関し『政府内部を含め、調整をした結果だ』と証言している。」のであれば、処分どころの話ではない。岸田首相のお使いとしての発言だったのだろう。
※ 日本の対台湾政策変更うかがわせる麻生氏の「戦う覚悟」発言に戸惑いも【樫山幸夫の一刀両断】 - The News Lens Japan|ザ・ニュースレンズ・ジャパン
上記記事には次のような記載もある
「台湾の人たちは、あくまで現状維持を望んでいる。『台湾独立』にも、中国との統一にも反対、『現在のまま』を望む人たちが約80%にものぼっている。中国を必要以上に刺激することを警戒、外部で『台湾有事』などと喧伝されことにも当惑する声が少なくない。」
8月10日付の産経新聞は麻生発言について「台湾の与党・民進党に近い『自由新報』が『インド太平洋におけるわれわれの方向性が示された』という頼清徳副総統のコメントとあわせて『日本は裏切らない』との論評を報じた。その一方で、中国寄りの『中国時報』は、『戦争を煽る』『台湾への善意が感じられない』など日本に厳しい報道を展開しているとも報じた。」としている。
4,「国」の形が正反対である「大日本帝国」と「日本国」の違いも認識できていない元自衛隊幹部!?
元幹部たちは「近い将来、戦死する自衛官」を予定して「自衛隊員は戦死後、靖国神社の神として祀られたいと思っている」という。公言しているのはさすがに元幹部だけではあるけれども、隊員の集団靖国参拝を恥じない現役幹部たちも同じ考え方だと見ていいだろう。しかし、彼らの客観的事実に対する認識能力は実にお粗末で常識的判断力も無いのではないか、もしかして「認知に歪みがあるのではないか」と強く危惧される。
1に挙げた岩田清文元陸上自衛隊幕僚長の産経新聞への投稿を検討してみよう。
【現役当時から、個人的には、もしいざという時が訪れ最後の時が来たならば、靖国神社に祀ってほしいとの願いを持っていた。① 靖国神社には、戊辰戦争に始まり日清・日露戦争、そして大東亜戦争に至るまで、『祖国日本を護る』との一念のもと、尊い生命を捧げられた246万6千余の柱が祀られている。② 我々自衛官と同じ「国のために命を懸ける」との志を持たれていた先人が祀られる靖国に、自分の死後もありたいと思っていた。
我々日本人は、いつまで③ 靖国での慰霊を他国に配慮し続けるのか。戦後80年を目前に、これまでの平和を大事にする日本の歩み、そして日本の生きざまに自信と誇りを持ち、④ 主権国家として堂々と生きていくべきではないのか。主権とは、対外的には国家の独立性を保持し、外国からの干渉を排除する権利と理解する。であるならば、⑤ 神社への参拝という日本人としてごく自然の風習を守り続ける独立性、そしてその行為に対する外国からの干渉を排除して初めて我が国は主権国家と言えよう。
⑥ 靖国神社は「祖国を守るという公務に起因して亡くなられた方々の神霊(みたま)」を祀る場であり、そこには、日本人として戦い、亡くなった台湾や朝鮮半島出身者、そして大東亜戦争終結時に、東京裁判でいわゆる戦争犯罪人として処刑された方々なども含まれている。⑦ (前)身分や勲功の区別なく、国のために戦った一点において共通していれば、一律平等に祀られる点こそ、(後)死後、その魂は永遠にこの世にとどまり、国や地域などの場所で守り神となるという、悠久の昔から伝わる日本人の伝統的信仰に基づくものと私は理解している。
この⑧ 靖国神社に赴き、戦没者を追悼して日本の安寧を祈祷することは、日本人が長年にわたり培ってきた社会的儀礼であり習俗的行為である。】
ツッコミどころ満載の認識(認知)である。こんなフェイク・真っ赤な嘘を公言してよく恥ずかしくないことよ…。以下、①~⑧について、考えてみる。
① について。
この元自衛隊幕僚長さんは、戊辰戦争は討幕派と佐幕派の内戦であって『祖国日本を護る』なんて観念はゼロの戦争だったことも認識(認知)できないのだろうか? しかも、靖国神社はこの内戦の戦死者の内、官軍である倒幕側つまり天皇のために命を捧げた天皇の忠臣たちのみを神として祀り、賊軍側の戦死者たちは排除(差別)されていることがこの神社の性格の本質であるのに、それすらご存じないという無知(無恥?)を曝け出していらっしゃる。
その結果、実に安易に②が明記される。
② について
靖国神社の神となった246万6千余柱の戦死者たちは、日本国憲法を「国」の根幹とする「自衛官と同じ『国のために命を懸ける』」ことをしたと、この元自衛隊幕僚長さんは思い込んでいるらしい!?
