日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(1019)aF(幹事は、私です。) ⇔{x:Fx}∈a

2021-11-17 18:47:35 | 「は」と「が」

(01)
与えられた対象aが{x:Fx}のメンバー(要素)であるためには、aがその条件を満たすとき、またそのときに限られる。
すなわちFaであり、またそのときに限られるのである。『aは{x:Fx}のメンバー(要素)である』を意味するものとして、
a∈{x:Fx}と書くならば、この想定は、任意の条件Fx(xはFである)に対して、
 (1) a∈{x:Fx}⇔Fa(aはFである)
ということになる。
(公理的集合論、E.J.レモン 著、石本新・高橋敬吾 訳、1972年、序論・改)
従って、
(01)により、
(02)
① Fa(aはFである。)⇔ a∈{x:Fx}
に於いて、
① a=私,F=幹事
であるならば、
① Fa(私は、幹事です。)⇔ a∈{x:Fx}
である。
従って、
(02)により、
(03)
① Fa(私は、幹事です。)⇔ a∈{x:Fx}
に於いて、「倒置」を行ふと、
② aF(幹事は、私です。) ⇔{x:Fx}∈a
然るに、
(04)
② F=幹事
は、「集合(クラス)」であるため、「複数」であることも、「単数」であることも、可能であるが、
② a=私
は、「集合の要素(メンバー)」であるため、必ず、「単数」である。
従って、
(03)(04)により、
(05)
② aF(幹事は、私です。) ⇔{x:Fx}∈a
であるならば、必然的に
② 私は幹事であり、私以外は、幹事ではない
従って、
(05)により、
(06)
② 幹事は私です。
③ 私は幹事であり、私以外は、幹事ではない
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(07)
無題化というのは、「Ⅹは」の「は」を消すことですから、センテンスの形のままでもできないことはありませんが、
センテンスの形では、本当に無題になりきれない場合も起こります。たとえば、
 私は、幹事です。
 私幹事です。
のように、「は」を消しても、センテンスの意味は、
 幹事は、私です。
というのに近く、題が文中の別の個所に移り隠れたにすぎません。つまり、本当には無題化していないわけです。
(山崎紀美子、日本語基礎講座、― 三上文法入門、2003年、65・66頁)。
従って、
(07)により、
(08)
① 私幹事です。
② 幹事は私です。
に於いて、
①=② である。
従って、
(06)(08)により、
(09)
① 私幹事です。
② 幹事は私です。
③ 私は幹事であり、私以外は、幹事ではない
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(07)(09)により、
(10)
 私は、幹事です。
 私が幹事です。
のように、「は」を消しても、センテンスの意味は、
 幹事は、私です。
というのに近く、題が文中の別の個所に移り隠れたにすぎません。つまり、本当に無題化していないわけです。
といふのであれば、山崎先生は、
① 私が幹事です。
② 幹事は私です。
③ 私は幹事であり、私以外は、幹事ではない。
に於いて、
①=②=③ である。
といふことを、踏まへた上で、「無題化」といふ「用語(現象)」を、説明すべきである。
(11)
無題化の手続きにより、「Ⅹ」の「」は、「のにを」またはゼロ(時の格)を代行している。
(山崎紀美子、日本語基礎講座、― 三上文法入門、2003年、67頁)
といふのであれば、
無題化の手続きにより、「Ⅹ」の「」は、「のにを」またはゼロ(時の格)を代行している。
とも、言へることになる。


