るいが音楽を聞いている。
レコードは買えたけれど
レコードプレーヤーまでは手が出なかった。
だから
ジャズ喫茶に行き
持ち込んだモノをかけてもらって
るいが音楽を聞いている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その1912年から 100年ほど進んでそして さんよんじゅう年ほど戻って
すとんと降り立った掲示板の前。ダウントンのお屋敷の中ではなく、今度は年若き私の話である。
掲示板の張り紙には
「…実習時には、各自タイプライターを用意するように。
なお 購入希望者には 斡旋販売が○月○日○時~予定。…」、こんなふうに通知されていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その実習室の先を曲がると
一番奥に食堂があって
その隅には ステレオが置いてあった。
クラスの半分ぐらいは下宿組だったか、
レコードはあるけれど プレーヤーがない
下宿の大家さんに気兼ねなく 好きな曲を好きなボリュームで聞きたい
そんな風な思いで
食堂ステレオには
自分のレコードを持ち寄った何人かの何曲かが ぽつぽつと流れていた。
授業の終わった夕暮れ時。
何度も流れていたのは オフコース だった。
On the Sunny Side of the Street
るいが音楽を聞いている。