日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(118)「こんにゃく文」と「述語論理」。

2018-12-06 18:36:42 | 「は」と「が」
(01)
① こんにゃくは太らない。
もちろん、この文が問題となるのは、「太らない」のが「こんにゃく」ではなく、それを食べる人間様の場合である。
(金谷武洋、日本語文法の謎を解く、2003年、84頁改)
従って、
(01)により、
(02)
① こんにゃくは太らない。といふのであれば、
① こんにゃくが存在するならば、ある人が存在して、その人はこんにゃくを食べ、その人は太らない。
然るに、
(03)
1  (1)∀x{蒟蒻x→ ∃y(人y&食yx&~太y)} A
1  (2)   蒟蒻a→ ∃y(人y&食yx&~太y)} 1UE
 3 (3)∃x(蒟蒻x)                 A
  4(4)   蒟蒻a                  A
1 4(5)        ∃y(人y&食yx&~太y)  24MPP
13 (6)        ∃y(人y&食yx&~太y)  345EE
1  (7)∃x(蒟蒻x)→∃y(人y&食yx&~太y)  36CP
1  (〃)あるxが蒟蒻であるならば、あるyは人であって、yはx(蒟蒻)を食べ、yは太らない。 36CP
1  (〃)こんにゃくが存在するならば、ある人が存在して、その人は蒟蒻を食べ、その人は太らない。 36CP
といふ「述語計算」は、「正しい」。
然るに、
(04)
① 蒟蒻が存在するならば、ある人が存在して、その人はこんにゃくを食べ、その人は太らない。
といふことは、要するに、
① 蒟蒻は太らない。
といふことである。
従って、
(03)(04)により、
(05)
① 蒟蒻は太らない=∀x{蒟蒻x→∃y(人y&食yx&~太y)}。
といふ「等式」が、成立する。
然るに、
(06)
1  (1)∀x{~蒟蒻x→ ∃y(人y&食yx&太y)}    A
1  (2)   ~蒟蒻a→ ∃y(人y&食yx&太y)}    1UE
 3 (3)∃x(~蒟蒻x&食物x)               A
  4(4)   ~蒟蒻a&食物a                A
  4(5)   ~蒟蒻a                    4&E
1 4(6)         ∃y(人y&食yx&太y)     25MPP
13 (7)         ∃y(人y&食yx&太y)     34EE
1  (8)∃x(~蒟蒻x&食物x)→∃y(人y&食yx&太y) 37CP
1  (〃)あるxが蒟蒻でない食べ物であるならば、あるyは人であって、yはx(蒟蒻でない食べ物)を食べ、yは太る。 36CP
1  (〃)蒟蒻でない食べ物が存在するならば、ある人が存在して、その人は蒟蒻でない食べ物を食べて、その人は太る。 3CP
然るに、
(07)
② 蒟蒻でない食べ物が存在するならば、ある人が存在して、その人は蒟蒻でない食べ物を食べて、その人は太る。
といふことは、要するに、
② 蒟蒻以外は太る。
といふことである。
然るに、
(08)
②{蒟蒻、饅頭、御飯、お好み焼き、ラーメン}といふ「変域」を想定して、
② 蒟蒻以外は太る。
といふことは、
② 蒟蒻が太らない。
といふことである。
従って、
(05)~(08)により、
(09)
① 蒟蒻は太らない=∀x{ 蒟蒻x→∃y(人y&食yx&~太y)}。
② 蒟蒻が太らない=∀x{~蒟蒻x→∃y(人y&食yx& 太y)}。
といふ「等式」が、成立する。
然るに、
(10)
1  (1)∀x{~蒟蒻x→ ∃y(人y&食yx&~太y)}    A
1  (2)   ~蒟蒻a→ ∃y(人y&食yx&~太y)}    1UE
 3 (3)∃x(~蒟蒻x&食物x)                A
  4(4)   ~蒟蒻a&食物a                 A
  4(5)   ~蒟蒻a                     4&E
1 4(6)         ∃y(人y&食yx&~太y)     25MPP
13 (7)         ∃y(人y&食yx&~太y)     34EE
1  (8)∃x(~蒟蒻x&食物x)→∃y(人y&食yx&~太y) 37CP
1  (〃)あるxが蒟蒻でない食べ物であるならば、あるyは人であって、yはx(蒟蒻でない食べ物)を食べ、yは太らない。 36CP
1  (〃)蒟蒻でない食べ物が存在するならば、ある人が存在して、その人は蒟蒻でない食べ物を食べて、その人は太らない。 3CP
然るに、
(11)
③ 蒟蒻でない食べ物が存在するならば、ある人が存在して、その人は蒟蒻でない食べ物を食べて、その人は太らない。
といふことは、要するに、
③ 蒟蒻以外も太らない。
といふことである。
然るに、
(12)
① 蒟蒻は太らない。
といふ「前提」のもとで、
③ 蒟蒻以外も太らない。
といふのであれば、
③ 蒟蒻も太らない。
といふことになる。
然るに、
(09)~(12)により、
(13)
① 蒟蒻は太らない=∀x{ 蒟蒻x→∃y(人y&食yx&~太y)}。
② 蒟蒻が太らない=∀x{~蒟蒻x→∃y(人y&食yx& 太y)}。
③ 蒟蒻も太らない=∀x{~蒟蒻x→∃y(人y&食yx&~太y)}。
といふ「等式」が、成立する(はずである)。
然るに、
いづれにせよ、
(14)
① 蒟蒻は太らない=∀x{蒟蒻x→∃y(人y&食yx&~太y)}。
