(01)
(ⅰ)
1 (1)∃x(男子x&学生x) A
2(2) 男子a&学生a A
2(3) 男子a 2&EI
2(4) ∃x男子x 3EI
2(5) 学生a 2&E
2(6) ∃x学生x 5EI
2(7)∃x男子x&∃x学生x 46&I
1 (8)∃x男子x&∃x学生x 127EE
(ⅱ)
1 (1) ∃x男子x&∃x学生x A
1 (2) ∃x男子x 1&E
3 (3) 男子a A
1 (4) ∃x学生x 1&E
5(5) 学生a A
35(6) 男子a&学生a 35&I
35(7)∃x(男子x&学生x) 6EI
13 (8)∃x(男子x&学生x) 357EE
(ⅲ)
1 (1) ∃x男子x&∃x学生x A
1 (2) ∃x男子x 1&E
3 (3) 男子a A
1 (4) ∃x学生x 1&E
5(5) 学生b A
35(6) 男子a&学生b 35&I
35(7)∃x(男子x&学生x) 6EI は、「反則」であり、
13 (8)∃x(男子x&学生x) 357EE も、「反則」である。
然るに、
(02)
「男子の学生」がゐるならば、 「男子と学生」がゐるが、 逆に、
「男子と学生」がゐるとしても、「男子の学生」がゐるとは、限らない。
従って、
(01)(02)により、
(03)
① ∃x(男子x&学生x) ├ ∃x男子x&∃x学生x
② ∃x男子x&∃x学生x ├ ∃x(男子x&学生x)
に於いて、
① は、「妥当」であり、
② は、「妥当」ではないが、「不可能」ではない。
従って、
(03)により、
(04)
① ∃z(彼z&大野zx)├ ∃z彼z&∃z大野zx
② ∃z彼z&∃z大野zx├ ∃z(彼z&大野zx)
に於いて、
① は、「妥当」であり、
② は、「妥当」ではないが、「不可能」ではない。
然るに、
(05)
(ⅰ)
1 (1)∀x{ここにゐるx→∃y[私y&大野yx&∀z(z≠y→~大野zx)]} A
1 (2) ここにゐるa→∃y[私y&大野ya&∀z(z≠y→~大野za)] 1UE
3 (3) ここにゐるa A
13 (4) ∃y[私y&大野ya&∀z(z≠y→~大野za)] 23MPP
5 (5) 私b&大野ba&∀z(z≠b→~大野za) A
5 (6) 私b 5&E
5 (7) 大野ba 5&E
5 (8) ∀z(z≠b→~大野za) 5&E
5 (9) c≠b→~大野ca 9UE
ア (ア) ∃z(彼z&~私z) A
イ (イ) 彼c&~私c A
イ (ウ) 彼c イ&E
イ (エ) ~私c イ&E
オ(オ) c=b A
イオ(カ) ~私b エオ=E
5 イオ(キ) ~私b&私b 6カ&I
5 イ (ク) c≠b オキRAA
5 イ (ケ) ~大野ca 9クMPP
5 イ (コ) 彼c&~大野ca ウケ&I
5 イ (サ) ∃z(彼z&~大野za) コEI
5ア (シ) ∃z(彼z&~大野za) アイサEE
13 ア (ス) ∃z(彼z&~大野za) 45シEE
1 (セ) ここにゐるa→∃z(彼z&~大野za) 3スCP
1 ア (ソ)∀x{ここにゐるx→∃z(彼z&~大野zx) セUI
(ⅱ)
1 (1)∀x{ここにゐるx→∃y[私y&大野yx&~∀z(z≠y→~大野zx)]} A
1 (2) ここにゐるa→∃y[私y&大野ya&~∀z(z≠y→~大野za)] 1UE
3 (3) ここにゐるa A
13 (4) ∃y[私y&大野ya&~∀z(z≠y→~大野za)] 23MPP
5 (5) 私b&大野ba&~∀z(z≠b→~大野za) A
5 (7) 私b 5&E
5 (8) 大野ba 5&E
5 (9) ~∀z(z≠b→~大野za) 5&E
5 (ア) ∃z~(z≠b→~大野za) 9量化子の関係
イ (イ) ~(c≠b→~大野ca) A
イ (ウ) ~(c=b∨~大野ca) イ含意の定義
イ (エ) c≠b& 大野ca ウ、ド・モルガンの法則
イ (オ) 大野ca エ&E
カ (カ) ∃z(彼z&~私z) A
キ (キ) 彼d&~私d A
キ (ク) 彼d キ&E
ケ(ケ) d=c A
キケ(コ) 彼c クケ=E
イ キケ(サ) 彼c&大野ca オコ&I
イ キケ(シ) ∃z(彼z&大野za) サEI
イカ ケ(ス) ∃z(彼z&大野za) カキシEE
5 カ ケ(セ) ∃z(彼z&大野za) 5イスEE
13 カ ケ(ソ) ∃z(彼z&大野za) 45セEE
1 カ ケ(タ) ここにゐるa→∃z(彼z&大野za) 3ソCP
1 カ ケ(チ)∀x{ここにゐるx→∃z(彼z&大野zx)} タUI
従って、
(04)(05)により、
(06)
① ∀x{ここにゐるx→∃y[私y&大野yx& ∀z(z≠y→~大野zx)]},∃z(彼z&~私z)├ ∀x{ここにゐるx→∃z(彼z&~大野zx)}
