リジーと雲/テリー・ファン&エリック・ファン・作 増子久美・訳/化学同人/2023年
リジーが雲を育てたいと思ったのは、どうしてだろうと想像しましたが結論はでませんでした。花や植物を育てるのではなく雲です。
雲売り場には、オウムやウサギ、サカナやゾウの雲もありましたが、リジーが選んだのは、よくみかける普通の雲。
リジーは、雲にミロと名前をつけました。それが雲のお世話の一番目の仕事?でした。それからは毎日の水やり。ただあげすぎには注意です。いきなり雨を降らすこともあったり、急に気分が変わることもあるのです。
ミロに水やりをしていると、おかえしに花や植物に 水をかけてくれました。風船のようなミロを散歩にもつれていきます。
ミロがだんだん大きくなったある夜、ミロは、部屋の中に 大雨をふらせてしまいます。
「雲のお世話の仕方」には、「ぜったい せまいところに とじこめないでください」とあったのです。リジーは、ミロを 空に浮かべてあげるときがきたことに、気がつきます。そしてリジーは、ミロを空にはなしてあげます。
それから 空に雲がうかんでいるのをみると、リジーは、ミロのことを 思うのです。
子どもはいつか親のもとを離れていきます。そんなことを思いました。それにしても雲を育てるなどという作家の想像力には いつもながら感心します。
晴れた日に雲はみられませんから、灰色っぽい基調の絵にも納得です。