いや、全く違うだろう?
靖国神社の246万6千余の戦死者たちは「天皇絶対・無民主主義・無基本的人権・戦争主義」の大日本帝国憲法を根幹とする『国のために命を懸ける』ことをした(させられた)人たちである。
一方、自衛隊員は「国民主権・民主主義・基本的人権尊重・戦争放棄」の日本国憲法を根幹とする『国のために命を懸ける』ことを責務としているし、就任するときは全ての公務員と同じく「日本国憲法を遵守し※」と宣誓しているはずだ。
※ (服務の宣誓及び倫理綱領基準)スライド 1 (mod.go.jp)
私は日本国憲法擁護義務を為政者たちが果たしていれば自衛隊という存在も無いはずだと考えているが、とりあえずは厳然と存在する自衛隊について考える。
靖国神社の246万6千余の戦死者たちは、明治維新後、大日本帝国の敗戦まで「天皇絶対・無民主主義・無基本的人権・戦争主義」の『国のために命を懸ける』ことをした(させられた)人たちであって、「国民主権・民主主義・基本的人権尊重・戦争放棄」を求める人たちを残虐に殺し…小林多喜二を見よ!…弾圧した『国のために命を懸ける』ことをした(させられた)人たちでなのある。大日本帝国憲法と日本国憲法は全く180度正反対の「国」の形を示している。
そんなことは中学生の「公民」授業だって習っているはずであるが、自衛隊の教育ではこういうごく初歩の基本知識も教えないのだろうか? すなわち、自衛隊では「遵守」するはずの日本国憲法の内容を教えないのだろうか?
この元自衛隊幕僚長さんは現役時代、戦死したら「天皇絶対・無民主主義・無基本的人権・戦争主義の国」を守るために「命を懸け」て戦争し、「国民主権・民主主義・基本的人権尊重・戦争放棄の国」を希求する人々を殺していった大日本帝国政府の命に殉じた結果、戦死後は天皇に大日本帝国の守り神として認定され祀られている「246万6千余の柱」に連なりたいと考えていた…。
この元自衛隊幕僚長さんは敗戦前の「天皇絶対・無民主主義・無基本的人権・戦争主義の国」であった大日本帝国と、敗戦後の「国民主権・民主主義・基本的人権尊重・戦争放棄の国」である日本国と、どちらの『国のために命を懸ける』つもりでいたのか?
③ について
中国が戦犯東条らを神と祀る靖国神社に政府首脳らが参拝することに抗議したことを言っているようだが、ここにも自国の最高法規及び歴史事実に対する無知(無恥)が存在する。
「天皇絶対・無民主主義・無基本的人権・戦争主義の国」であった大日本帝国は天皇の命ずるままに他国に対する侵略(強盗殺人)戦争を繰り返した。戦死者たちは天皇によって「『天皇絶対・無民主主義・無基本的人権・戦争主義の国』の護国の神」と認定され「生きているものは、こういう国が永遠に続くように靖国神社に跪け、あとへ続け」と靖国神社参拝を鼓舞・強制された。
東条内閣の時に開戦したこのアジア太平洋戦争で日本人は民間人を含めると…植民地としたところも含め…約310万人が戦争で命を奪われ、日本軍は2千万人ともいわれるアジア諸国の人々の命を奪ったのである。しかも、日本軍将兵230万人のうち、6割の140万人は補給を無視した超愚劣な作戦強行による餓死だった(『餓死した英霊たち』藤原彰、青木書店)。
大元帥にして統治権の総覧者…つまり主権者…である昭和天皇が降伏をずるずると先延ばしにした結果、ソ連参戦を招き、原爆まで落とされ…1945年7月26日のポツダム宣言をすぐに受諾していればこの二つは無かった…ついにアメリカを中心とする連合国に大日本帝国は敗れた。その呑んだ降伏条件であるポツダム宣言には「戦犯処罰、日本の民主化」があった。
日本国憲法ができるまでには紆余曲折はあったが「日本は二度と戦争国家にはならない。戦争は放棄する。平和主義の国となる」ということを根幹に置いて帝国日本とは正反対の「国民主権・民主主義・基本的人権尊重・戦争放棄」を「国」の形とする日本国が1947年5月3日に成立したのである。そして、そういう国として国際社会に復帰を許されたのである。
1952年のサンフランシスコ講和条約は第十一条で「日本国は、極東国際軍事裁判所並びに日本国内及び国外の他の連合国戦争犯罪法廷の裁判を受諾し」ている。
