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マトリカリア

2011年12月09日 | その他植物









2010年&2011年6月下旬写真。

 マトリカリア。
別名・ナツシロギク(夏白菊)、フィーバーフュー
英名・Feverfew、Matricaria


西アジアからバルカン半島原産のキク科の耐寒性多年草。
日本には明治時代に渡来した。
初夏に小菊のような花を咲かせる園芸植物として栽培され、八重咲きやポンポン咲きなど園芸品種も多い。
またヨーロッパでは古くから解熱や消炎の効能のあるハーブとしても利用され、英名は「Feverfew」。
実際には偽薬効果以上の効能は確認されていないとのこと

草丈は品種により30~100センチほど、互生する葉は羽状に深裂する。
草姿は普通の菊とほぼ同様。
初夏に黄や白の小花を枝先に多数咲かせる。

本来は多年草だが、高温多湿を嫌い夏に枯れてしまうことが多いので、園芸上は秋蒔き一年草として扱われる。

「マトリカリア」は旧属名で、今でもこの名前で流通することが多い。
和名の「夏白菊」は夏に菊のような白花を咲かせることから。




 キク科 ヨモギギク属(=クリサンセマム属=マトリカリア属)
属名のTanacetumは、ギリシア語のathanasia(不死)に由来するというのが一説。
この属の植物を遺体の防腐や臭い消しに用いたことから、ギリシア神話の死の神Thanatosが由来とも。
花言葉は「深い愛」



鬼菅

2011年12月08日 | その他植物







2009年&2011年7~8月写真。

 オニスゲ(鬼菅)。
別名・ミクリスゲ(実栗菅)


日当たりのいい湿地に自生する、カヤツリグサ科の多年草。
草丈はだいたい50センチ以下で、脈の目立つ細長い根出葉を伸ばす。
匍匐枝を伸ばして群生となる。

見た目はなんの変哲もない草だが、5~8月ごろに咲く花がトゲトゲしていてユニーク。
これは果胞(かほう)と呼ばれる、雌花を覆う鞘で、トゲの先端から出ている糸状のものが雌しべ。
雄花は果胞の上に伸びた先端の穂。
果胞の中には空洞があり、熟すと水に浮いて種を運ぶ。

この果胞がミクリの実に似ていることから、「ミクリスゲ」とも呼ばれる。
「鬼菅」は、スゲ類の中で実が大きく、トゲトゲして荒々しいことから。


 カヤツリグサ科 スゲ属
属名のCarexは、カヤツリグサ科ヒトモトススキ属のCladium mariscusのラテン古名から、というのが一説。



ペンタス

2011年12月07日 | その他植物





8月中旬写真。

 ペンタス。
別名・クササンタンカ(草山丹花)
英名・Egyptian Star Cluster、Star Flower


熱帯アフリカからアラビア半島、マダガスカル原産のアカネ科の常緑多年草~低木。
日本には1912年に渡来した。

気温さえあればいたって強健で暑さにも強く、花壇の植え込みなどに利用される。
非耐寒性とはいえ5度程度で越冬するようだが、苗が安く出回るため園芸上は一年草扱いされる。
繁殖は挿し木、種も販売される。

草丈は50センチほど、光沢のある葉が対生し、植物全体に微毛が生える。
初夏から秋まで、枝先の散房花序に赤・ピンク・白などの5弁花を咲かせる。
温度が確保できれば周年開花する植物。

和名の「草山丹花」は、同じアカネ科のサンタンカ(山丹花)に似て草本であることから。


 アカネ科 ペンタス属
属名のPentasは、ギリシア語のpente(5)が由来で、星型の5弁花を咲かせることから。
花言葉は「あざやかな行動」



リシマキア・ヌンムラリア

2011年12月04日 | その他植物





2010年6月下旬写真。

 リシマキア・ヌンムラリア。
別名・ヨウシュコナスビ(洋種小茄子)、コバンコナスビ(小判小茄子)
英名・Creeping Jenny、Moneywort


ヨーロッパ原産のサクラソウ科の耐寒性半常緑多年草。
沼沢地の植物のため湿り気味を好むが適応力に優れ、耐寒性も高く強健。
地面を覆うように育ち、日当たりから~半日陰のグラウンドカバーとして利用される。
葉が黄緑色の品種’オーレア’がよく栽培される。

