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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

審議中の入管法改定法案に国連から異例の条約違反を懸念する「共同書簡」

2021年07月02日 | 人権
 ◆ 自由権規約と入管法改定 (JWCHR 国際人権活動ニュース)
首都圏移住労働者ユニオン 本多ミヨ子

 2021年5月18日(火)、突然飛び込んできた「政府、入管法改定法案取り下げ決める」「入管法改定案廃案に」のニュースは、長年移住者支援を続けてきた多くの人たちを歓喜で包みました。
 私も廃案が間違いないとわかったとき、心からほっとし、喜びがわき上がってきました。衆議院法務委員会での審議中、何回も「今日強行採決」とのうわさが流れ、そのたびに胸の痛くなる思いをしていたからです。
 マスコミも力を発揮しました。名古屋入管施設内で3月に亡くなったスリランカ人ウィシュマさんの死の真相も明らかにしないまま、さらに入国管理庁の権限を強める法案に問題ありとして連日取り上げ、世論を変え、廃案に持ち込む大きな力になりました。
 ◆ 国連の懸念-「自由権規約では、自由が原則、収容が例外と定めている」

 国連は2回にわたって入管行政に懸念を表明しました。
 2020年9月、国連人権理事会の恣意的拘禁作業部会(以下作業部会)は長期収容を問題にし、「収容は、収容の必要性を個別に評価した上での例外的な最終手段でなければならない」と見解を出しました。
 日本政府が国連の見解に基づく解決を図るのであれば、まずは全件収容主義を撤廃し、収容をあくまで例外的な措置としなければならないはずでした。
 ところが今回出された改定案は「3回以上難民申請をした人は、国に送り返す」という、非人道的な方法で長期収容者を減らそうとするものでした。
 国連は「長期収容は人権侵害だから改めなさい」と言っているのに「国に送り返す」ことによって長期収容を解消しようとしているという、正反対の対応をしてきたわけです。
 国連はこの対応に大きな懸念を表明し、共同書簡を発表しました。
 共同書簡は2021年3月31日、「作業部会」「移住者の人権」「思想信条の自由」「拷問など」に関する三つのテーマ各特別報告者によって出されました。
 作業部会に加えて3つのテーマの特別報告者との共同書簡であり、さらに重みのあるものになりました。
 特にこの書簡は審議中の法案に関する懸念であり、かなり異例でした。
 それだけ法案に対する懸念が大きかったことを示しています。

 改定案について書簡は「日本も批准している自由権規約では、身体の自由が原則で、収容は例外的だと定めている」として、人権上の懸念が残ると指摘していました。
 また「申請が3回を超える難民申請者らの送還を可能にする条項は、迫害を受ける危険のある国へ送還してはならないとする『ノン・ルフールマンの原則』などに違反する恐れがある」として「深刻な懸念」を示すものでした。
 ◆ 来年の通常国会に再提出される危険性あり

 ひとまずほっとしましたが、これでめでたしめでたしという訳にはいきません。
 来年の通常国会に再提出される危険性大です。
 取り下げが決まった後、与党修正案が明らかになりました。

 それは小さな改善点はあるものの、全件収容主義、収容時の司法の審査無し、収容期限無しというもので国連が懸念している人権侵害を是正するものではなく、最悪の人権侵害である「3回以上の難民申請者を国に送還する」こともかわりありませんでした。
 まだまだ闘いは続きます。がんばろうと思います。みなさんの力を貸してください。

JWCHR『国際人権活動ニュース 第139号』(2021年6月25日)
http://jwchr.s59.xrea.com/
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