すなわち、東条ら戦犯は、大日本帝国の侵略(強盗殺人)戦争における二千万人と言われる人々に対する殺人者・極悪犯罪者として刑死し、それを受諾(=肯定して受け入れること)を国際社会に明言して、日本国は一応…つまり、外見上は主権国家として…「独立」を回復したのである。
この東条ら戦争犯罪人(=極悪犯罪者)たちをも神と崇めるのが靖国神社なのである。
こうした東条ら極悪犯罪者戦犯たちを神として崇め祀る靖国神社に日本国の為政者が参拝することに対して、「天皇絶対・無民主主義・無基本的人権・戦争主義の国」であった大日本帝国によって最大の被害を受けた国が、ポツダム宣言を受け入れて戦犯法廷裁判を受諾したにもかかわらず参拝することを批判するのは「国際法」を遵守するならば当然の権利であると認識できるはずである。
中国は靖国神社が東条ら戦犯を神とする以前は昭和天皇の靖国参拝も批判はしていなかった。
ついでながら、昭和天皇も東条ら戦犯を神と祀ったことが公になってからは参拝をやめた。昭和天皇は、本来は最高戦犯として裁かれるべき自分の罪を全てかぶってくれた東条らを神としてその前に跪くことは、自分の罪を突き付けられるようでイヤだったのかもしれない…。
日本国憲法が基本的人権の一つとして宗教の自由=政教分離原則を取るのは、アジア太平洋戦争時、陸海軍管轄下の戦争神社であった靖国神社参拝は「宗教ではない。社会的儀礼であり習俗的行為である。」という無理無理の理屈を付けて国家神道といわれるような奉賛体制(臣民への強制)を「天皇絶対・無民主主義・無基本的人権・戦争主義の国」である大日本帝国が推進していたことへの反省からである。
日本国憲法20条3項はいう「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」
首相だの国会議員など公務員は…当然、自衛隊員を含む…正に「国及びその機関」である。その仕事に従事している限り、大っぴらに特定の神社への参拝などすることは憲法違反だ。
「国民主権・民主主義・基本的人権尊重・戦争放棄の国」など絶対に作らせないことを目的として「『天皇絶対・無民主主義・無基本的人権・戦争主義の国』を命を懸けて守れ!」と戦死した(させられた)人々や、彼らに戦死することを強制した東条ら戦犯を神と崇める神社に首相だの国会議員などが大っぴらにその肩書を誇示して参拝することは憲法に明確に違反する。
もちろん、日本国憲法破壊を目的とする自民党の…立憲だの維新だのもいるが…議員・首相たちはどんな憲法違反も平気の平左であるが…。
④ について
「主権国家として堂々と生きていくべき」とは「首相・議員たちは中国などの批判に配慮せず靖国参拝せよ!」と言いたいのだろうが、日本の主権を最も侵害しているのは米軍(アメリカ)である、日本はアメリカ帝国の属国である、という事実も自衛隊幹部たちは認識(認知)できないでいらっしゃるのだろうか…。
なぜ、米軍は日本の航空法を守らなくていいのか?
なぜ、米軍車両は高速代を払わなくていいのか?
なぜ、米軍が起こした事故や犯罪を日本側は調査裁判できないのか?
…幕末、幕府が砲艦外交によって結ばされた不平等条約の治外法権が現在も米軍には与えられている
…なぜ、米軍の言うままに基地を作らなければならないのか
…米軍が要求すればどこでも基地を作ってあげるという密約が日本政府と米軍との間にある(『主権なき平和国家』集英社、『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』講談社現代新書)
…等々、米軍が駐留している他国と比較しても日本の主権が完全に侵害されていること、日本が米軍(アメリカ)の属国的地位にあることは普通の判断力さえあれば容易に判断できることだ。
まして、自衛隊幹部だった人だ。それこそ、有事(戦争)を想定した日米共同軍事訓練(ウォーゲーム)において、自衛隊は米軍の指揮下で活動することになっていることを知らないはずはないだろうに…指揮権密約は「防衛」に関心のある人には公知のことになっていると思うが…。
※ じつは「日本」は「完全な属国」だった…日本が米国と交わした「ヤバすぎる 3 つの密約」(矢部 宏治) | 現代新書 | 講談社(2/5) (gendai.media)
自衛隊幹部たちは米軍(アメリカ)なら自国の主権を侵害されても唯々諾々と肯定するのか?
