観察 Observation

研究室メンバーによる自然についてのエッセー

種子散布研究との出会いと、これから

2014-03-09 17:42:08 | 13.1
4年 鈴木里菜

私はタヌキが種子にとって良い散布者であるのか?というテーマで研究を行いました。もともと私は異なる環境に生息するタヌキが何を食べているのかを調べていて、種子散布にはとくに興味はありませんでした。でも同級生と先輩が自主ゼミで種子散布について勉強していると聞いて、2人がどんな勉強をしているのか気になり、参加させてもらうことにしました。参加してみて、自分が植物側の目線からタヌキのことを考えたことがなかったことに気づきました。そして果実を食物として利用するタヌキ目線、タヌキやその他果実を利用する動物を種子運搬者として利用する植物目線両方のことを考えないといけないなぁと思いなおしました。
 果実の色・形・大きさは、食べられたい動物に合わせていると知ってから、道を歩いているときもきょろきょろ果実を探して、見つけたときは散布者を想像して楽しんだりするようになりました。そして、その時自分が分析していたタヌキの糞にどの種類の種子がどれだけ含まれているのかということも気になり始め、食性分析と並行して種子の取り出し、同定も始めました。
 タヌキの糞から種子を取り出していくうちに、「この種子は発芽できるのだろうか?」と思うようになりました。そこでいくつか条件を変えて種子をまいてみました。それから、条件によって発芽率が違うから、タヌキがどこに種子を散布しているのかを調べていく必要があると思うようになりました。そこでタヌキの溜め糞がどのような環境に作られているのかを調べました。しかし、結果はタヌキは平坦な環境に溜め糞を作っているということはわかりましたが、それが種子にとってよいかどうかは分かりませんでした。こういう結果になったのは、種子を種ごとに区別しなかったためかもしれません。対象の植物を決めて、その植物にとってよい環境であるのかを調べていく必要があります。その意味では植物目線が弱かったと思います。今後は植物目線をしっかり入れて調べていきたいと思っています。
 私は大学院に進学することになったので、少なくてもあと2年は種子散布の研究ができます。卒業研究をして、ひとつ新しいことを知ると、それ以上の新しい疑問が生まれると思いました。タヌキの種子散布というテーマでもいくつも知りたいことがあります。きっと一生調べ続けてもすべての疑問はなくならないでしょう。ですが、その疑問を少しでもいいから明らかにしていきたいと思います。

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