静かな黄昏の国

2007年05月02日 | その他
こういう意味不明な絵を描くのは久しぶり。下書きシャープペン、清書ボールペン。


  「静かな黄昏の国」  篠田節子 著
                  (角川文庫)


いかなる立場の人間にも逃げ場(=安心感)を与えない、鋭い切れ味に定評のある篠田節子の短編集。
当然この作品集でも、剃刀のような切れ味は健在。


マーメード・リマキナと呼ばれる、芥子粒ほどだが伝説の人魚そっくりの軟体動物が、ネットの掲示板を通じてひっそりと売りにだされる。
その男性にあらぬ妄想を抱かせる生物は、ある種苗メーカーが目を付け体長数センチの大きさにまで改良したことにより、ほどなくメジャーなペットとなっていた。
当初の芥子粒人魚が寿命を全うしたことにより、大型の人魚を入手した青年。
彼は水から引き上げた人魚の動きに欲望をかきたてられ、人魚を口にしてしまう。それは意外にも美味だった。
その夜、彼はネットのペットサイトにその体験を書き込む。
それを目にした何人かが実際に試したことから……。 
              (リトル・マーメード)




幻想的でありながら、同時に現代を鋭利に切り取りなんともやるせない結末に持っていく力量は見事。
ゲーム・アニメ・ドラマの純愛や泣ける話、啓発本などに答えを用意してもらうことに慣れている方々は、「なんなんだ、この気持ちの悪い物語は」と感じるかもしれない。
むしろそういった方にこそ読んでいただきたい作家。


「私たち、生まれたときから何かに騙されて生きてきたような気がするから。この先、死ぬときまで騙されるのはたくさん。美しい自然も、快適な住居もみんな嘘。でも苦痛だけは真実よ。薬を抜いてみてやっとわかったわ。痛みだけは真実だって。私の命は痛みを感じてるときだけ、私の物になるのよ」 (表題作より引用)

現代日本に生きる人間なら、多かれ少なかれこの言葉に思うことがあるのでは。



ゲーム・アニメ系のクリエイターには「ホワイトクリスマス」がおすすめ。自分たちの「作品」に対する客観的なイメージが得られます。
だがオタク系には関係ない人種にも、苦い後味を残すのがこの作家のすごいところ。

サボ好きとしてはやはり、「刺」が一押し。
サボテンは意志を持ち、愛情に応えるという俗説をサイコホラーに料理した作品。
ただ、一番通俗的な作品でもある。ラストは蛇足か。


余談。「子羊」のストーリーと設定を完全にパクってたゲームが昔あった。影響力皆無の世界とはいえ……。

サボ生えちゃいました

2007年05月02日 | サボテン

ちょっと前に蒔いたサボの種、ぽつぽつと発芽してきた。
いやー、夜はヒーターの前に置いたりして保温してきたかいがあった。
それにしても、やっぱりマミは全然発芽してこない。
発芽条件が他のサボと違ってるんだろうか?

よーく見ると赤ちゃんサボには双葉がある。
そう、サボは双子葉植物。




早植えしすぎて秋のうちに葉が枯れてきていたニンニク。
ちんまい……。




2回ほど間引いたカモミール
左端のほうにちょっこと見えるのがレモンバーム。
レモンバームにはまだ寒すぎるみたい。

あ、二十日大根撮るの忘れてた。