「日本は国民主権・民主主義・基本的人権尊重・戦争放棄の国である」とする日本国憲法の破壊を目的とする自民党為政者たちは、米軍(アメリカ)の属国であり続け、主権を侵害され続けることにも嬉々として協力しているのだから、自衛隊幹部たちが、こういう認識(認知)でいるのも当然なのか…。
岸田首相は国賓「待遇」…「国賓」ではない…ということで大喜びで訪米し、4月10日、日米共同声明を出した。
「作戦及び能力のシームレスな統合を可能」にするため「それぞれの指揮・統制の枠組みを向上させる」そうだ。
「それぞれの指揮・統制」といったところで、「密約」はおいてたとしても、兵力・情報力で圧倒する米軍が自衛隊を指揮することになることは明らかだ。
グローバルに、つまり「アメリカの国益を守るための戦争に、自衛隊を日本領域に限定せず世界中で使ってください。そのための米軍統一指揮計画を具体的に作りましょう」ということを約束してきたのである。バイデン米国大統領は大喜びだ。
いったい、自衛隊はどの「国を」守るためにあるのか?
「天皇絶対・無民主主義・無基本的人権・戦争主義の国」であった大日本帝国という「国」か?
「国民主権・民主主義・基本的人権尊重・戦争放棄の国」であるはずの日本国という「国」か?
「中国に追い抜かれないために、中国を台湾戦争に引きずり込んで中国の力を弱めよう、米軍戦死者は少なくしたいから自衛隊員たちを戦わせよう」とたくらむアメリカという「国」か?
⑤ について
「神社への参拝という日本人としてごく自然の風習」というけれど、私は日本人だが実家は代々「神祇不拝」の真宗門徒であり、私は古いものは好きなので神社見学はするけれど「参拝」したことはない…ということはおいても「神社への参拝という日本人としてごく自然の風習」なんて、誤魔化しもいいところである。
神社一般と靖国神社(護国神社)は全く違う。
靖国神社(護国神社)は「『天皇絶対・無民主主義・無基本的人権・戦争主義の国』である大日本帝国を守れ!」として戦死した(させられた)人々を神と崇める極めて特殊な神社であって、普通にそこいらにある神社と同じではない、ということをどうしても認識(認知)できないのだろうか?
靖国神社…護国神社も含め…以外の日本の神社で、こんな性格を持つ神社は一つも無い!
百歩譲って「神社への参拝という日本人としてごく自然の風習」があるとしても、「『天皇絶対・無民主主義・無基本的人権・戦争主義の国』を守れ!」と言われて戦死した(させられた)人々を神と崇める「神社への参拝」は「日本人としてごく自然の風習」とは言えない。
それを「日本人としてごく自然の風習」だから参拝せよ! と嘘を吐いて強制したのは「天皇絶対・無民主主義・無基本的人権・戦争主義の国」であった大日本帝国のみであり、「悠久の昔からの」日本の歴史の中では、明治以降のことにすぎず、元自衛隊幕僚長のように現在もそう信じ続けている人を入れたとしてもたったの150年程度に過ぎない。
ついでにいえば、「悠久の昔からの」日本の歴史の中では、神仏混交が「日本人としてごく自然の風習」である宗教文化だったのであり、そういう「日本人としてごく自然の風習」である伝統的宗教文化を破壊して神さんを仏さんから切り離すことを強制したのは明治大日本帝国政府の神道国教化政策・廃仏毀釈であった。
あの時、この愚劣な政策によって「悠久の昔からの」日本の仏教文化・宝物がどれほど破壊されたことか…
さすがに神道国教化は「近代国家」を気取るならばできない相談だったために「神社への参拝という日本人としてごく自然の風習」だ、「日本人が長年にわたり培ってきた社会的儀礼であり習俗的行為」だ、「悠久の昔から伝わる日本人の伝統的信仰」だ、などと真っ赤な嘘(フェイク)の歴史偽造をして、靖国神社(護国神社)への参拝を強制したのが「『天皇絶対・無民主主義・無基本的人権・戦争主義の国』である大日本帝国」という「国」であった。
