どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

世の中のお返しなんて似たようなもの・・ノルウエー

2023年06月30日 | 昔話(北欧)

      ノルウエーの昔話/アスビョルンセンとモー編 大塚勇三・訳/福音館書店/2003年

 

 一枚の大きな板石に身動きできなかった竜を、一本の木を梃子にして助けた一人の男。竜はすぐに男を呑み込もうとします。「恥も恩も知らないやりかただ」と男はいい、はじめにここをとおりかかるものに、さばき手になってもらおうと竜と決めます。

 いちばんはじめにやってきたのは、年とった犬。犬は、「長い間、主人に真心こめてつくしてきたのに、目も見えなく、耳も聞こえなくなったら、鉄砲で撃とうとする。わたしは逃げ出すしかなくなった。なんとか食べ物をもらって歩き回り、しまいにはうえ死するのさ。世の中のお返しなんて似たようなもの! つめたいもんだよ!」

 竜は、すぐに男を呑み込もうとしますが、男は、なんとか、ご機嫌どりし、このつぎにやってくるひとを、さばき手にしようと話をつけます。

 年とった馬がとぼとぼと とおりかかりました。馬は、「長い間、車をひっぱたり、荷をはこんできたのに、年とって、動けなくなると、ものを食わせる値打ちもない。それだから弾を一発、ぶちこんでやるというのさ。世の中のお返しなんて似たようなもの! つめたいもんだよ!」

 竜は、すぐに男を呑み込もうとしますが、男は、「良いものはみんな、三つ揃い」というだろう。あそこにやってくるキツネが、ほかのふたりと、おなじ裁きをつけたら、あんたは、その場で、私を食っていいいよ」と、話をつけます。

 キツネがやってくると、男は、「毎週、木曜日の晩ごとに、うちのニワトリとガチョウを自分のものにすればいいよ。」と持ち掛けます。

 キツネは、「あんたのように大きくて、がっしりた獣が、この板石の下にいたというのが、よくのみこめない。」と竜に話しかけ、竜がもとの穴に入るようにさそい、竜が穴にはいると、梃子にしていた木を引き抜いたので、板石は、ドーンと、また竜の上にかぶさりました。

男とキツネは、「助けてくれ!」と、叫ぶ竜をそのままにして、めいめいのうちに帰ってしまいました。

 キツネが、男と約束したように、最初の木曜日、ニワトリとガチョウを食べに食べて、そこに寝転がり、いびきをかいていると、そこのおかみさんやむすめたちが、棒をもってキツネをさんざん叩きのめしました。みんながキツネは死んだだろうと思い込んでいたとき、キツネは 床の穴をひとつみつけ、やっとのことで逃げ出しました。

 キツネも、「ああ、ああ、まったく、世の中のお返しなんて似たようなもの! まったく、そのとおりだよ!」

 

 三人目が決着をつけるところでおわることがおおいのですが、男を救ったキツネも、同じような目にあうという おまけつきです。


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