どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

三人の兄弟

2020年05月04日 | 昔話あれこれ

 三人の兄弟がでてくると、ほとんどが、末の子が主人公で、長男、次男が失敗しても末の子が成功するのが昔話です。

 そのあとは、末の子と上の二人の確執などが続きますが、ひっかかるのが上の二人が弟を殺そうとすること。兄弟がなぜ協力し合えないかと疑問がでますが、昔話では、単に事実関係を提示するだけで、道徳的な観点がふくまれていないと理解するしかありません。

 ところで、ときどき末の子の訳にひっかかるものがでてきます。

 「どろぼうの名人」(イギリスとアイルランドの昔話/石井桃子:訳・編/福音館文庫)では、末の子は、”家にいても役に立つことはあまりしたことがありません”という存在。ただジャックという名前があるので、ジャックという主語で物語が展開していきます。

 いっぽう、「金のガチョウ」(グリムの昔話/大塚勇三/福音館文庫)では、<ぬけさく>と呼ばれて、馬鹿にされ、からかわれ、粗末に扱われている存在。そしてはじめからおわりまで<ぬけさく>と訳されています。ところが同じ「金のガチョウ」(グリム童話集 下/岩波少年文庫)の佐々木田鶴子訳では、はじめに<とんま>とよばれていたとありますが、それ以降は<末息子>と訳されています。

 一つの例示ですが、語るとなると、<ぬけさく>を続けていくに抵抗があります。ほかにもこのような例があり どう表現するか悩みどころです。


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