◆ <「産経」批判>「日本軍は英国(領土)を侵略していない」?
皆さま 高嶋伸欣です
『産経』の歴史改ざんは毎度のことですが、国会議員を含めそのまま信じる読者が少なくないようですので、最低限の批判はしておく必要がありそうです。最近の事例について紹介します。
問題の記事は昨日(10月24日)の朝刊第1面コラムの「産経抄」です。本日(25日)朝刊で訂正するかと思いましたが、訂正はされていませんでした。
「いけしゃあしゃあとよく言えたものだと素直に感心した」との書き出しで、慰安婦問題に言及した韓国の朴大統領の最近の発言と中国習主席の英国でのスピーチを批判したものです。
習氏が「第二次世界大戦での英中両国民について『正義のために助け合い、日本の侵略に抗してともに戦った』強調した」が「はて日本がいつ英国を侵略し、中国共産党が当時、英国とどんな連携をしたのかと首をひねらざるを得ない」と決めつけています。
日本軍が1941年12月8日に真珠湾攻撃よりも早く英国領マレー半島東海岸のコタバルで、英国軍と戦闘を開始した事実が、今や大半の歴史教科書で学べる状況です。
その直後に英領香港を空爆し、2日後にはマレー沖海戦で英国海軍の「不沈艦」レパルスとプリンス・オブ・ウェールスを航空攻撃で沈めたことで戦争の局面を変えたことは有名です。もちろん、マレー半島とシンガポールを占領した事実も良く知られています。
さらに、援蒋ルート(ビルマルート)の遮断を名目に英領のビルマに侵攻し、その後、米英軍に支援された中国軍の大反撃で、ビルマと中国雲南省の国境地域の日本軍が全滅させられたことも分かっています。
その中国側の最後の激戦地跡には「侵略者日本軍を最初に中国の国土から追い払った戦いの場所である」という意味の記念碑が建立されています。
マレー半島では、日本軍が占領していた3年8か月の間、山中に籠った人民抗日軍の勢力に日本軍は悩まされ続けますが。この勢力の中心は共産党で、必要な物資の支援を英国軍が行っていました。
多数の兵士を無駄死にさせたインパール作戦も、英領インドの東部インパールへの侵攻をめざしたものでした。
これら英領侵略の事実は、中学の歴史教科書に必ず載っている「アジア太平洋戦争の展開図」の「日本の最大進出線」の範囲に注目すれば、一目瞭然です。
『産経』は「歴史戦」などと戦時中さながらのキャンペーンを執拗に展開していますが、第一面のコラムにしてこの体たらく、というわけです。
「産経抄」の筆者こそ「いけしゃあしゃとよく言えたものだ」と、「関心」ではなく軽蔑するしかありません。
それにしても、この「産経抄」は教材には好適です。12月8日の開戦日に向けた授業などで、生徒に示して、意見を出し合うのには隙間だらけで、中学生以上であれば十分に批判できる文章です。このような文章こそ大阪府教育委員会などは、学校に配るべきではないでしょうか。
朴大統領に対する批判も、ベトナム戦争中の韓国兵による慰安婦問題にほおかむりをしているという点を根拠にしたものですが、日本軍のように慰安所を設置したものとは同列ではないはずです。
皮相的な共通点で話を短絡させるのも『産経』の得意技です。
*この為にも、どなたか、この「産経抄」の記事コードをアップしていただけないでしょうか。
*また記事コピーをPDFにして添付可能なmlにアップして頂けると幸いです。
なお、著作権については、引用した記事(文章)や図版についての分析・解説などが「主」で、記事や図版がその分析・解説による「従」の位置付けになっているのであれば、著作権侵害には当たらない、とする最高裁判決が確定しています(小林よしのり氏が『戦争論』批判本を出版した上杉聡氏を訴えた裁判で、裁判所が小林氏の主張を退けた論理で、著作権関係判例集にあるはずです)。
従って、どなたかPDFでこの「産経抄」を添付可能にして頂けた場合には、とりあえず、上記の私の批判コメントも併せて転送・拡散されれば、著作権を問題にされることは防げると思います。
また長くなりましたが、以上、ご参考までに。
転送・拡散は自由です
皆さま 高嶋伸欣です
『産経』の歴史改ざんは毎度のことですが、国会議員を含めそのまま信じる読者が少なくないようですので、最低限の批判はしておく必要がありそうです。最近の事例について紹介します。
問題の記事は昨日(10月24日)の朝刊第1面コラムの「産経抄」です。本日(25日)朝刊で訂正するかと思いましたが、訂正はされていませんでした。
「いけしゃあしゃあとよく言えたものだと素直に感心した」との書き出しで、慰安婦問題に言及した韓国の朴大統領の最近の発言と中国習主席の英国でのスピーチを批判したものです。
習氏が「第二次世界大戦での英中両国民について『正義のために助け合い、日本の侵略に抗してともに戦った』強調した」が「はて日本がいつ英国を侵略し、中国共産党が当時、英国とどんな連携をしたのかと首をひねらざるを得ない」と決めつけています。
日本軍が1941年12月8日に真珠湾攻撃よりも早く英国領マレー半島東海岸のコタバルで、英国軍と戦闘を開始した事実が、今や大半の歴史教科書で学べる状況です。