② ∀x{ここにゐるx→∃y[私y&大野yx&~∀z(z≠y→~大野zx)]},∃z(彼z&~私z)├ ∀x{ここにゐるx→∃z(彼z& 大野zx)}
に於いて、
① は、「妥当」であり、
② は、「妥当」ではないが、「不可能」ではない。
従って、
(06)により、
(07)
「日本語」で言ふと、
① すべてのxについて、xがここにゐるならば、あるyは私であって、xの大野であって、すべてのzについて、zがy(私)以外であるならば、zは大野ではない。然るに、あるzは彼であって、私ではない。従って、すべてのxについて、xがここにゐるならば、あるzは彼であって、zはxの大野ではない。
② すべてのxについて、xがここにゐるならば、あるyは私であって、xの大野であって、すべてのzについて、zがy(私)以外であるならば、zは大野ではない、といふわけではない。然るに、あるzは彼であって、私ではない(が、d=cである)。従って、すべてのxについて、xがここにゐるならば、あるzは彼であって、zはxの大野である。
に於いて、
① は、「妥当」であり、
② は、「妥当」ではないが、「不可能」ではない。
従って、
(07)により、
(08)
「普通の日本語」で言ふと、
① ここでは、私は大野であり、私以外に大野はゐない。 然るに、彼は私ではない。従って、ここでは、彼は大野ではない。
② ここでは、私は大野であり、私の他に大野はゐない。といふわけではない。然るに、彼は私ではない。従って、ここでは、彼も大野かも知れない。
といふ「推論(連式)」は、「妥当」である。
従って、
(08)により、
(09)
① 彼は私ではない。従って、彼は大野ではない。
といふ「推論」が、「妥当」であるためには、
① 私は大野であり、私以外は大野ではない。
といふ「命題」が、「本当」でなければ、ならない。
然るに、
(10)
① 私以外は大野ではない。
といふことは、
① 私でないならば大野ではない。
といふことである。
然るに、
(11)
① 私でないならば大野ではない。
の「対偶(Contradiction)」は、
① 大野ならば私である。
である。
然るに、
(12)
① 大野ならば私である。
といふことは、
① 大野は私である。
といふことである。
従って、
(09)~(12)により、
(13)
① 彼は私ではない。従って、彼は大野ではない。
といふ「推論」が、「妥当」であるためには、
① 私は大野であり、大野は私である。
といふ「命題」が、「本当」でなければ、ならない。
従って、
(01)~(13)により、
(14)
① ここでは、私は大野であり、大野は私である。⇔
① ここでは、私は大野であり、私以外に大野はゐない。⇔
① ∀x{ここにゐるx→∃y[私y&大野yx&∀z(z≠y→~大野zx)]}⇔
① すべてのxについて、xがここにゐるならば、あるyは私であって、xの大野であって、すべてのzについて、zがy(私)以外であるならば、zは大野ではない。
といふ「等式」が、成立する。
然るに、
(15)
(3) 未知と既知
この組み合わせは次のような場合に現われる。
私が大野です。
これは、「大野さんはどちらですか」というような問いに対する答えとして使われる。つまり文脈において、「大野」なる人物はすでに登場していて既知である。ところが、それが実際にどの人物なのか、その帰属する先が未知である。その未知の対象を「私」と表現して、それをガで承けた。それゆえこの形は、
大野は私です。
に置きかえてもほぼ同じ意味を表わすといえる(大野晋、日本語の文法を考える、1978年、34頁)。
従って、
(14)(15)により、
(16)
① ここでは、私が大野です。⇔
① ここでは、私は大野であり、大野は私である。⇔
① ここでは、私は大野であり、私以外に大野はゐない。⇔
① ∀x{ここにゐるx→∃y[私y&大野yx&∀z(z≠y→~大野zx)]}⇔
① すべてのxについて、xがここにゐるならば、あるyは私であって、xの大野であって、すべてのzについて、zがy(私)以外であるならば、zは大野ではない。
といふ「等式」が、成立する。
然るに、
(17)
「大野さんはどちらですか。」
といふ「質問」は、
「ここには、ある一人の人がゐて、その人の名前以外は大野ではない。」
といふ「前提」に、立ってゐる。
従って、
(18)
「既知・未知」といふ「問題」よりも以前に、
「ここには、ある一人の人がゐて、その人の名前以外は大野ではない。」
といふ「前提」が、無いのであれば、その場合は、固より、
Q:大野さんはどちらですか。
A:私が大野です(大野は私です)。
といふ「会話」は、成立しない。