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人間そっくり

2007-07-01 22:41:44 | 書籍。
・人間そっくり 安部公房 (新潮文庫)

安部公房の作品を読む度に不思議な気持ちになる。いや、それ以上に脳がパニックになる。安部さんのSF創造力にはついてゆけない。理解不能。
だが、1つ思うに「人間そっくり」って…、何処が似てると人間?、いや、そもそも『人間』の定義とは?
直立歩行?手が使える?言葉を話す?―こんなことでは『人間』を定義付けられない、なぜなら五体不満足の方なら備えていない機能であるから。であるとなら、何を以て私たちは相手を『人間』と識別しているのであろうか。思うに、この「瞬時に相手の特徴を識別する能力」を備えていることこそが『人間』である。識別機能を喪失したとき、それは間ではなく病気になったのだ。上記の五体不満足は病気ではなく個性となる。
適当に選んだ200人の若い女性の顔を重ね合わせると、大方の人が認める『美人』になるという。つまり、美人顔とは個性ある顔ではなく、平均的な顔なのである。人は、相手のこの平均から外れたパーツを瞬時に探し出し、外れが大きいとブサイクに、外れが小さいとキレイと判断しているのだという。初対面の人の顔を見た瞬時に判断―、そのスピードは恐ろしく速い。現代人の平均的な顔は、平安時代の平均的な顔とはもちろん違う。平安時代は下膨れの顔が一般的で、その顔が美人とされていたとか。現代人は…あゆ顔?笑。みんな同じメイクになったり。
同じように、欠陥部分を判断し人間として見るか否かは、その時代の平均的感覚による。よって「差別」もその時代の平均的感覚によって行われるのだ。つまり、時代を遡ってこの現実を学ぶときは、その時代の背景、人々の一般常識、感性等を見ずしては語れない。「森ではなく、根を見ずして木を見る」は危険だあることを改めて認識した。
今回は、安部公房の作品と関係ない感想になってしまったが、この作品を読んで感じた感想をつらつらと書き綴った。軽い感想です。

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