◆ 安保法でNHKの偏向報道 (週刊新社会)
放送法第4条は放送事業者に、番組編集に当たり、「政治的に公平」(2号)、「意見が対立している問題はできるだけ多くの角度から論点を明らかにする」(4号)旨、義務付けている。だが、NHKは安保(戦争)法で政府・与党寄りの姿勢を一層、強めている。(教育ライター・永野厚男)
◆ 「自衛隊の任務拡大を推進」 川上拓大教授発言を4連発
NHKは9月19日未明の安保法成立当日、夜の『N7』で「安全保障に詳しい専門家の意見」を報じる際、法全体については、元外交官・宮家邦彦氏と植村秀樹流通経済大教授の賛否両論を報じた。
しかし、これに続き守本奈美アナが、安保法の初任務として防衛省が、南スーダンPKOで①武器を使い他国軍や国連職員を駆け付け警護、②外国軍隊と共に武器を使用し宿営地を防護の任務付与を検討しているなどと原稿を読み上げた後は、川上高司拓殖大教授だけを登場させた。
その川上氏は「今回、かなりできることが増えたので、それをやる。どこまでやったらいいか、誰が責任を取るか、課題が増えてくる」と主張。同番組のオープニングでもこの後段は放映。
NHKは翌20日朝6時のニュースと、続く7時台『おはよう日本』でも川上氏だけ出し、「拡大した武器使用基準に照らし、自衛隊がどこまでやるか、任務を遂行するというプロセスが今後求められる」との発言を放映。前夜から4連発だ。
筆者は9月25日、NHK広報宛メールで、「川上氏の任務遂行拡大推進の主張だけ流すのは、放送法違反でないか」と取材した。
だがNHKは回答者名不記載のまま、「仮に双方の意見を紹介できない時でも、異なる意見があることをお伝えし、同一シリーズ内で紹介したり、別の放送時お伝えしている」と回答。
筆者は28日、「回答者名明記し正対した回答を」と再メールした。だがNHKは、「前回差し上げた通り。NHKとしてお答え。個人として差しあげていない」と、またもはぐらかし回答。
因みに川上氏は昨年5月、日弁連シンポで「集団的自衛権行使し、血を流して米国を守る必要がある」と放言したタカ派だ。
◆ NHK幹部の本音
9月21日の西川吉郎委員長以下6名の解説委員が出た『解説スタジアム』「安保法制と『日本の針路』」は、NHK幹部の本音を露呈。
安倍首組寄りと週刊誌等で報じられる岩田明子委員は、「首相官邸の見方や立場の説明」と称し、以下の自説を展朋した。
②は11本もの法を束ねたので、1本あたり審議時間は短いという事実に目を閉ざす。
③は立憲主義(権力者の暴走ノー)の基本を知らない主張だ。
また島田敏男委員は、「安保法の内容をそのまま盛り込むのではない」と断りつつも、「現憲法は問題。改正の議論を行うべきだ」と主張。
だが島田氏の主張する改憲が”個別的自衛権”の範囲だったとしても、明文改憲すれば政府・自民党の”集団的自衛権行使”を加速させる危険性は大だ。
◆ 若者向けも右傾化
若者に視聴者の多いNHK『NEWS WEB』は、以下の通り、特集「深知り」のコーナーに軍拡論者だけを出すことが多い。
①5月14日11安保法案閣議決定当日、中谷元防衛相の独演会。
②3月6日11制服組の権限強化の防衛省設置法改定案について、森本敏拓殖大特任教授が10分強、「文民統制強化の改正だ」などと真逆の主張を展開。
③14年12月25日日佐藤丙午拓殖大教授が「武器の共同生産は世界の潮流」
などと、武器禁輸三原則を撤廃した安倍政権に沿う主張。
ただNHKには、市民の立場を代弁してくれる人もいる。教科書・沖縄基地問題担当の西川龍一解説委員や、前記『スタジアム』で「抑止力を高めると軍事力が高まるのが懸念される」と語った橋本淳委員だ。こういう委員は激励することも必要だ。
『週刊新社会』(2015/10/20)
放送法第4条は放送事業者に、番組編集に当たり、「政治的に公平」(2号)、「意見が対立している問題はできるだけ多くの角度から論点を明らかにする」(4号)旨、義務付けている。だが、NHKは安保(戦争)法で政府・与党寄りの姿勢を一層、強めている。(教育ライター・永野厚男)
◆ 「自衛隊の任務拡大を推進」 川上拓大教授発言を4連発
