日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(1075)「∃x(存在)と∀y(全て)」について。

2022-04-30 15:14:32 | 論理

(01)
『結論』として、
①  ∃x{少女x&∀y(少年y→  愛yx)}
②  ∀x{少年x→∃y(少女y&  愛xy)}
③ ~∀x{少女x→∃y(少年y&~愛yx)}
④ ~∃x{少年x&∀y(少女y→~愛xy)}
に於いて、従って、
① 少女為全少年所一レ愛 (全ての少年によって、愛される所の少女が存在する)。
② 少年皆有其所愛少女(どのやうな少年であっても、愛する所の少女がゐる)。
③(どのやうな少女であっても、彼女を愛さない少年がゐる)といふわけではない。
④(どのやうな少女をも、愛さない)といふ、そのやうな少年は存在しない。
に於いて、
①=③ であって、
②=④ である。
(02)
(34)すべての少年はある少女を愛する。
この文には多義性が含まれていることが知られている。これは、
(ⅰ)すべての少年に愛されるあるひとりの(非常に幸運な)少女が存在する。
という意味かも知れないし、あるいは、
(ⅱ)すべての少年に対して、彼が愛する(さいわいに別々の)少女が見つかる。
という意味かも知れない。
(34)Every boy loves a certain girl.
We detect here ambiguity: this measn(ⅰ)that there is someone(very fortunate)girl who is loved by every boy;
or(ⅱ)that for every boy there can be found some(with luck,different)girl whom he loves.
(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳 と原文、1973年、127頁)
然るに、
(03)
{少年の集合}={d,e,f}
であるとして、
①{少女a&(少年d→愛da&少年e→愛ea&少年f→愛fa)}⇔
①{aは少女であって、(dが少年であるならばdはaを愛してゐて、eが少年であるならばeはaを愛してゐて、fが少年であるならばfはaを愛してゐる)}。
とするならば、
① 少女aは、すべての少年(d,e,f)によって、愛されている。
従って、
(03)により、
(04)
{少女の集合}={a,b,c}
であるとして、
①{少女a&(少年d→愛da&少年e→愛ea&少年f→愛fa)}∨
①{少女b&(少年d→愛db&少年e→愛eb&少年f→愛fb)}∨
①{少女c&(少年d→愛dc&少年e→愛ec&少年f→愛fc)}.
とするならば、すなはち、
①{aは少女であって、(dが少年であるならばdはaを愛してゐて、eが少年であるならばeはaを愛してゐて、fが少年であるならばfはaを愛してゐる)}か、または、
①{bは少女であって、(dが少年であるならばdはbを愛してゐて、eが少年であるならばeはbを愛してゐて、fが少年であるならばfはbを愛してゐる)}か、または、
①{cは少女であって、(dが少年であるならばdはcを愛してゐて、eが少年であるならばeはcを愛してゐて、fが少年であるならばfはcを愛してゐる)}。
とするならば、
{少女の集合(a,b,c)}の中の、少なくとも1人が、
{少年の集合(d,e,f)}の中の、全員から「愛されてゐる」。
といふことになる。
従って、
(02)(03)(04)により、
(05)
(ⅰ)すべての少年に愛されるあるひとりの(非常に幸運な)少女が存在する。
といふのであれば、その場合は、
①{少女a&(少年d→愛da&少年e→愛ea&少年f→愛fa)}∨
①{少女b&(少年d→愛db&少年e→愛eb&少年f→愛fb)}∨
①{少女c&(少年d→愛dc&少年e→愛ec&少年f→愛fc)}.
である。
然るに、
(06)
②{少年d→(少女a&愛da)∨(少女b&愛db)∨(少女c&愛dc)}&
②{少年e→(少女a&愛ea)∨(少女b&愛eb)∨(少女c&愛ec)}&
②{少年f→(少女a&愛fa)∨(少女b&愛fb)∨(少女c&愛fc)}.
とするならば、すなはち、
②{dが少年であるならば、(aは少女であって、dはaを愛するか、または、bは少女であって、dはbを愛するか、または、cは少女であって、dはcを愛し)}、その上、
②{eが少年であるならば、(aは少女であって、eはaを愛するか、または、bは少女であって、eはbを愛するか、または、cは少女であって、eはcを愛し)}、その上、
②{fが少年であるならば、(aは少女であって、fはaを愛するか、または、bは少女であって、fはbを愛するか、または、cは少女であって、fはcを愛す)}。
とするならば、
{少年の集合(d,e,f)}の全員が、
{少女の集合(a,b,c)}の中の、少なくとも1人を愛してゐる。
といふことになる。
従って、
(02)~(06)により、
(07)
(34)Every boy loves a certain girl.
