今日から9月。昨日はよく晴れたが、今日はもう日が射したり射さなかったりと、気紛れな一日で終わるようだ。時折広がる青い空は深く、高く、森の中であれ草原であれ、秋の静けさをいつになく終日意識した。
そういえば、たくさんのトンボを目にしたし、こうしていても聞こえてくるのは鳥の声に代わって虫の声だけだ。所によっては、落葉松の葉も少し黄色く色付き始め、日が翳るにつれて、そんな風景に秋の夕暮れのもの淋しさが忍び寄ってきたようで、それも懐かしい。
今、外から戻ってきたら、1羽の蝶が近くの草の上で死んでいた。夏の終わりを象徴するような光景だと思った。「八月の石にすがりて」という、よく知られたあの人の詩の一節も浮かんできた。
八月の石にすがりて
さち多き蝶ぞ、いま息たゆる。
わが運命(さだめ)を知りしのち、
たれかよくこの烈しき
夏の陽光のなかに生きむ。
― 以下略 -
この詩は、激しい夏の暑さの中で詠われたようだが、思いがけずも夏の炎熱が遠い記憶となりかけた今、この1羽の蝶の死は鮮烈だった。
ムー。夕暮れが迫るにつれて空は晴れ上がるばかりだ。豪奢な秋の夜空を眺めて帰れと、星が言ってるようで、迷っている。
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