(1018)「象の鼻が長い」の「述語論理」。

2021-11-17 16:25:52 | 象は鼻が長い、述語論理。

(01)
① 象長い。
② 象長い。
といふ「日本語」は、『直観』として、
① 象に関して言へば、鼻は長く、鼻以外は長くない
② 鼻に関して言へば、象の鼻は長く、象の鼻以外は長くない
といふ「意味」である。
cf.
「象と兎、どちらの鼻が長いか?」⇒「(鼻に関しては)象の鼻長い。」
「兎と象、どちらの耳が長いか?」⇒「(耳に関しては)兎の耳長い。」
然るに、
(02)
① 象に関して言へば、鼻は長く、鼻以外は長くない
② 鼻に関して言へば、象の鼻は長く、象の鼻以外は長くない。
といふ「日本語」は、『直観』として、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zy→~長z)}。
② ∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&~(鼻xy&象y)→~長x}。
といふ「意味」である。
然るに、
(03)
1    (1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
 2   (2)∀x{兎x→∃y(長y&耳yx)&∀z(耳zx→~鼻zx)} A
  3  (3)∃x(兎x&象x)                      A
1    (4)   象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)  1UE
 2   (5)   兎a→∃y(長y&耳ya)&∀z(耳za→~鼻za)  2UE
   6 (6)   兎a&象a                       A
   6 (7)      象a                       6&E
   6 (8)   兎a                          6&E
1  6 (9)      ∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)  47MPP
 2 6 (ア)      ∃y(長y&耳ya)&∀z(耳za→~鼻za)  58MPP
 2 6 (イ)      ∃y(長y&耳ya)               ア&E
    ウ(ウ)         長b&耳ba                A
1  6 (エ)                 ∀z(~鼻za→~長z)  9&E
 2 6 (オ)                 ∀z(耳za→~鼻za)  ア&E
1  6 (カ)                    ~鼻ba→~長b   エUE
 2 6 (キ)                    耳ba→~鼻ba   オUE
    ウ(ク)            耳ba                ウ&E
 2 6ウ(ケ)                        ~鼻ba   キクMPP
12 6ウ(コ)                         ~長b   カケMPP
    ウ(サ)         長b                    ウ&E
12 6ウ(シ)         長b&~長b                コサ&I
12 6 (ス)         長b&~長b                イウシEE
123  (セ)         長b&~長b                36スEE
12   (ソ)~∃x(兎x&象x)                     36セRAA
12   (タ)∀x~(兎x&象x)                     ソ量化子の関係
12   (チ)  ~(兎a&象a)                     タUE
12   (ツ)  ~兎a∨~象a                      チ、ド・モルガンの法則
12   (テ)   兎a→~象a                      ツ含意の定義
12   (ト)∀x(兎x→~象x)                     テUI
従って、 (03)により、
(04)
(ⅰ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。然るに、
(ⅱ)∀x{兎x→∃y(長y&耳yx)&∀z(耳zx→~鼻zx)}。従って、
(ⅲ)∀x(兎x→~象x)。
といふ「推論(三段論法)」、すなはち、
(ⅰ)すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない}。   然るに、
(ⅱ)すべてのxについて{xが兎であるならば、あるyは長くて、xの耳であり、すべてのzについて、zがxの耳であるならば、zはxの鼻ではない}。従って、
(ⅲ)すべてのxについて(xが兎であるならば、xは象ではない。)
といふ「推論(三段論法)」は、「妥当」である。
従って、
(04)により、
(05)
(ⅰ)象は鼻長い。然るに、
(ⅱ)兎の耳は長いが、耳は鼻ではない。従って、
(ⅲ)兎は象ではない。
といふ「推論(三段論法)」は、「妥当」である。
然るに、
(06)
1     (1)∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&~(鼻xy&象y)→~長x} A
1     (2)  ∃y{(鼻ay&象y)→長a&~(鼻ay&象y)→~長a} 1UE
 3    (3)     (鼻ab&象b)→長a&~(鼻ab&象b)→~長a  A
  4   (4) ∃x∃y(鼻xy&兎y&~象y)               A
   5  (5)   ∃y(鼻ay&兎y&~象y)               A