① 蒟蒻は太らない=すべてのxについて{xが蒟蒻であるならば、あるyは人であって、yはxを食べ、yは太らない}。
といふ「等式」は、「正しい」。
然るに、
(15)
1  (1)大A帝国は、女王陛下、之を統治す。
1  (〃)  ∀x{大A帝国x→∃y(女王陛下y&統治yx)} A
1  (〃)すべてのxについて{xが大A帝国であるならば、あるyは女王陛下であって、yはxを統治する}。 A
1  (2)     大A帝国a→∃y(女王陛下y&統治ya)  1UE
 3 (3)     大A帝国a                 A
  4(4)          ~∃y(女王陛下y&統治ya)  A
13 (5)           ∃y(女王陛下y&統治ya)  23MPP
134(6)          ~∃y(女王陛下y&統治ya)&
                 ∃y(女王陛下y&統治ya)  45&I
1 4(7)    ~大A帝国a                 36RAA
1  (8)   ~∃y(女王陛下y&統治ya)→~大A帝国a  47CP
1  (9)∀x{~∃y(女王陛下y&統治yx)→~大A帝国x} 8UI
1  (〃)すべてのxについて{あるyが女王陛下であって、そのyがxを統治しないのであれば、xは大A帝国ではない}。 8UI
1  (〃)女王陛下が統治しない国は大A帝国ではない。
従って、
(15)により、
(16)
④ 大A帝国は、女王陛下、之を統治す=∀x{大A帝国x→∃y(女王陛下y&統治yx)}。 A
④ 大A帝国は、女王陛下、之を統治す=すべてのxについて{xが大A帝国であるならば、あるyは女王陛下であって、yはxを統治する}。
然るに、
(17)
1  (1)象は長い鼻を持つ。
1  (〃)Elephants have long noses.
1  (〃) ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}  A
1  (〃) すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、yは長い}。 A
1  (2)    象a→∃y(鼻ya&長y)   1UE
 3 (3)    象a              A
  4(4)      ~∃y(鼻ya&長y)   A
13 (5)       ∃y(鼻ya&長y)   23MPP
134(6)      ~∃y(鼻ya&長y)&
             ∃y(鼻ya&長y)   45&I
1 4(7)   ~象a              36RAA
1  (8)   ~∃y(鼻ya&長y)→~鼻a  47CP
1  (9)∀x{~∃y(鼻ya&長y)→~鼻a} 4UI
従って、
(18)
⑤ 象は長い鼻を持つ=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}。
⑤ 象は長い鼻を持つ=すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、yは長い}。
従って、
(14)(16)(18)により、
(19)
① 蒟蒻は太らない。
④ 大A帝国は、女王陛下、之を統治す。
⑤ 象は長い鼻を持つ。
といふ「日本語」は、「述語論理的」には、三つとも、
①   蒟蒻は、      太らない=∀x{  蒟蒻x→∃y(・・・・・)}。
④ 大A帝国は、女王陛下、之を統治す=∀x{大A帝国x→∃y(・・・・・)}。
⑤    象は     長い鼻を持つ=∀x{   象x→∃y(・・・・・)}。
といふ風に、「同型」である。
従って、
(20)
「こんにゃく文」といふ「用語」を作り、
① 蒟蒻は太らない。
といふ「日本語」だけを、
④ 大A帝国は、女王陛下、之を統治す。
⑤ 象は長い鼻を持つ。
といふ「日本語」と、「区別」することは、「述語論理的」には、ヲカシイ
(20)
④ 大A帝国は、女王陛下、之を統治す。
といふ「日本語」は、
④ ∀x{大A帝国x→∃y(女王陛下y&統治yx)}。
すべてのxについて{xが大A帝国であるならば、あるyは女王陛下であって、yはxを統治する}。
と「等しい」のであれば
④ 女王陛下、大A帝国を統治する。
といふ「意味」であって、
④ ∀x{大A帝国x→∃y(女王陛下y&統治yx)&∀z(z≠y→~統治zx)}。
④ すべてのxについて{xが大A帝国であるならば、あるyは女王陛下であって、yはxを統治し、すべてのzについて、zがyでないならば、zはxを統治しない}。
と「等しい」のであれば
④ 女王陛下、大A帝国を統治する。
といふ「意味」である。
従って、
(20)により、
(21)
④ 大A帝国は、女王陛下、之を統治す。
といふ「日本語」は、
④ 女王陛下は(が)、大A帝国を統治する。
といふ「意味」である。
従って、
(22)
④ 大A帝国は、女王陛下、之を統治す。
といふ「日本語」は、
④ 大A帝国は(が)、女王陛下を統治す。
といふ「意味」ではない。
同様に、
(23)
① 蒟蒻は太らない。
といふ「日本語」は、
① 蒟蒻は(が)、太らない。
といふ「意味」ではない。
従って、
(24)
① 蒟蒻は太らない。
といふ「日本語」は、
① 蒟蒻は(が)、太らない。
といふ「意味」ではない。
といふことが、ヲカシイとするならば、
④ 大A帝国は、女王陛下、之を統治す。
といふ「日本語」も、ヲカシイと、すべきである。

