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胡氏と趙氏

2006-04-20 00:05:39 | 時事問題
中国の指導者の訪米の(言葉は非常に悪いんですが)「手みやげ」として、米国が関心を持つ人権問題で中国の獄中にとどめられている人物が、何らかの理由で釈放されるということがよくありました。しかし胡錦涛主席訪米にもかかわらず、以前ここでも言及をしたことがある趙岩氏は、まだよくわからない状態におかれたままです。

趙氏の案件で何が問題になっているのかは、外部の人間にはかりません。釈放されなかったということは、中国の政治のあり方が変わったのか。(アメリカなどの圧力に屈することに対する抵抗が強いのでしょうか?)胡錦涛国家主席の影響力がそれほどのものではないのかという憶測を呼びます。それはともかく、中国に対して、「基本的人権に関して暗黒時代」であると、厳しく非難するニューヨークタイムズの社説の大意を訳してみました。

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ニューヨークタイムズ社説
胡氏と趙氏
2006年4月18日

胡錦涛国家主席が、今週最初の公式訪問でワシントンに到着するにあたり、中国が21世紀において、どんな世界的経済大国になるのか大いに騒がれている。それが誇張かどうかは議論の分かれるところだ。しかし一つだけ誇張ではないことがある。自由や正義という基本的人権に関しては、中国は暗黒時代にあるということだ。その証拠を探そうとするものは、趙岩氏の事例を見れば良い。

19ヶ月にわたり、中国は、ニューヨークタイムズの調査員趙氏を獄中にとどめている。大半の期間、中国当局は、起訴をすることさえなかった。2004年9月に彼をレストランから引っ張りだした後、彼を途端の苦しみの状態に置いただけである。ついに、昨年12月、趙氏は、タイムズに国家機密を漏らしたことで正式に起訴された。

外人に国家機密を提供したという告発は、党指導者が、静かにさせておきたいことが報道によって表面化した後に使う、どうとでもとれるものである。この場合、タイムズの記事は、中国の指導者、江沢民が最後の公的ポストから引退することを予言したのであった。当局はまた、タイムズにおける趙氏の仕事とは関連のない、2001年からの奇妙な詐欺の起訴を付け加えた。検察は、彼が中国の新聞に記事を書くと申し出て、お金をとったと主張をしたのだ。この主張は、趙氏の弁護士により否認され、証人も否定した。

ねじれは続いている。中国当局は、この事案の状態を明らかにすることを拒み、弁護側からの電話すら受けないと報道されていたが、趙氏に対する国家機密の起訴を、意外にもひと月前に撤回したのだ。そして趙氏が釈放されるかもしれないという憶測を促したのだ。

しかし釈放されなかった。タイムズのジム・ヤードリーは、中国当局は新たに取り調べを開始し、このことにより5月の初めまでに、彼に対する起訴が再びなされるかもしれないと報道している。

正義や適正手続きの見せかけさえここにはない。趙氏は、2004年4月にタイムズに加わる以前に、農村問題を取り扱うことで名が知られていた熟練したジャーナリストである。彼は、江沢民引退の話を同僚に伝えたことを否定している。そしてタイムズの編集者も、中国当局に対して、趙氏は、この記事の情報源ではないことを何度も断言している。

趙氏が引き続き獄中にとどめられていることは、中国が、自らを公正な社会と呼ぶまねごとをするにもほど遠いことを示している。
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獄中の中国人ジャーナリスト
獄中の中国人ジャーナリスト(簡単なコメント)
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