⑥ について
「靖国神社は『祖国を守るという公務に起因して亡くなられた方々の神霊』を祀る場」というのは実に不正確である。ここが元自衛隊幕僚長さんたちの認識(認知)能力が非常に危惧されるところである。正確に書くべきだ。
「靖国神社は『天皇絶対・無民主主義・無基本的人権・戦争主義の祖国=大日本帝国を守るという公務に起因して亡くなられた方々の神霊』を祀る場」と…。
⑦ 前半について
「身分や勲功の区別なく、国のために戦った一点において共通していれば、一律平等に祀られる」…。
これは嘘・フェイクである。普通に生活している一般人はそういうふうに思い込まされているとしても、自衛隊幕僚長さんがこんな程度では、その認識(認知)能力が危惧される。
『靖国神社 -「殉国」と「平和」をめぐる戦後史-』(赤澤史朗 岩波現代文庫)によれば事実は以下である。
「旧皇族戦死者とは二人の北白川宮(一人は台湾征討中に、一人は日中全面戦争期に蒙疆で死亡)のことであり…旧皇族二柱のためだけに特別の『一座』を設けるという祀り方にも、死んだ後にも臣下と旧皇族は別であるという考え方」(P125~126)
つまり、元自衛隊幕僚長さんが書いている「246万6千余の戦死者の御霊」はダンゴにしてたったの一座として神として祀られており、旧皇族はたった二人で一座の神として祀られているのである。
したがって、臣民一柱当たりの神さんとしての価値は皇族神さんの価値の123万3千分の一!?
「身分や勲功の区別なく、国のために戦った一点において共通していれば、一律平等に祀られ」ているどころか、凄まじい差別があるのが靖国神社である!
こういう事実は普通のメディアでは絶対に報道しないから、普通に生活している人がこういう事実を知らないのは当然と言えるけれども、元自衛隊幕僚長さんで現役時代から「戦死したら靖国神社の神として祀られたい」と考え続けていた人が本当に知らないのか? それとも知っているけれども知らないふりなのか?
靖国神社はその出発点からして、もともとが①で考えたように、天皇の命に服して命を落とした天皇の忠臣である官軍側のみを祀り、賊軍は天皇の命に服さなかった賊だから排除(差別)して神さんになどしてやらない…だから賊軍の大将として死んだ明治維新第一の功労者である西郷隆盛も排除されている…という排除(差別)を基本とするのが靖国神社スピリットなのである。
⑦ 後半について
上記のように元自衛隊幕僚長さんによる前半の主張が全くのフェイク(嘘)なので、当然「一律平等に祀られる」からこそ「死後、その魂は永遠にこの世にとどまり、国や地域などの場所で守り神となるという、悠久の昔から伝わる日本人の伝統的信仰」などという主張も全くのフェイク(嘘)だ。
「悠久の昔から伝わる日本人の伝統的信仰」どころか、靖国神社ができる以前は敵も味方もなく供養し祀ることが「昔から伝わる日本人の伝統的信仰」だった。
靖国神社はこの「悠久の昔から伝わる日本の伝統信仰」の醇風美俗を破壊したのである。
認識(認知)能力が歪んでいるのか、大日本帝国と日本国が正反対の「国」であることも認識(認知)できない元自衛隊幕僚長さんが、事実に基づかない主張を展開して出す結論は当然、事実に基づかない完全に誤った結論である⑧となる。
⑧ について。
「靖国神社に赴き、戦没者を追悼して日本の安寧を祈祷することは、日本人が長年にわたり培ってきた社会的儀礼であり習俗的行為」!?
自衛隊員・元幕僚長さんたちは「靖国神社に赴き」『天皇絶対・無民主主義・無基本的人権・戦争主義の国』を守るために命を捨てることを強制された「戦没者を追悼して」神と崇め奉ることによって、本当に『国民主権・民主主義・基本的人権尊重・戦争放棄の国』である「日本の安寧を祈祷すること」ができると考えているのだろうか?
