観察 Observation

研究室メンバーによる自然についてのエッセー

調査に同行して

2014-07-23 16:20:24 | 14
3年 野々村遥

 野生動物研究室に入室してから初めて野外調査に同行したのは乙女高原でした。5月の上旬で、私の住んでいる所ではもう春は終わりかけていましたが、乙女高原ではまだ早春という感じでした。高槻先生の運転する車で、乙女高原まで行きました。車で高原まで上がるときに、先生は去年来た時よりも下層植生がシカに食べられていると説明してくれました。説明の中で印象に残っているのがハシリドコロという植物で、茎が太く、下を向いた変わった花をつけている植物で、先生によると、有毒でシカが食べないためにふつうの場所よりも多く、影響の強い場所ではこういう植物しか生育していないということでした。


ハシリドコロ(中央の緑)とシカに樹皮をはがれたウラジロモミ


ハシリドコロの花

 乙女高原はその日、新しいシーズンのための遊歩道づくりとスミレの観察会がありました。私たちが乙女高原に到着したときには、遊歩道づくりの作業がほぼ終わっていました。スミレの観察会では、ミヤマスミレ、タチスボスミレ、シコクスミレなどのスミレを見ることが出来ました。どの花もとてもかわいかったです。


ミヤマスミレ


アケボノスミレ


シコクスミレ

 乙女高原の帰りに琴川ダムによりました。ダムの上からみる山は私にとっては、豊かに見えましたが、実はそこは針葉樹が植林されていた人工林の山でした。人工林として植えられる木は比較的成長が早く、建築用途に適した、スギ、ヒノキ、カラマツなどだそうです。私は今までこういう林床が暗い人工林を見ても、豊かな森だと感じていました。でも、同じ林でも、落葉樹林は明るいので下にいろいろな低木や草本が生えており、その結果、動物も豊富なのだそうです。
 私は自分は自然が好きだと思っていたつもりですが、林に違いがあることや、その意味を知りませんでした。ダムでの話は私にとって印象深いものになりました。
 そういう体験もあって、帰ってから、自分がこの研究室に所属してこれから何を学び、どのように自然と関わることが出来るのだろうかとあれこれ考えました。そしてもっと知って、考えなければならないと感じました。乙女高原の調査に参加して、知らないと見えない、知るということが、自分の見える世界を拡げ、自分を変えるのだと思いました。


富士山をバックに記念撮影:高槻先生、大竹さん、私、富永君

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