(01)
〔天子章第二〕
子曰、愛親者不敢惡於人。
子し曰く、親を愛する者は、敢へて人を悪まず。
(Web漢文大系)
然るに、
(02)
① 愛親者不敢惡_人。
② 愛親者不敢惡於人。
に於いて、
① ではなく、
② である以上、
① 敢へて人を悪ま_ず(決して、人を憎ま_ない)。
ではなく、
② 敢へて人を悪まれず(決して、人に憎まれない)。
であると、思はれる。
然るに、
(03)
∀x∀y{(親xy&愛yx)→~∃z(人z&悪zy)}⇔
すべてのxとyについて(xがyの親であって、yがxを愛するならば、あるzについて(zが人であって、zがyを悪む)といふことはない}。
従って、
(02)(03)により、
(04)
愛親者不敢惡於人。⇔
愛(親)者不[敢惡〔於(人)〕]。⇔
(親)愛者[敢〔(人)於〕惡]不。⇔
親を愛する者は、敢へて人に惡まれず。⇔
∀x∀y{(親xy&愛yx)→~∃z(人z&悪zy)}⇔
すべてのxとyについて(xがyの親であって、yがxを愛するならば、あるzについて(zが人であって、zがyを悪む)といふことはない}。
従って、
(04)により、
(05)
愛親者不必不敢惡於人。⇔
愛(親)者不{必不[敢惡〔於(人)〕]}。⇔
(親)愛者{必[敢〔(人)於〕惡]不}不。⇔
親を愛する者は、必ずしも敢へて人に悪まれずんばあらず。⇔
~∀x∀y{(親xy&愛yx)→~∃z(人z&悪zy)}⇔
すべてのxとyについて(xがyの親であって、yがxを愛するならば、あるzについて(zが人であって、zがyを悪む)といふことはない}といふわけではない。
然るに、
(06)
(ⅰ)
1 (1)~∀x∀y{(親xy&愛yx)→~∃z(人z&悪zy)} A
1 (2)∃x~∀y{(親xy&愛yx)→~∃z(人z&悪zy)} 1量化子の関係
1 (3)∃x∃y~{(親xy&愛yx)→~∃z(人z&悪zy)} 2量化子の関係
4 (4) ∃y~{(親ay&愛ya)→~∃z(人z&悪zy)} A
5 (5) ~{(親ab&愛ba)→~∃z(人z&悪zb)} A
5 (6) ~{~(親ab&愛ba)∨~∃z(人z&悪zb)} 5含意の定義
5 (7) (親ab&愛ba)& ∃z(人z&悪zb) 6ド・モルガンの法則
5 (8) (親ab&愛ba) 7&E
5 (9) ∃z(人z&悪zb) 7&E
ア(ア) (人c&悪cb) A
5ア(イ) (親ab&愛ba)&(人c&悪cb) 8ア&I
5ア(ウ) ∃z{(親ab&愛ba)&(人z&悪zb)} イEI
5 (エ) ∃z{(親ab&愛ba)&(人z&悪zb)} 5アウ
5 (オ) ∃y∃z{(親ay&愛ya)&(人z&悪zy)} エEI
4 (カ) ∃y∃z{(親ay&愛ya)&(人z&悪zy)} 45オEI
4 (キ) ∃x∃y∃z{(親xy&愛yx)&(人z&悪zy)} カEI
1 (ク) ∃x∃y∃z{(親xy&愛yx)&(人z&悪zy)} 14キEE
(ⅱ)
1 (1) ∃x∃y∃z{(親xy&愛yx)&(人z&悪zy)} A
2 (2) ∃y∃z{(親ay&愛ya)&(人z&悪zy)} A
3 (3) ∃z{(親ab&愛ba)&(人z&悪zb)} A
4(4) (親ab&愛ba)&(人c&悪cb) A
4(5) (親ab&愛ba) 4&E
4(6) (人c&悪cb) 4&E
4(7) ∃z(人z&悪zb) 6EI
3 (8) ∃z(人z&悪zb) 347EE
3 (9) (親ab&愛ba)& ∃z(人z&悪zb) 48&I
3 (ア) ~{~(親ab&愛ba)∨~∃z(人z&悪zb)} 9ド・モルガンの法則
3 (イ) ~{(親ab&愛ba)→~∃z(人z&悪zb)} ア含意の定義
3 (ウ) ∃y~{(親ay&愛ya)→~∃z(人z&悪zy)} イEI
2 (エ) ∃y~{(親ay&愛ya)→~∃z(人z&悪zy)} 23ウEE
2 (オ)∃x∃y~{(親xy&愛yx)→~∃z(人z&悪zy)} エEI
1 (カ)∃x∃y~{(親xy&愛yx)→~∃z(人z&悪zy)} 12オEE
1 (キ)∃x~∀y{(親xy&愛yx)→~∃z(人z&悪zy)} カ量化子の関係
1 (ク)~∀x∀y{(親xy&愛yx)→~∃z(人z&悪zy)} キ量化子の関係
従って、
(06)により、
(07)
① ~∀x∀y{(親xy&愛yx)→~∃z(人z&悪zy)}
② ∃x∃y∃z{(親xy&愛yx)& (人z&悪zy)}
に於いて、
①=② である。
従って、
(05)(06)(07)により、
(08)
① 愛レ親者不三必不二敢惡一レ於レ人。
② 親を愛する者は、必ずしも敢へて人に悪まれずんばあらず。
③ ∃x∃y∃z{(親xy&愛yx)&(人z&悪zy)}。
④ あるxとyとzについて{xはyの親であり、yはxを愛し、zは人であって、zはyを悪む}。
に於いて、
①=②=③=④ である。
従って、
(04)(08)により、
(09)
① 愛親者不敢惡於人。
② 愛親者不必不敢惡於人。
③ ∀x∀y{(親xy&愛yx)→~∃z(人z&悪zy)}。
④ ∃x∃y∃z{(親xy&愛yx)&(人z&悪zy)}。
に於いて、
①=③ であって、
②=④ である。
然るに、
(10)
① ~∃z(人z&悪zy)
② ~∃z(人z&悪yz)
③ yを憎む人はゐない。
④ yは、人を憎まない。
に於いて、
①=③ であって、
②=④ である。
従って、
(01)(02)(10)により、
(11)
① 愛親者不敢惡於人(受動態)。
② 愛親者不敢惡_人(能動態)。
であれば、「順番」に、
③ ∀x∀y{(親xy&愛yx)→~∃z(人z&悪zy)}。
④ ∀x∀y{(親xy&愛yx)→~∃z(人z&悪yz)}。
である。
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