どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

地主の頭は何斤か?・・中国、ふたりの兄弟の話・・フランス、ほか

2021年03月29日 | 昔話(外国)

 「先に怒ったほうが負け」という話で、兄弟が出てきて、やりこめられた兄を弟がカバーする話。


地主の頭は何斤か?(子どもに語る中国の昔話/こぐま社/2009年)

 一年間働けば他より賃金を多く払うという地主のところに兄が出かけていきますが、地主からだされた3つの問題ができず、一文ももらえずにかえってきます。

 次に弟がでかけ地主をやりこめ、兄の分の賃金も持ち帰ります。


ふたりの兄弟の話(世界むかし話 フランス・スイス/八木田宣子・訳/ほるぷ出版/1988年)

 兄が年三百フランという、そのころにしてはいい金額で農場に働きにいきますが、主人がいう条件は、さきにはらをたてた者は、背中のひふをひときれ、はぎとられる というもの。

 兄は野原でハリエニシダを刈りにいきますが、仕事を一休みしようとすると犬が噛みつきます。怒った兄がこんなところで働けないとはらをたてると、主人は、兄の背中からひふをひと切れはぎとってしまいます。

 次に弟が出かけて行って、あの手、この手。

 犬も一緒にでかけていきますが、犬の頭を切りおとしてしまいます。

 怒ることができない主人が馬、めす馬を野原に連れていって、草を食べさせ、つゆを地面におとしてもいけないと言われた弟は、斧で頭を切りおとしてしまいます。

 それでも怒るわけにいかない主人から、ブタを市につれていくようにいわれた弟が、今度はブタを商人に売り、打ったブタのしっぽを全部泥にさします。
 あとからやってきた主人が、怒りで顔を赤くすると・・・・。

 「先に怒ったほうが負け」というタイプには、やはりブタがでてくる話もあります。

 フランス版は頭を切りおとすなどインパクトが強すぎますが、中国版では、地主から地主の頭の重さはどのくらいときかれて、弟は、頭を切りおとしてみましょうと切り返します。

・りこうなハンス(オーストリアの昔ばなし/飯豊道男:編訳 小野かおる・絵/小峰書店/1983

年)

 たくさんお金をもちかえったほうを跡取りにすると父親からいわれ、兄のヨックルが、かなりの額の銀貨をもって勤め口をさがすにでかけます。

 この銀貨に目をつけた司祭が、自分のところで働くようにいいます。ただ、はらをたてたら、ヨックルが持っている銀貨をそっくりよこすように条件を出します。

 司祭は、二匹の犬を連れて大麦をまくようにいいます。そして、犬がうちに帰るいい時間を知ってて、教えてくれるので、一緒に帰るようにいいます。

 大麦をまきおえても、犬は寝そべっているだけ。夕方になってやっと二匹の犬と帰ります。ヨックルが腹を立てていないので、司祭は、畑にまこうと思っていたのは大麦じゃなくて、カブなんだ、大麦の種を拾い集めてくれるよういいます。ヨックルが種をやっと拾い集めてくると、土や石ころが混じっているので、仕事をよくやったとはいえないと司祭が文句をいうと、ヨックルはかんかんになって怒ってしまいます。

 次にハンスルも銀貨の包みをもってでかけ、司祭のところで働くことになりました。ハンスルも大麦をまくようにいわれますが、ハンスルは大麦の袋を穴のなかにほうりこみ、犬のそばの草むらにひっくり返ります。次の日は、兄と同じように、大麦ではなくカブをまきたかったので種を拾い集めるようにいわれでかけますが、この日も大麦の袋をほうりだして、昼近くに家に帰ります。袋をのぞいた司祭が、砂と土だらけで、まともな仕事といえないと 文句をいうと、ハンスルは「畑がすごいやせちなんだから。もっとこやしをやっておけばよかったのに」と、答えます。

 ハンスルは、豚の番をすると子豚を一頭のこし、のこりの豚は商人に売ってしまい、雌牛の番をしたときも、一頭だけのこし、商人に売ってしまいます。豚は湿地にもぐって地獄に、雌牛は天国にいってしまったと聞いた司祭は、まだ腹を立てませんでした。

 肉のスープをつくり、薬味にパセリとセロリを入れるようにいわれたハンスルは、犬も釜にほうりこんでしまいます。司祭は、犬もスープのなかときくと、さすがにどなります。

 ハンスルは、約束の金をもらい、ヨックルの包みも持ち帰り屋敷を継ぎました。

 

 欲張りなのが司祭というのがみそでしょうか。

 

主人とめし使い(アルメニア 世界のメルヘン図書館5 火の馬/小澤俊夫:編訳/ぎょうせい/1981年)

 兄が、さきにおこった方が千ルーブルをだすか、金がなければ十年間給料なしで働くという条件で働きはじめます。

 金持ちの主人は、兄をただ働きさせようと、昼夜かまわず牧草の草刈りを命じます。怒った兄は、千ルーブルの借用書をかいて、家に逃げ帰ります。

 次に出かけた弟は、さきにおこったほうが二千ルーブル払う約束をしますが、主人をおこらせるため、時間になっても弟は牧草地にでかけません。弟が出かける用意ができないうちにお昼。まずは食事です。
 食事がすむと、今度は昼寝。

 怒るわけにはいかない主人は、ヒツジを一頭ころしてくるように命じます。弟がヒツジを一匹のこらずころしても、怒れません。

 これ以上、弟をおいておくわけにはいかないと、主人は家に帰そうと決心します。

 主人は春になってカッコウが鳴くまで働くという約束を思い出させようと、二人が森に出かけたときに、おかみさんにカッコウの鳴き声をさせます。

 しかし、弟は「冬にカッコウが鳴くはずがない」と、おかみさんが登っている木の上に、鉄砲でねらいをつけます。

 弟は、さすがに大慌てで怒り出した主人から、二千ルーブルをもらって、兄の千ルーブルの借金をかえします。

 ところでアルメニア共和国は1991年にソビエト連邦から独立しています。


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