日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(149)「難(返読文字)」が「返読しない」場合と「話題(主題)」。

2019-03-26 13:49:08 | 訓読
(01)
① 少年易老学難成=
① 少年易(老)学難(成)⇒
① 少年(老)易学(成)難=
① 少年(老ひ)易く学(成り)難し。
(02)
② 少年易老成学難=
② 少年易(老)成(学)難⇒
② 少年(老)易(学)成難=
② 少年(老ひ)易く(学を)成すは難し。
従って、
(01)(02)により、
(03)
「訓読(日本語)の感覚」からすれば、
① 少年易老学難成=少年老ひ易く学成り難し。
② 少年易老成学難=少年老ひ易く学を成すは難し。
に於いて、
① は「正しい漢文・訓読」であって、
② も「正しい漢文・訓読」であると、思はれる。
然るに、
(04)
七言絶句の場合は、第句・第二句・第四句の末尾が押印することになっている。
(旺文社、漢文の基礎、1973年、84頁)
(05)
少年易老学難 少年老い易く学成り難し
一寸光陰不可 一寸の光陰軽んず可からず
未覚池塘春草夢 未だ覚めず池塘春草の夢
階前梧葉已秋 階前の梧葉已に秋声
この有名な七言絶句は、長らく宋の朱子の作と信じられてきたが、近年の研究により、日本の十四世紀頃の僧侶の作であることが判明した。
(加藤徹、白文攻略 漢文法ひとり学び、2013年、32頁)
従って、
(04)(05)により、
(06)
「七言絶句の、押韻に関する、決まり」からすれば、
① 少年易老学難成(sei)=少年老い易く学成り難し。
② 少年易老成学難(nan)=少年老ひ易く学を成すは難し。
に於いて、
① は「正しい七言絶句の、第一句」であって、
② は「正しい七言絶句の、第一句」ではない
従って、
(03)(06)により、
(07)
「韻文(七言絶句)」ではなく、「散文」としては、
① 学難成=学は成り難し。
② 成学難=学を成すは難し。
に於いて、
① は「正しい漢文・訓読」であって、
② も「正しい漢文・訓読」であると、思はれる。
然るに、
(08)
② 成学難=学を成すは難し。
③ 破賊難=賊を破るは難し。
に於いて、
② は「正しい漢文・訓読」ならば、そのときに限って
③ も「正しい漢文・訓読」である。
然るに、
(09)
③ 破賊難  =賊を破るは難し。
④ 破心中賊難=心中の賊を破るは難し。
に於いて、
③ は「正しい漢文・訓読」ならば、そのときに限って
④ も「正しい漢文・訓読」である。
然るに、
(10)
心中賊難=心中の賊を破るは難し
の「左辺」は、「王陽明の文」であるため、「正しい」。
従って、
(07)~(10)により、
(11)
② 成学難=学成す難し。
③ 破賊難=賊破る難し。
に於いて、
② は「正しい漢文・訓読」であって、
③ も「正しい漢文・訓読」である。
従って、
(07)(11)により、
(12)
① 学難成=学成り難し。
② 成学難=学成す難し。
に於いて、
① は「正しい漢文・訓読」であって、
② も「正しい漢文・訓読」である。
然るに、
(13)
① 学成り難し。
② 学成す難し。
に於いて、
① は「正しい日本語」であって、
② も「正しい日本語」であるが、
① は、「学」   を「話題(主題)」にしてゐて、
② は、「学を成す」を「話題(主題)」にしてゐる。
従って、
(12)(13)により、
(14)
① 学難成。
② 成学難。
に於いて、
① は「正しい漢文」であって、
② も「正しい漢文」であるが、
① は、「学」 を「話題(主題)」にしてゐて、
② は、「成学」を「話題(主題)」にしてゐる。
然るに、
(15)
作者が誰かはさておき、「一寸光陰不可軽」は、漢文法の目的語後置の原則に忠実に従えば、
A「不可軽一寸光陰」  (一寸光陰を軽んずべからず)
B「一寸光陰、不可軽之」(一寸光陰は、之を軽んずべからず)
などと書いてもよいはずだ。
しかし、「生起き順の原則」に従えば、「一寸光陰不可軽」も自然な語順である。意識の流れに順番に従えば、
ⅰ「一瞬の時間(話題の提起。主題語)」
ⅱ「(私たちは、どう扱えばよいだろう?」
ⅲ「軽く扱ってはいけない(結論。述語)」でもよい。
従って、
(14)(15)により、
(16)
① 学難成。
② 一寸光陰不可軽。
に於いて、
① は「正しい漢文」であって、
② も「正しい漢文」であるが、
① は、「学」   を「話題(主題)」にしてゐて、
② は、「一寸光陰」を「話題(主題)」にしてゐる。
然るに、
(17)
[副詞]こレ
倒置の明示《目的語強調するために目的語を動詞の前に出す倒置の場合、倒置したことを示すために目的語と動詞の間に副詞「」を入れる。「こレ」と読むが、特定のものを指示しない》
従って、
(15)(17)により、
(18)
B「一寸光陰、不可軽之」(一寸光陰は、之を軽んずべからず)
C「一寸光陰、不可軽」(一寸光陰を、之れ軽んずべからず)
に於いて、
B「一寸光陰」 ではなく、
C「一寸光陰」の場合は、「強調」を目的とした、「目的語」の「倒置」である。
従って、
(16)(18)により、
(19)
① 学難成     =学は成り難し。
② 一寸光陰不可軽 =一寸の光陰軽んず可からず。
③ 一寸光陰不可軽=一寸の光陰之れ軽んず可からず。
① は「正しい漢文・訓読」であって、
② も「正しい漢文・訓読」であって、
③ も「正しい漢文・訓読」であるが、
① は、「学」   を「話題(主題)」にしてゐて、
② は、「一寸光陰」を「話題(主題)」にしてゐて、
③ は、「一寸光陰」を「強調」してゐる。
従って、
(19)により、
(20)
「漢文」に於いて、「目的語(補語)」が、「文頭」にある場合は、その「目的語」は、
(Ⅰ)「話題(主題)」であるか、
(Ⅱ)「強調形」   であるか、
(Ⅲ)「その他(?)」である。


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