観察 Observation

研究室メンバーによる自然についてのエッセー

白の世界

2013-02-02 11:04:55 | 13.1
3年 千葉琴美

 一面がきらきらと輝いていて、真っ白だ。
 私は去年の12月26日に初雪を見た。一足先に雪が積もっていたその場所は、長野県にある浅間山である。前回足を踏み入れたときは、草木が繁茂していて緑も花の色もあり、色とりどりであったのだが、今回は白色で地面が埋め尽くされ、そこから茶色の木や枝が伸びているだけである。草木の揺れる音は聞こえない。あたり一面を埋めた白色の雪はきらきらと揺れている。触れることがもったいないくらいにきれいに整っていたが、思わず触れ、手にとってみた。すると融けずに手の上に残っていた。そして傾けるとさらさらと落ちていく。今度は雪玉を作ろうと、雪を取り、「ぎゅっ」と手を握り広げてみると…驚いた!さらさらすぎて固まらずに元に戻ってしまうのだ。自分が知っている握れば固まる雪とは全く違う雪だ。気温が低いのだなと改めて感じた。
 雪といえば雪だるまや雪合戦、かまくらなどを思いつくが、このような雪の状態では北海道などの寒くて雪が多く降る場所での雪合戦やかまくら作りは、雪が固まらないのでできないのではないかとふと思った。
 山を歩き景色を眺めると、標高の低いほうで雪雲がうっすらとかぶっていた。よく目を凝らしてみると、その雪雲の真下にある杉の群落の木に雪がかぶっていた。標高が高いところから眺めると、その境界線がはっきり見えた。
 歩いている途中で、「ばさ、がさがさ」と音が聞こえたので見渡したがなにも見当たらない。また少し歩くと再び同じような音が聞こえた。注意深く耳を澄まし音の方向へ目を凝らしてみると、鳥がいた。なんの鳥であるかは分からないが、どうやらずっと自分の周辺にいたようだ。なぜだろう。
 うっすらと積もった雪を木の棒で掻き分けながら歩くと、雪の下に笹が隠れていた。また、シカやカモシカの糞が雪の間に隠れていた。まだ新しいものだ。
 幻想的であり静寂な雪景色の中、見えないどこかでひっそりといきものたちは暖かい春を待っている。

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