(01)
任意の名前が、結論Cをうるために用いられた(代表的選言項以外の)仮定の中に現われてはならないということを理解するために、つぎの「証明」を考えてみよう。
1 (1) Fa A
2 (2) ∃xGx A
3(3) Ga A(代表的選言項)
1 3(4) Fa&Ga 13&I
1 3(5)∃x(Fx&Gx) 4EI
12 (6)∃x(Fx&Gx) 235EE
あるものがFとGをもつという結論が、ここでは2つの仮定、任意に選ばれた対象はFをもつと、あるものがGをもつ、からえられている。さて、
Fを偶数であること、Gを奇数であることとしよう。すると、偶数である数aを選ぶことはできるから、Faは真となる。また奇数は存在するから
∃xGxもまた真である。しかるに、任意の数が偶数であって奇数であるというのは偽である。(5)の行における結論は「a」を含む(1)に
依存しているので、EEの適用は不健全なのである。
(論理学初歩、E.J.レモン著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、147・148頁改)
然るに、
(02)
1 (1) Fa A
2 (2) ∃xGx A
3(3) Ga A(代表的選言項)
1 3(4) Fa&Ga 13&I
1 3(5)∃x(Fx&Gx) 4EI
12 (6)∃x(Fx&Gx) 235EE
に対して、
0 (0) ∃xFx A
を加へて、
0 (0) ∃xFx A
1 (1) Fa A(代表的選言項)
2 (2) ∃xGx A
3(3) Ga A(代表的選言項)
1 3(4) Fa&Ga 13&I
1 3(5)∃x(Fx&Gx) 4EI
12 (6)∃x(Fx&Gx) 235EE
0 2 (7)∃x(Fx&Gx) 016EE
とするならば、
1 (1) Fa A
3(3) Ga A(代表的選言項)
ではなく、
1 (1) Fa A(代表的選言項)
3(3) Ga A(代表的選言項)
であるため、「任意の名前aは、Cをうるために用いられた(代表的選言項以外の)仮定の中に現われてはいない。」
従って、
(01)(02)により、
(03)
「任意の名前aは、Cをうるために用いられた(代表的選言項以外の)仮定の中に現われていても、いなくとも」、
0 (0) ∃xFx A
1 (1) Fa A(代表的選言項)
2 (2) ∃xGx A
3(3) Ga A(代表的選言項)
1 3(4) Fa&Ga 13&I
1 3(5)∃x(Fx&Gx) 4EI
12 (6)∃x(Fx&Gx) 235EE
0 2 (7)∃x(Fx&Gx) 016EE
といふ「推論」、すなはち、
0 (0) ∃x偶数x A
1 (1) 偶数a A(代表的選言項)
2 (2) ∃x奇数x A
3(3) 奇数a A(代表的選言項)
1 3(4) 偶数a&奇数a 13&I
1 3(5)∃x(偶数x&奇数x) 4EI
12 (6)∃x(偶数x&奇数x) 235EE
0 2 (7)∃x(偶数x&奇数x) 016EE
0 2 (〃)ある数は、偶数であって、奇数である。016EE
といふ「推論」は「妥当」ではない。
然るに、
(04)
1 (1) 偶数a A(代表的選言項)
3(3) 奇数a A(代表的選言項)
とするからこそ、
① 偶数a&奇数a=「aは偶数であって、尚且つ。奇数である。」
といふ「矛盾」が生じるのであって、
1 (1) 偶数a A(代表的選言項)
3(3) 奇数b A(代表的選言項)
とするならば、
② 偶数a&奇数b=「aは偶数であって、bは奇数である。」
であるため、「矛盾」しない。
従って、
(04)により、
(05)
1 (1) 偶数a A(代表的選言項)
3(3) 奇数b A(代表的選言項)
とはせずに、
1 (1) 偶数a A(代表的選言項)
3(3) 奇数a A(代表的選言項)
とした「結果」として、
1 3(5)∃x(偶数x&奇数x) 4EI
といふ「矛盾した行」が、成立する。
従って、
(05)により、
(06)
1 3(5)∃x(偶数x&奇数x) 4EI
といふ「行」の、
1と3を見て、
1 (1) 偶数a A(代表的選言項)
3(3) 奇数a A(代表的選言項)
を「チェック」した際に、このやうに、「a」が「2つある」といふことが、「確認」出来れば、その時点で、
1 3(5)∃x(偶数x&奇数x) 4EI
は、「妥当」ではない。
といふことを、「知ること」が出来る。