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1人別枠方式

2007-06-15 00:44:33 | 時事問題
選挙制度は、一般的に余り関心を引かないものであるが、極めて重要なものである。その中でもさらに地味な区割りの技術的問題が、6月14日付、大手新聞2社の社説に取り上げられていた。驚くべきことである。

その技術的問題は「1人別枠方式」である。これは衆議院の小選挙区の区割りに関係する。区割りは次のような手順で行われる。

(1)まず全都道府県に1議席ずつ無条件に配分する
(2)残る議席数を最新の国勢調査に基づく人口に応じて都道府県ごとに配分する

このうちの(1)が「1人別枠方式」である。すぐ分かることは、「1人別枠方式」は人口の少ない地方に配慮した方式であるということである(また人口の少ない地方が、現在の与党が強いところであることも容易に推測できる)。

もちろん小選挙区制の区割りは、一票の格差が「1対2以上にならないようにすることを基本とする」のだが、「1人別枠方式」があるためにこの原則を貫くことが困難になる。

ところで社説に取り上げられたのは、「「一票の格差」が最大1対2.17あった2005年9月の衆院選小選挙区の区割り規定について、最高裁大法廷は「憲法の平等原則に違反しない」とする判決を出した。」ことに係っている。

日本経済新聞はストレートに「小選挙区の1人別枠方式を廃止せよ」、「小選挙区制はそれまでの中選挙区制に比べ一票の格差を解消しやすい選挙制度で、その特長が小選挙区制を導入した理由の一つだったはずだ。国会は原点に立ち返って、1人別枠方式を廃止すべきだ。」と主張する。

朝日新聞「衆院定数判決―一票の格差は放置できぬ」も同じ趣旨であるが、過疎地への配慮を見せる。「私たちはこれまで社説で、1人別枠方式を改め、最初から人口に比例して都道府県に配分するように提案してきた。もちろん、過疎地へ政策で目配りすることが大切なのは言うまでもない。」

なかなか難しい問題ではあるが、「1人別枠方式」をなくして、一票の格差が「1対2以上にならないようにすることを基本とする」方がすっきりすることは言うまでもない。
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