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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

根津公子の都教委傍聴記(10/23)「この認識でイジメ根絶はあり得ない」

2014年10月28日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 ◆ 都教委にとって不都合なことは無視を決め込む?!
 前回、「誓約書」を書かなかったからとの理由で傍聴をさせてもらえなかったFさんに対し、定例会担当課長は前回と同じように、「申し訳ありませんでした。」と謝り、「でも、誓約書を書いてもらわなければ、傍聴はできません。」を繰り返し、Fさんに誓約書を差し出した。その誓約書は、これまでとは明らかに異なっていて、「私は…議事を妨害しました」とある。妨害してはいないFさんは、これに署名することはできない。したがって、Fさんは今日も傍聴をさせてもらえなかった。

 Sさんが誓約書を写真に収めようとしたら、課長はすごい勢いで奪い取った。「公文書を公開して何の問題があるのか」には答えられなかった。都教委は、どこもかしこも論議の通らない世界だ。
 公開議題は、議案
 ①「杉並区学校教育職員の主任教諭選考に係る事務の受託の議案提出依頼について」
 ②「東京都教育委員会いじめ問題対策委員会への諮問事項について」。
 報告事項
 ③「平成26年度東京都公立学校における『いじめの実態及び対応状況把握のための調査』」
 ④「平成26年度『全国学力・学習状況調査』の結果について」
 ⑤「都民の声(教育・文化)について[平成26年度上半期(4~9月)]」他。