NHKは9月19日未明の安保法成立当日、夜の『N7』で「安全保障に詳しい専門家の意見」を報じる際、法全体については、元外交官・宮家邦彦氏と植村秀樹流通経済大教授の賛否両論を報じた。
しかし、これに続き守本奈美アナが、安保法の初任務として防衛省が、南スーダンPKOで①武器を使い他国軍や国連職員を駆け付け警護、②外国軍隊と共に武器を使用し宿営地を防護の任務付与を検討しているなどと原稿を読み上げた後は、川上高司拓殖大教授だけを登場させた。
その川上氏は「今回、かなりできることが増えたので、それをやる。どこまでやったらいいか、誰が責任を取るか、課題が増えてくる」と主張。同番組のオープニングでもこの後段は放映。
NHKは翌20日朝6時のニュースと、続く7時台『おはよう日本』でも川上氏だけ出し、「拡大した武器使用基準に照らし、自衛隊がどこまでやるか、任務を遂行するというプロセスが今後求められる」との発言を放映。前夜から4連発だ。
筆者は9月25日、NHK広報宛メールで、「川上氏の任務遂行拡大推進の主張だけ流すのは、放送法違反でないか」と取材した。
だがNHKは回答者名不記載のまま、「仮に双方の意見を紹介できない時でも、異なる意見があることをお伝えし、同一シリーズ内で紹介したり、別の放送時お伝えしている」と回答。
筆者は28日、「回答者名明記し正対した回答を」と再メールした。だがNHKは、「前回差し上げた通り。NHKとしてお答え。個人として差しあげていない」と、またもはぐらかし回答。
因みに川上氏は昨年5月、日弁連シンポで「集団的自衛権行使し、血を流して米国を守る必要がある」と放言したタカ派だ。
◆ NHK幹部の本音
9月21日の西川吉郎委員長以下6名の解説委員が出た『解説スタジアム』「安保法制と『日本の針路』」は、NHK幹部の本音を露呈。
安倍首組寄りと週刊誌等で報じられる岩田明子委員は、「首相官邸の見方や立場の説明」と称し、以下の自説を展朋した。
①維新の対案提出後も合憲違憲論争や、「戦争法案・徴兵制」とイメージ先行、レッテル貼りの議論が目立ち、それが国民の健全な議論や思考を阻んだとしたら残念、だが、岩田氏の①は、政府・与党が”平和安全法制”と、リスクを隠す名称にしたことへのアンチで、野党や市民側が戦争法と名付けたという経緯を無視。
②憲法解釈変更での行使容認は立憲主義に反するとの批判もあるが、政府は去年7月閣議決定の上、衆院選を行い、国会で200時間超議論。民主的プロセスは踏んだ、
③国際情勢が変わったのに、政府が憲法解釈をビタ一文触るなというのは立憲主義の精神に反する。
②は11本もの法を束ねたので、1本あたり審議時間は短いという事実に目を閉ざす。
③は立憲主義(権力者の暴走ノー)の基本を知らない主張だ。
また島田敏男委員は、「安保法の内容をそのまま盛り込むのではない」と断りつつも、「現憲法は問題。改正の議論を行うべきだ」と主張。
だが島田氏の主張する改憲が”個別的自衛権”の範囲だったとしても、明文改憲すれば政府・自民党の”集団的自衛権行使”を加速させる危険性は大だ。
◆ 若者向けも右傾化
若者に視聴者の多いNHK『NEWS WEB』は、以下の通り、特集「深知り」のコーナーに軍拡論者だけを出すことが多い。
①5月14日11安保法案閣議決定当日、中谷元防衛相の独演会。
②3月6日11制服組の権限強化の防衛省設置法改定案について、森本敏拓殖大特任教授が10分強、「文民統制強化の改正だ」などと真逆の主張を展開。
③14年12月25日日佐藤丙午拓殖大教授が「武器の共同生産は世界の潮流」
などと、武器禁輸三原則を撤廃した安倍政権に沿う主張。
ただNHKには、市民の立場を代弁してくれる人もいる。教科書・沖縄基地問題担当の西川龍一解説委員や、前記『スタジアム』で「抑止力を高めると軍事力が高まるのが懸念される」と語った橋本淳委員だ。こういう委員は激励することも必要だ。
『週刊新社会』(2015/10/20)
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