(34)すべての少年はある少女を愛する。
といふ「命題」は、
(ⅰ)すべての少年に愛されるあるひとりの(非常に幸運な)少女が存在する。
(ⅱ)すべての少年に対して、彼が愛する(さいわい別々の)少女が見つかる。
に於いて、
(ⅰ)であれば、
①{少女a&(少年d→愛da&少年e→愛ea&少年f→愛fa)}∨{少女b&(少年d→愛db&少年e→愛eb&少年f→愛fb)}∨{少女c&(少年d→愛dc&少年e→愛ec&少年f→愛fc)}.
といふ風に、書くこと出来、
(ⅱ)であれば、
②{少年d→(少女a&愛da)∨(少女b&愛db)∨(少女c&愛dc)}&{少年e→(少女a&愛ea)∨(少女b&愛eb)∨(少女c&愛ec)}&{少年f→(少女a&愛fa)∨(少女b&愛fb)∨(少女c&愛fc)}.
といふ風に、書くこと出来る。
然るに、
(08)
①{少女a&(少年d→愛da&少年e→愛ea&少年f→愛fa)}∨{少女b&(少年d→愛db&少年e→愛eb&少年f→愛fb)}∨{少女c&(少年d→愛dc&少年e→愛ec&少年f→愛fc)}.
②{少年d→(少女a&愛da)∨(少女b&愛db)∨(少女c&愛dc)}&{少年e→(少女a&愛ea)∨(少女b&愛eb)∨(少女c&愛ec)}&{少年f→(少女a&愛fa)∨(少女b&愛fb)∨(少女c&愛fc)}.
は、それぞれ、
① ∃x{少女x&∀y(少年y→愛yx)}
② ∀x{少年x→∃y(少女y&愛xy)}
といふ風に、書くこと出来る。
従って、
(02)~(08)により、
(09)
①(Every boy loves a certain girl)ではない。
②(Every boy loves a certain girl)ではない。
といふ「否定命題」は、
① ~∃x{少女x&∀y(少年y→愛yx)}
② ~∀x{少年x→∃y(少女y&愛xy)}
といふ風に、書くこと出来る。
然るに、
(10)
(a)
1  (1)~∃x{少女x&∀y(少年y→愛yx)} A
1  (2)∀x~{少女x&∀y(少年y→愛yx)} 1量化子の関係
1  (3)  ~{少女a&∀y(少年y→愛ya)} 1UE
1  (4)  ~少女a∨~∀y(少年y→愛ya)  3ド・モルガンの法則
 2 (5)       ~∀y(少年y→愛ya)  A
 2 (6)       ∃y~(少年y→愛ya)  5量化子の関係
 2 (7)         ~(少年b→愛ba)  A
 2 (8)        ~(~少年b∨愛ba)  7含意の定義
 2 (9)          少年b&~愛ba   8ド・モルガンの法則
 2 (ア)       ∃y(少年y&~愛ya)  9EI
 2 (イ)  ~少女a∨∃y(少年y&~愛ya)  ア∨I
  ウ(ウ)  ~少女a               A
  ウ(エ)  ~少女a∨∃y(少年y&~愛ya)  ウ∨I
1  (オ)  ~少女a∨∃y(少年y&~愛ya)  12イウエ∨E
1  (カ)   少女a→∃y(少年y&~愛ya)  オ含意の定義
1  (キ)∀x{少女x→∃y(少年y&~愛yx)} カUI
(b)
1   (1)∀x{少女x→∃y(少年y&~愛yx)} A
1   (2)   少女a→∃y(少年y&~愛ya)  1UE
1   (3)  ~少女a∨∃y(少年y&~愛ya)  2含意の定義
 4  (4)       ∃y(少年y&~愛ya)  A
  5 (5)          少年b&~愛ba   A
  5 (6)       ~(~少年b∨ 愛ba)  5ド・モルガンの法則
  5 (7)        ~(少年b→ 愛ba)  6含意の定義
  5 (8)      ∃y~(少年y→ 愛ya)  7EI
 4  (9)      ∃y~(少年y→ 愛ya)  458EE
 4  (ア)      ~∀y(少年y→ 愛ya)  9量化子の関係
 4  (イ) ~少女a∨~∀y(少年y→ 愛ya)  ア∨I
   ウ(ウ) ~少女a                A