 ①:通常、教員は県教委採用の県費負担教員だが、杉並区は2007年から4年間、区独自に杉並師範館を卒塾するのを条件に小学校教員を採用してきた。その教員を杉並区学校教育職員と言い、その数103名。この杉並区学校教育職員が主任教諭を希望する際に、杉並区は選考に係る事務委託を合否も含め、都教委に依頼することにした。それは、都の考え方とも合致し、都はこれを議案として都議会に提出するというもの。
 当時、経済同友会の「? 学校と経営者の交流活動推進委員会委員長? だった遠藤教育委員は、「この103名の指導に、私は経済人としてかかわってきた。杉並区は無責任。都教委が見てくれることになりほっとした」(主旨)と発言し、さらに、3年間の期限付きで杉並区学校教育職員となった乙武教育委員に発言を振り、乙武教育委員は、「彼らに昇進の道が開けたことに安心した」(主旨)と発言。
 杉並師範館も和田中学校の夜スペも、ともに今は次世代の党の山田宏氏が区長時代のことだった。私もこれらのことを無責任と思うが、遠藤教育委員に杉並区教委を非難する資格があるのだろうか。これにかかわってきた者としての責任・加担の自覚が、氏にはないのだろうか、と思う。
 ②:都教委は、国の法成立を受け、都が今年6月に制定した「東京都いじめ防止対策推進条例」や7月に策定した「東京都いじめ防止対策基本方針」「東京都教育委員会いじめ総合対策」を踏まえ、実効性あるいじめ防止の対策が推進されるように、取り組みの推進状況の検証・評価や推進するための方策について諮問する。それを受け、都教委いじめ問題対策委員会はこの先2年間、7回の会議を予定しているというもの。
 遠藤教育委員は、「対策委員会の委員に『ジャージ校長』と呼ばれ、荒れた学校を立て直した鈴木高弘元校長がいる」ことを絶賛し、続けてこう言った。「社会に出たらいじめの連続。…いじめに耐える力・・・鈴木先生に期待する」。この認識で、いじめ根絶はあり得ないと、私は思う。
 都教委にもの申す教員を弾圧し、いじめて、他への見せしめとする都教委の教育委員や事務方幹部。その人たちに、私は言いたい。「『社会に出たらいじめの連続』をつくっているのは、皆さんでしょ!」と。この人たちは、子どもは大人のいじめからそれを「学んでいる」ことに気づかないのだろうか。それとも、その振りをしているのか。
 なお、この議案の「諮問理由」の冒頭に、「滋賀県大津市の中学生が自殺・・・東京都においても、品川区で、中学生がいじめを苦にして自らの命を絶つという事件が発生した」と書かれている。しかし、事件が発生した2012年9月から現在に至るまで、都教委がこのことについて調査報告や見解を出した形跡はない。
 事件から数日後の定例会では、折しもいじめ問題が議題になっていたにもかかわらず、この件について、事務方からの説明も教育委員からの質問・発言も一切なかった。避けているのかとさえ感じたことを、私は鮮明に覚えている。
 ③:調査結果は、
 ア)認知件数:4,086件、1校あたり1ヶ月の平均認知件数は0.61件(昨年度は0.73件)
 イ)認知したきっかけ:アンケート調査に被害を受けた子どもが記載したのが34.5%、教職員が発見したのが18.7%、周囲の子どもがアンケートに記載、あるいは、直接訴えたのが9.8%。
 ウ)いじめの主な態様:最も多いのが冷やかしやからかい。ネット等の機器によるものが、校種が上がるごとに増加する。
 課題として3点を挙げる。
 ・子どもが声をあげることができるようにするための効果的な取り組みの開発
 ・「学校いじめ対策委員会」が実効的に機能できるようにするための方策の検討・周知
 ・インターネットを通じてのいじめなど、大人からは見えにくいいじめを確実に把握するための方策の検討。
 この報告からは、認知されなかった件数やその理由は見えてこない。そう思いながら傍聴していると、乙武教育委員が「この数(認知件数)は少ない感じ。若手の教員はいじめを発表しづらい。指導不足とみられるのではないかと(恐れ)、いじめではないとしてしまう傾向があるのでは」と発言した。
 前回の定例会の最後で、乙武教育委員は、「いじめが教員評価の際の減点になるのか気になっている。今後、教員評価について議題に取り上げてほしい」旨の発言をした。しかし、否定のつぶやき発言が他の委員から一言あって、それっきりだった。今回も議論にはならなかった。議論すべきことを議論しない、いや、避けている感がある
 いじめ問題を含め、教育活動のすべてにおいて、教員評価が教育活動を破壊している現実を、教育委員にはしっかり見てもらいたいものである。
 日常の学校生活の中で、子どもたちが自己肯定感を持つことができ、互いの意見表明などの基本的人権を認め合う環境を保障することこそが、根本的ないじめ撲滅対策であり、教育行政の仕事である。まずは、都教委が教員いじめをやめ、教員が子どもたちと人格的接触ができるようにすべきなのだ。
 ④:学力テストの結果を詳細にグラフ分布で示し、その上で、
 ・小中学校ともに、全国より上位層が多く、下位層が少ない。
 ・学力の差は依然として幅広く分布。
 ・中学校では、学力上昇傾向にある。中学校の学力向上は、◆外部人材の活用促進 ◆土曜授業の実施回数の増加 ◆暴力行為発生件数の減少 との報告だった。
 「数学の習熟度別授業のための教員加配の効果が出ているか」との質問に、指導部は「少人数で効果があると学校から報告がある」と回答。竹花教育委員からは、「区市町村教委もこのような独自の分析をするよう、都教委から指導・助言できないか」と。
 知識、技能に関して繰り返し学習の成果が上がったと自賛。つまるところつめこみ学習の成果の報告。しかし思考力、活用力はあまり成果が出ていないと素直に分析し、今後授業改善が必要と報告があった。どのように改善していくのかが重要なはずだが、そのことについての言及はなかった。まったく無意味な調査報告でしかない。
 ⑤:寄せられた「都民の声」件数のうちの最多は「苦情で1,186件。そのうち、「教職員の服務(体罰を除く)」が186件、「体罰・不適切な指導」が147件。
 請願は14件、うち12件は「日本史教科書採択について」
 団体要請は69件、うち、「国旗掲揚と国歌斉唱と教員の処分について」が24件で最多。
 都民からの批判要望に対し、教育委員は議論し再考すべきにもかかわらず、やはり今回も教育委員からは一言の発言もなかった。
 請願・要請は文書で提出されたはずだし、また、「都民の声」に寄せられた「苦情」もその多くは口頭ではなく、文書であろう。
 市民がこれらの文書を提出すると、現状では、教育情報課はそれを担当所管課に届けており、教育委員長や教育長に届けることは、市民や団体が再三要求しているのに、してはくれない。したがって、それらの文書を教育委員らが見ることはない
 しかし、最高責任の座にある教育委員長や教育長はこれらのすべてに目を通し、熟慮し、討議に付してもらいたい。都教委にとって不都合なものは無視する態度は許されない。
 補足でもう一つ。教職員の処分案件は非公開なので私たちには知ることができないが、今日のそれに教育実習生のパンストを買った副校長の件が報告されたのではないかと思う。事件についてインターネットで流されていることを知り、都教委のホームページを見ると、次のように掲載されていた。
1 教職員に関する事項 (1) 校 種 小学校(多摩地域) (2) 職 副校長 (3) 年 齢 57歳 (4) 性 別 男
2 処分の程度 停職6月
3 発令年月日 平成26年10月16日
4 処分理由:平成25年10月7日午後7時30分頃から午後9時30分頃までの間に、居酒屋等において勤務校の教育実習生であった女子学生と飲食した際、同学生に対して履いていたストッキングを脱いでくるように言い、同ストッキングを購入した。/また、同月10日午後7時頃から午後8時30分頃までの間に、カラオケ店において同学生と飲食した際、同学生から断られたにもかかわらず右手で同学生の左肩及び首を1分間程度もむとともに、同学生の左腕を触った。
  * * * * *
 「停職6月」とはなんと軽いことか!セクハラ・体罰についてはいつも軽い処分だ。
 比して、「君が代」不起立で私の受けた処分は、停職22月(停職1月+停職3月+停職6月×3)。「君が代」処分は当たり前のようにプライバシーを無視し、氏名を公表するのに、セクハラは公表なしだ。
 性教育や歴史教育で免職にされた教員もいる。
 都教委に抵抗しない教員については、刑法に触れる行為でも軽い処分をするの。それが都教委なのだ。
 大学から校長に連絡があったのが、今年1月という(産経ニュース他)。とすれば、都教委は処分までになぜ、9ヶ月もの時間を必要としたのか。そこを知りたい。
『レイバーネット日本』(2014-10-25)
http://www.labornetjp.org/news/2014/1023nezu
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