    6 (6)      鼻ab&兎b&~象b                A
 3    (7)                 ~(鼻ab&象b)→~長a  3&E
     8(8)                  ~鼻ab∨~象b      A
     8(9)                 ~(鼻ab&象b)      8ド・モルガンの法則
 3   8(ア)                           ~長a  79MPP
 3    (イ)                (~鼻ab∨~象b)→~長a  8アCP
    6 (ウ)             ~象b                6&E
    6 (エ)        ~鼻ab∨~象b                ウ∨I
 3  6 (オ)                           ~長a  イエMPP
    6 (カ)      鼻ab&兎b                    6&E
 3  6 (キ)      鼻ab&兎b&~長a                オカ&I
 3  6 (ク)   ∃y(鼻ay&兎y&~長a)               キEI
 3 5  (ケ)   ∃y(鼻ay&兎y&~長a)               56クEE
 3 5  (コ) ∃x∃y(鼻xy&兎y&~長x)               ケEI
 34   (サ) ∃x∃y(鼻xy&兎y&~長x)               45コEE
1 4   (シ) ∃x∃y(鼻xy&兎y&~長x)               23サEE
従って、
(06)により、
(07)
(ⅰ)∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&~(鼻xy&象y)→~長x}。然るに、
(ⅱ)∃x∃y(鼻xy&兎y&~象y)。従って、
(ⅲ)∃x∃y(鼻xy&兎y&~長x)。
といふ「推論(三段論法)」、すなはち、
(ⅰ)すべてのxとあるyについて{(xがyの鼻であって、yが象である)ならば、xは長く、(そうでない場合)は、xは長くない}。然るに、
(ⅱ)  あるxとあるyについて( xはyの鼻であって、yは兎であって、象ではない)。従って、
(ⅲ)  あるxとあるyについて( xはyの鼻であって、yは兎であって、xは長くない)。
といふ「推論(三段論法)」は、「妥当」である。
従って、
(07)により、
(08)
(ⅰ)象長い。然るに、
(ⅱ)ある兎の鼻は象の鼻ではない。従って、
(ⅲ)ある兎の鼻は長くない。
といふ「推論(三段論法)」は、「妥当」である。
従って、
(01)~(08)により、
(09)
① 象長い。
② 象長い。
といふ「日本語」は、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zy→~長z)}。
② ∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&~(鼻xy&象y)→~長x}。
といふ「述語論理」に、「翻訳」出来る。
従って、
(01)(09)により、
(10)
① 象長い。
② 象長い。
といふ「日本語」が、
① 象に関して言へば、鼻は長く、鼻以外は長くない。
② 鼻に関して言へば、象の鼻は長く、象の鼻以外は長くない。
といふ「意味」である。
といふ『直観』は、「述語論理」といふ「観点」からすれば、「正しい」。
従って、
(09)(10)により、
(11)
① 象長い。⇔ 象に関して言へば、鼻は長く、鼻以外は長くない。
② 象長い。⇔ 鼻に関して言へば、象の鼻は長く、象の鼻以外は長くない。
といふ「解釈」は、
① 象は鼻が長い。⇔ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zy→~長z)}。
② 象の鼻が長い。⇔ ∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&~(鼻xy&象y)→~長x}。
といふ「述語論理への翻訳」を行ふ上で、「役に立つ」。
従って、
(11)により、
(12)
① 象に関して言へば、鼻は長く、鼻以外は長くない
② 鼻に関して言へば、象の鼻は長く、象の鼻以外は長くない
といふ「解釈」を行ふことは、
① 象長い。
② 象長い。
といふ「日本語」の、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zy→~長z)}。
② ∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&~(鼻xy&象y)→~長x}。
といふ「論理構造」を把握する上で、「役に立つ」。
然るに、
(13)
例へば、
1 無題化ということ
 象はが長い
このセンテンスから、題を底(base)とする名詞を機械的に作ることができます。
底とは名詞句の末尾の名詞のことです。
 が長い象
次に、傍線部の名詞を底とする名詞句を作ろうとすると、今度は、新しく助詞が現れてきます。
 象長い
さて、最初のセンテンスの中身(事柄、コト)は次のように書き表されます。
 象の鼻が長いコト
このコトから傍線の名詞を取り立てれば、つまり、題として提示するば、最初の、
 象は鼻が長い
に戻ります(山崎紀美子、日本語基礎講座、―三上文法入門、2003年、62~65頁)。
といふことが、「確認」出来たとしても、
① 象長い。
② 象長い。
といふ「日本語」の、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zy→~長z)}。
② ∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&~(鼻xy&象y)→~長x}。
といふ「論理構造」を把握することは、出来ない。