   ウ(エ)  ~少女a∨~∀y(少年y→愛ya)  ウ∨I
1   (オ)  ~少女a∨~∀y(少年y→愛ya)  14イウエ∨E
1   (カ)∀x~{少女x&∀y(少年y→愛yx)} オUI
1   (キ)~∃x{少女x&∀y(少年y→愛yx)} カ量化子の関係
(11)
(c)
1 (1)~∀x{少年x→∃y(少女y&愛xy)} A
1 (2)∃x~{少年x→∃y(少女y&愛xy)} 1量化子の関係
 3(3)  ~{少年a→∃y(少女y&愛ay)} A
 3(4) ~{~少年a∨∃y(少女y&愛ay)} 3含意の定義
 3(5)   少年a&~∃y(少女y&愛ay)  4ド・モルガンの法則
 3(6)   少年a               5&E
 3(7)       ~∃y(少女y&愛ay)  6&E
 3(8)       ∀y~(少女y&愛ay)  7量化子の関係
 3(9)         ~(少女b&愛ab)  8UE
 3(ア)         ~少女b∨~愛ab   9ド・モルガンの法則
 3(イ)          少女b→~愛ab   ア含意の定義
 3(ウ)       ∀y(少女y→~愛ay)  イUI
 3(エ)   少年a&∀y(少女y→~愛ay)  6ウ&I
 3(オ)∃x{少年x&∀y(少女y→~愛xy)} エEI
1 (カ)∃x{少年x&∀y(少女y→~愛xy)} 13オEE
(d)
1 (1) ∃x{少年x&∀y(少女y→~愛xy} A
 2(2)    少年a&∀y(少女y→~愛ay) A
 2(3)    少年a              2&E
 2(4)        ∀y(少女y→~愛ay  2&E
 2(5)           少女b→~愛ab  4UE
 2(6)          ~少女b∨~愛ab  5含意の定義
 2(7)          ~(少女b&愛ab) 6ド・モルガンの法則
 2(8)        ∀y~(少女b&愛ab) 7UI
 2(9)        ~∃y(少女b&愛ab) 8量化子の関係
 2(ア)    少年a&~∃y(少女b&愛ab) 39&I
 2(イ) ~{~少年a∨∃y(少女y&愛ay)} ア、ド・モルガンの法則
 2(ウ)  ~{少年a→∃y(少女y&愛ay)} イ含意の定義
 2(エ)∃x~{少年x→∃y(少女y&愛xy)} ウEI
1 (オ)∃x~{少年x→∃y(少女y&愛xy)} 12エEE
1 (カ)~∀x{少年x→∃y(少女y&愛xy)} オ量化子の関係
従って、
(09)(10)(11)により、
(12)
① ~∃x{少女x&∀y(少年y→  愛yx)}
② ~∀x{少年x→∃y(少女y&  愛xy)}
③   ∀x{少女x→∃y(少年y&~愛yx)}
④  ∃x{少年x&∀y(少女y→~愛xy)}
に於いて、
①=③ であって、
②=④ である。
従って、
(12)により、
(13)
① ~~∃x{少女x&∀y(少年y→  愛yx)}
② ~~∀x{少年x→∃y(少女y&  愛xy)}
③   ~∀x{少女x→∃y(少年y&~愛yx)}
④  ~∃x{少年x&∀y(少女y→~愛xy)}
に於いて、
①=③ であって、
②=④ である。
従って、
(13)により、
(14)
「二重否定(DN)」により、
①  ∃x{少女x&∀y(少年y→  愛yx)}
②  ∀x{少年x→∃y(少女y&  愛xy)}
③ ~∀x{少女x→∃y(少年y&~愛yx)}
④ ~∃x{少年x&∀y(少女y→~愛xy)}
に於いて、
①=③ であって、
②=④ である。
従って、
(14)により、
(15)
①  全ての少年によって、愛される所の少女が存在する。
②  どのやうな少年であっても、愛する所の少女がゐる。
③(どのやうな少女であっても、彼女を愛さない少年がゐる)といふわけではない。
④(どのやうな少女をも、愛さない)といふ、そのやうな少年は存在しない。
に於いて、
①=③ であって、
②=④ である。