観察 Observation

研究室メンバーによる自然についてのエッセー

タヌキが戻ってきたということ

2014-11-08 20:26:05 | 14
4年 椙田理穂

 今月、同期の友達が自主ゼミで「仙台で3年前の津波の被害で失われた海岸に動植物が戻りつつあり、タヌキも戻って来たので糞分析をする機会を得た」という話題を紹介してくれました。仙台の海岸はあの東日本大震災で大津波に襲われたのですから、タヌキは完全にいなくなったはずです。そのタヌキが戻ってきたということは、タヌキが暮らせる環境が戻ってきたということです。タヌキの糞からはテリハノイバラという低木の果実の種子がたくさんでてきたそうです。また、冬にどこから見つけたのか米を食べていたそうです。ともかく、たくましく生きていることがうかがえたということでした。私はその発表を聞いたとき
「たった3年で戻りつつあるのか!」と驚きでいっぱいでした。
 動植物たちは人に助けられた訳でもなく、自らの力のみで生きているー今まで何度も厳しい環境の変化を生き抜いて今があることを考えれば、もしかしたら津波被害も「想定内」なのかもしれません。何もなかったところにまず植物が生え、そこに昆虫などが表れ、その昆虫を食べるために鳥や小動物が来る、こうして徐々に自然が戻っていくのでしょう。私には3年というのは短いと感じられました。何もないところから命をとりもどし、繋いでゆくその生命力は、本当に凄いと思いました。
 このことが印象に残っているところに、御嶽山の噴火や、大型台風など自然災害に関する報道が多くありました。これはこれで自然の偉大な力です。小さな生き物の生命力と、地殻変動や大気の動きなどの大きな自然の力、今月はそうした力に印象づけられる月になりました。

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