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ジエチレングリコール

2007-06-17 23:22:33 | 時事問題
【以下は"F.D.A. Tracked Tainted Drugs, but Trail Went Cold in China - New York Times,June 17, 2007"を読みながらのメモである。】

ジエチレングリコール混入問題が世間を賑わせている。日本でも中国産の練り歯磨きが回収された。この問題は根が深いことを知った。

96年、ハイチでも同じ事件が起きたのだ。薬の甘味料として用いられたグリセリンが、実はジエチレングリコールであったために、少なくとも88人が死亡した事件が起きたのだ。

米国のFDAは、この問題を座視できず調査した。その結果分かったことは欧州の仲介者を通じて輸入された偽グリセリンは中国産であったことだ。

しかし輸出元のSinochem International Chemical Companyも中国の行政当局も、米国の調査依頼に腰が重かった。ようやく生産者が大連のThe Tianhong Fine Checmicalsだと分かったが、当初は電話番号だけで、住所は知らされなかった。電話をかけても話し中で、全然らちがあかない。97年末にFDAの担当者が、その会社に行ったところ、プラントは破壊されていて、全くなすすべがなかったという。FDAでこのざまなので、他の小国の機関はどうしようもない。

この後、輸入した薬品については原産者と製品内容を特定する必要性が専門家から助言された。さらにグリセリンをテストする安価な方法も発展した。しかしまた2006年、パナマで同じような事件が起きた。

今回は中国当局も問題を重大視して、中国の会社に「問題点」があったことを認めた。しかし最終的責任はグリセリンの純度をごまかしたパナマの会社にあるとした。しかしニューヨークタイムズは、そもそも中国の会社がごまかしをしていると手厳しく批判した。

ハイチ事件の際、FDAの担当者は、中国は化学薬品の大生産国になったのであるから、中国がこのような問題を取り扱う、そして外国と交渉する、透明で予見可能な制度を持たない限り、これから先ますますひどいことになるであろうと書いたというが、これは至言であると私は思った。

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