その直後に英領香港を空爆し、2日後にはマレー沖海戦で英国海軍の「不沈艦」レパルスとプリンス・オブ・ウェールスを航空攻撃で沈めたことで戦争の局面を変えたことは有名です。もちろん、マレー半島とシンガポールを占領した事実も良く知られています。
さらに、援蒋ルート(ビルマルート)の遮断を名目に英領のビルマに侵攻し、その後、米英軍に支援された中国軍の大反撃で、ビルマと中国雲南省の国境地域の日本軍が全滅させられたことも分かっています。
その中国側の最後の激戦地跡には「侵略者日本軍を最初に中国の国土から追い払った戦いの場所である」という意味の記念碑が建立されています。
マレー半島では、日本軍が占領していた3年8か月の間、山中に籠った人民抗日軍の勢力に日本軍は悩まされ続けますが。この勢力の中心は共産党で、必要な物資の支援を英国軍が行っていました。
多数の兵士を無駄死にさせたインパール作戦も、英領インドの東部インパールへの侵攻をめざしたものでした。
これら英領侵略の事実は、中学の歴史教科書に必ず載っている「アジア太平洋戦争の展開図」の「日本の最大進出線」の範囲に注目すれば、一目瞭然です。
『産経』は「歴史戦」などと戦時中さながらのキャンペーンを執拗に展開していますが、第一面のコラムにしてこの体たらく、というわけです。
「産経抄」の筆者こそ「いけしゃあしゃとよく言えたものだ」と、「関心」ではなく軽蔑するしかありません。
それにしても、この「産経抄」は教材には好適です。12月8日の開戦日に向けた授業などで、生徒に示して、意見を出し合うのには隙間だらけで、中学生以上であれば十分に批判できる文章です。このような文章こそ大阪府教育委員会などは、学校に配るべきではないでしょうか。
朴大統領に対する批判も、ベトナム戦争中の韓国兵による慰安婦問題にほおかむりをしているという点を根拠にしたものですが、日本軍のように慰安所を設置したものとは同列ではないはずです。
皮相的な共通点で話を短絡させるのも『産経』の得意技です。
*この為にも、どなたか、この「産経抄」の記事コードをアップしていただけないでしょうか。
*また記事コピーをPDFにして添付可能なmlにアップして頂けると幸いです。
なお、著作権については、引用した記事(文章)や図版についての分析・解説などが「主」で、記事や図版がその分析・解説による「従」の位置付けになっているのであれば、著作権侵害には当たらない、とする最高裁判決が確定しています(小林よしのり氏が『戦争論』批判本を出版した上杉聡氏を訴えた裁判で、裁判所が小林氏の主張を退けた論理で、著作権関係判例集にあるはずです)。
従って、どなたかPDFでこの「産経抄」を添付可能にして頂けた場合には、とりあえず、上記の私の批判コメントも併せて転送・拡散されれば、著作権を問題にされることは防げると思います。
また長くなりましたが、以上、ご参考までに。
転送・拡散は自由です
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『産経ニュース』(2015.10.24【産経抄】)
◆ よくもいけしゃあしゃあと… 10月24日
http://www.sankei.com/column/news/151024/clm1510240003-n1.html
いけしゃあしゃあとよく言えたものだと素直に感心した。韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が21日、日韓国交正常化50年の記念行事「日韓親善友好の集い」に寄せたビデオメッセージで「正しい歴史認識」を呼びかけ、日本に慰安婦問題での対応を求めた件についてである。
▼朴氏は15日には米ワシントンで講演し、やはり慰安婦問題の進展を要求している。だが、同じ日にベトナム戦争中に韓国軍兵士に性的暴行を受けたベトナム人女性の支援団体が記者会見し、朴氏に公式な謝罪を求めたことにはほおかむりを決め込んでいる。
▼中国の習近平国家主席も日本に対し、たびたび「正しい歴史認識」を要求してきた。英国訪問中の20日、バッキンガム宮殿で開かれた公式晩餐(ばんさん)会でも、第二次世界大戦での英中両国民について「正義のために助け合い、日本の侵略に抗してともに戦った」と強調した。
▼はて日本がいつ英国を侵略し、中国共産党が当時、英国とどんな連携をしたのかと首をひねらざるを得ない。ともあれ、先の国会会期中には、安全保障関連法案に反対するのは「正義」で、賛成するのは「不正義」だと断じた野党議員もいた。
▼古来、やたらと「正しさ」や「正義」を振りかざす人はうさんくさいものだ。哲学者、ニーチェはこう言った。「自らの正義について多弁を弄する一切の者たちを信用するな」。作家、池波正太郎は作中で登場人物に、繰り返し「善と悪との境は紙一重」と語らせている。
▼近く開かれる日中、日韓の両首脳会談では、安倍晋三首相が中韓両国から、一方的に「彼らの正義」を突きつけられる場面も予想される。国際社会はまだまだ、道理も倫理もなかなか通じないエゴイズムむき出しの未熟な世界なのが実態である。
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