「日本人が長年にわたり培ってきた」どころか…どの歴史時代の「国」から「日本人」となったかは別にしても倭「国」時代から約2千年とすれば、『天皇絶対・無民主主義・無基本的人権・戦争主義の国』を守るために戦死することを強制された「戦没者を追悼して」神と崇め奉り「靖国神社に赴き」「日本の安寧を祈祷すること」を「社会的儀礼・習俗的行為」とした時間は、たったの150年間弱に過ぎない。
当然、自然な「社会的儀礼であり習俗的行為」なんぞではあり得ず、大日本帝国時代、ここへの参拝を拒否すればどんな凄惨な制裁を受けても文句を言わない…時には死に至る残酷なリンチも受ける…覚悟が必要だったのが、歴史の事実である。
靖国参拝は「社会的儀礼であり習俗的行為」である、つまり宗教的行為ではないから日本人は全員参拝すべし、という主張は『天皇絶対・無民主主義・無基本的人権・戦争主義の国』であった大日本帝国政府の主張であり、神道など信仰しない日本人…キリスト教信者たちをはじめ靖国参拝を拒否する日本人たち…に対して靖国参拝を強制する論理だった。
そして「戦死して靖国の神となることは日本人なら当然」と大日本帝国政府とメディアが結託して大部分の日本人を洗脳し、軍国主義を推進した装置が靖国神社だった。これは常識的な歴史の事実であると思うのだが…。
元自衛隊幹部が大日本帝国敗戦後、初めて靖国神社宮司となり、元幹部が「近い将来戦死する」予定…台湾防衛戦争のため?…の自衛隊員のために「靖国神社の神さんとして祀りましょう!」などとおおっぴらに主張しているのに、リベラルといわれているマスメディアでさえ「いったい、自衛隊はどの国を守るために『戦死』予定なのか?」を問わないでいることに強い疑念を持つ。
自衛隊員は、『天皇絶対・無民主主義・無基本的人権・戦争主義の国』であった大日本帝国という国を守るために靖国神社の神とされた将兵たちと「同じ国」を守るために戦死予定なのか?
自衛隊員は『国民主権・民主主義・基本的人権尊重・戦争放棄の国』である日本国を守るために戦死予定なのか?
もし、そうならば「戦死自衛隊員たちを靖国神社の神として祀れ!」などという主張は出てこないはずだ。
それとも、自衛隊元幹部たちは「近い将来」台湾防衛戦争=アメリカという国(の国益)を守るためにアメリカ軍の盾となって自衛隊員たちは戦死すると考えているのか?
私は日本政府は日本国憲法尊重擁護義務を果たし、自衛隊を内外緊急援助隊に改組して本当に国内外の「人々を守ってほしい」と願っているが、百歩譲っても集団的自衛権の行使はできない国であることをアベ政権以前に戻って日本政府は宣言し、専守防衛に徹するべきだと考える。
台湾防衛戦争=アメリカ(の国益)を守るためにアメリカ軍の盾となって自衛隊員たちが戦死するなんて愚の骨頂である。その時、琉球列島の人達は「政府の行為によって再び戦争の惨禍」を舐めているし、本土だって同じだ。
5,現役自衛隊幹部は「大東亜戦争」とは中国侵略戦争の正当化呼称であったことにも無知なのか?
