鹿児島のむかし話/鹿児島のむかし話研究会編/日本標準/1975年
一本の藁で幸せになる話。
どんな順番で?
一本の藁が、どんぶり一杯の味噌になり、味噌が小刀になり、味噌が船いっぱいの米になる。
この地方に、へんな病気がはやり、父親もなくなった男の子。父親との二人暮らしで、父親が残してくれたのは一本の藁だけ。
村から村へ旅して、農家によって、みそつきを見せてもらっていると、いいにおいがプンプンしていた。「みそをかめにいれて、ふたをくくるときには、わらがいりますね」と、藁をあげると、そのお礼に、どんぶり一杯の味噌をもらいました。
しばらく歩いていくと、鍛冶屋のおじいさんが、お茶を飲んでいて、味噌でもなめてくださいと、味噌をあげると、鍛冶屋のおじいさんは、お礼として、ぴかぴか光る小刀を、男の子にわたしました。
海岸を歩いていたら、人くいふかが、目玉をぎょろりとさせて、男の子を呑み込もうとします。男の子は、小刀をとりだし、人くいふかに きりつけ いさましく たたかいました。それを見ていた大和船の船主は、ふかをやっつけた小刀を、たからものにしたいと、船に積んでいる米と、小刀をかえました。
それからあと、男の子は「わらしべ童子」と、よばれ、みんなにかわいがられて暮らしたそうだ。
わらしべ長者の話は多いが、ここにでてくる童子は、いくつぐらいの年齢でしょうか。長者でなく、かわいがられて暮らすというのも ほっとする。