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (論理学は分かりませんが、、、)
2021-06-02 11:10:42
巷でこんにゃく文が流行っているので調べていたらたどりつきました。
論理的な分析とても興味深いです。

質問です。

大A帝国は、女王陛下、之を統治す。

の解釈は確かに「女王陛下が大A帝国を統治する」ですが、

①たろうは、じろう、こいつを殴った。

はどう解釈しますか?

②たろうは、じろうが、こいつを殴った。

はどうでしょうか?

①はたろうがじろうを殴った、ですが②はじろうがたろうを殴ったという解釈になると思います。

述部が自動詞なのか、他動詞なのか、形容(動)詞なのかは重要な論点だと思います。
どのように分析されるか教えてください。
返信する
コンニャクは太らない。 (onomameus3037)
2021-06-02 12:37:34
(01)
①たろうは、じろう、こいつを殴った。
の場合は、
① こいつ(代名詞)=じろう(固有名詞)
なので、
① 太郎は、次郎を殴った。
という「意味」になります。
(02)
②たろうは、じろうが、こいつを殴った。
の場合は、
②太郎を、次郎が、殴った。
であるため、
② 次郎が、太郎を殴った。
② 太郎は、次郎に殴られた。
という「意味」になります。
(03)
>述部が自動詞なのか、他動詞なのか、形容(動)詞なのかは重要な論点だと思います。
といふことについては、今の私には、即答しかねます。
(04)
>巷でこんにゃく文が流行っているので調べていたらたどりつきました。
とのことですが、そうであれば、是非とも、
(902)「コンニャクは太らない」と「述語論理」:「ゆる言語学ラジオ#10」への「反論」。
を、お読み下さい。
返信する

コメントを投稿