東京新聞は4月10日、以下の社説を掲載した。
※ <社説>「大東亜戦争」投稿 自衛隊の歴史観を憂う:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)
「陸自大宮駐屯地(さいたま市)の第32普通科連隊は5日、日米が戦った硫黄島(東京都小笠原村)の戦没者追悼式への参加をXの公式アカウントに投稿した際『大東亜戦争最大の激戦地』と記した。この表現は8日に削除した。
日本は1941年12月の開戦直後、アジアの解放を名分に『大東亜戦争』と呼ぶことを閣議決定した。戦後『大東亜戦争』の呼称は連合国軍総司令部(GHQ)に禁じられ、現在は日本政府も一般に公文書では使用していない。
代わって『太平洋戦争』の表現が定着したのは、破滅的な敗戦につながったアジアへの侵略と植民地支配を戦後、幅広い日本国民が反省したからにほかならない。
同様に自衛隊も現行憲法の下、旧軍と制度的に断絶する形で発足した。にもかかわらず、陸自部隊が公式アカウントで一時的とはいえ「聖戦思想」を疑われかねない投稿をしたことは深刻である。
懸念はこれにとどまらない。海自司令官と幹部候補生学校卒業生らが昨年5月に、陸自幹部ら22人が今年1月に、靖国神社を参拝した。もちろん隊員にも信教の自由はあり、防衛省は私的参拝と結論付けて問題視はしていない。
しかし、参拝が強制でなくてもA級戦犯を合祀(ごうし)し、先の戦争を正当化する神社に自衛隊員が集団参拝した事実は残る。内外から歴史観を疑問視され、憲法が定める政教分離にも抵触しかねない。
内閣府による最新の世論調査では、自衛隊に『良い印象を持っている』は90.8%に及ぶ。文民統制の下、防衛と災害救援、国際貢献を積み重ねてきた結果だ。
一連の言動は自衛隊が築き上げてきた信頼を自ら損なうことになりかねない。防衛省・自衛隊は疑念を招く言動は慎むよう隊員への指導・教育を徹底すべきである。」
こんな投稿をXで自衛隊の公式な立場として表明する無知(無恥)にも呆れる。この言葉はこの社説にあるように1941年12月12日、東条内閣が閣議決定したものだ。
「今次の対米英戦争及今後情勢の推移に伴い生起することあるべき戦争は支那事変おも含め大東亜戦争と呼称す」と。同日、内閣情報局は、「今次の対米英戦は、支那事変をも含め大東亜戦争と呼称す、大東亜戦争と称するは、大東亜新秩序建設を目的とする戦争なることを意味するものにして、戦争地域を大東亜のみに限定する意味に非ず」との声明を発表している。
※ bulletin_j13-3_3.pdf (mod.go.jp)
「大東亜新秩序」とは「日中戦争下における日本の中国侵略を合理化するためのイデオロギーとスローガン。(中略)東亜新秩序とは,欧米帝国主義と共産主義を東アジアから駆逐し,中国の抗日民族統一戦線を崩壊させ,〈日満支ブロック〉構想にもとづき日本が中国を排他的に独占支配することを合理化するためのイデオロギーであり,大東亜共栄圏構想の先駆をなすものであった。(改訂新版 世界大百科事典 「東亜新秩序」の意味・わかりやすい解説)」
ちょっと調べてみれば、こんな内容はすぐに出てくる。自衛隊幹部たちは、こんな基礎知識さえも持たないのだろうか?
その「侵略(他国に対する強盗殺人)の大東亜戦争」を推進した戦争犯罪者たちに対する判決を受諾し、二度と「『大東亜戦争』のような侵略(他国に対する強盗殺人)戦争はしません」という精神をサンフランシスコ講和条約及び日本国憲法の原則として成立したのが現在の『国民主権・民主主義・基本的人権尊重・戦争放棄の国』である我が日本国である、という事実も自衛隊幹部たちは知らないのだろうか?
「日頃から 使わにゃ出ない 大東亜」
…4月10日の朝日川柳(山丘春朗選)にはこのような句があったが、自衛隊では幹部も隊員も「侵略(他国に対する強盗殺人)の『大東亜戦争』」を日常的に肯定し「普通の言葉」として使用しているのだろう…。
最大の問題は、防衛省・自衛隊幹部及び日本政府・自民党…コンビニでおにぎり一個を万引きして逮捕されるほど生活に困窮した民もいるのに、違法に裏金を貯め込んでいながら恥じることもしない、道徳心もコンプライアンス(遵法)精神も持たない国会議員たち…こそが、自国の歴史も知らず、自国である日本国は日本国憲法を最高法規とする『国民主権・民主主義・基本的人権尊重・戦争放棄の国』であることも知らず、戦争放棄の放棄すなわち平和主義を放棄し、日本国憲法を破壊し、アメリカの国益を守るために中国の力をそごうとする台湾戦争に自衛隊員たちを動員して戦死させようとしていることではないか?
こういう人たちが、「近い将来国を守るため戦死する」予定の自衛官を『天皇絶対・無民主主義・無基本的人権・戦争主義の国』である大日本帝国を守るための戦争神社であった靖国神社の神として祀りあげようとしている!?
自衛隊員諸氏には自分たちが守るべき日本国は、日本国憲法を最高法規とする『国民主権・民主主義・基本的人権尊重・戦争放棄の国』であることを認識し、「近い将来国を守るために戦死する」予定の自衛官を『天皇絶対・無民主主義・無基本的人権・戦争主義の国』である大日本帝国を守るための戦争神社であった靖国神社の神として祀りあげようとしている人々に抗議・反対してほしい…。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます