どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

しろいやさしい ぞうのはなし

2024年03月21日 | 絵本(日本)

   しろいやさしい ぞうのはなし/かこさとし/復刊ドットコム/2016年(初出1985年)

 
 1985年紙芝居「ぞうのむらのそんちょうさん」と絵本をもとに復刊された絵本。インドの実話といいます。

 やさしくておとなしい、しろいぞう。しろいぞうは、弱虫で 負けるとべそをかきました。かくれんぼや 棒倒しで転んだり、したになると すぐに泣きました。
 そんなしろいぞうが、ある日、へんなにおいがする、きっと火事だと、森のみんなに危険を知らせます。まもなく、あたりに煙が流れてきて、パチパチ 音を立てて 火事が広がってきました。森のみんなが逃げる中、走るのが遅く逃げ遅れたしろいぞう。まわりは 燃える火と ゆらめく炎で、真っ赤になりました。お母さんぞうは、水を吸い込み、しろいぞうのまわりに鼻で水をまきますが、三度目に 水を汲みに行ってかえったとき、さすがの お母さんぞうの足も、すっかり やけどをして歩けなくなりました。

 お母さんぞうは、ものすごいいきおいで、しろいぞうのまわりをほって、穴を作ると しろいぞうをいれ、おかあさんぞうは そのしろいぞうのうえへ 自分のからだを かぶせるようにのせました。

 やがて火事が消え、助かったぞうたちが見つけたのは、くろくやけたお母さんぞうでした。お母さんぞうも しろいぞうも 死んでしまったとおもって みんなは泣きましたが・・・。

 

 しろいぞうは助かり、鋭い嗅覚で、ぞうがりや、ひでりのときに水や食べ物を探した しろいぞうは、やがて ぞうのむらの村長に選ばれます。

 しろいぞうをたすけるお母さんの愛に、ジーンときます。


 子どもたちに語りかける村長の言葉がすべてを物語っています。
 「ぞうには、はなのほそいのや、ふとったのや、よわいものや、しわしわ 年とった者もいる。いろんなのがいるのが、ぞうなんだよ。このしろいこは、力が弱くて、走るのがおそくても、りっぱなぞうのこどもだし、なかまなんだよ」

 ぞうを そのまま人間におきかえることができます。多様性を認め、個性を尊重することの大切さが 伝わってきました。


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