匍匐性でよく分枝して広がり、ハート型の葉が対生。
初夏に葉腋から黄色い5弁花を咲かせる。
花の形状はプンクタータ種に似る。


 サクラソウ科 リシマキア(オカトラノオ)属
属名のLysimachiaは、この属の植物の枝を振ることで猛獣を鎮めたとされるマケドニアの王、Lysimachusの名より。
種小名のnummulariaは「硬貨形の」。



青柳草

2011年12月01日 | その他植物



8月中旬写真。

 アオヤギソウ(青柳草)。


本州中部以北から北海道の、山地の林内や湿り気味の草地に自生する、ユリ科の多年草。
草丈は50~100センチほど、茎には白毛が密生し、皺状に平行脈が走る大きな葉が互生する。

6~8月ごろ、複総状花序に黄緑色の花を咲かせる。
この属は同じ花序に雄花と両性花が混在する。
近縁に濃赤褐色の花を咲かせる、シュロソウ(棕櫚草)がある。
他にも変種関係にある仲間が日本には複数自生するが、その区分は曖昧なようである。
いずれも根茎は有毒。

「青柳草」の名は葉の形状からということのようだが、どう頑張っても柳には見えない。
襲(かさね)の色目の「青柳」で、花色からか。


 ユリ科 シュロソウ属
属名のVeratrumは、ラテン語のverator(予言者)が由来で、北欧には「クシャミのあとにいうことは真実」という言い伝えがあり、この植物の根にクシャミをおこさせる効能があるからという。



ブラキカム

2011年11月29日 | その他植物
2011.8。


2011.8。


2011.8。


2008.10。


2009.10。


2009.10。

 ブラキカム。
別名・ヒメコスモス
英名・Swan River Daisy(Brachyscome iberidifolia)


オーストラリア・ニュージーランド原産のキク科ブラキカム属の植物の総称。
園芸的に栽培されるものには一年草タイプと多年草タイプとがあり、ともに夏の高温多湿を嫌う。
よく分枝してこんもりとした草姿になり、可憐な小花を多数咲かせるころから、ハンギングバスケットなど寄せ植えの素材としてよく用いられる。

草丈は15~30センチほど、頼りない茎だが分枝して這うように広がり、葉は基本的に互生。
葉の形状は品種により様々で、細かく裂けるタイプはコスモスに似ていることから、「ヒメコスモス」とも呼ばれる。

春から秋まで(品種による)、直径2センチほどの頭花を茎先に咲かせる。
色は青・紫・ピンク・白など。

Brachyscome iberidifoliaの英名「Swan River Daisy」は、オーストラリアのスワンリバー周辺に産することから。


 キク科 ブラキカム属
属名のBrachyscome(=Brachycome)は、ギリシア語のbrachys(短い)とkome(毛束、髪)が由来で、実の冠毛が短いことから。
綴りの違いに興味のある方は、Wikiの記述を参照のこと。



大葉川弓

2011年11月22日 | その他植物









2008年&2009年9月写真。

 オオバセンキュウ(大葉川弓)。


本州中部以北から北海道の、山地でのやや湿った場所に自生するセリ科の多年草。

草丈は60~150センチほど、茎は節ごとにジグザグに曲がり、互生する葉は1~2回3出複葉(2回羽状複葉?)で葉柄の基部は鞘状になる。
類似種のシラネセンキュウは小葉の鋸歯の切れ込みが深く、葉の印象が大きく異なる。

7~9月ごろ、大きな複散形花序に白い小花を多数咲かせる。

セリ科の多分に漏れず同定が厄介で、おもな特徴を列挙すると、
・茎が節毎に「S」を描くように曲がり、葉柄も節から下方に弓反る傾向がある。
・花びらは山折りによじれ気味になる。
・雄しべは花弁より長い。
・花の直下の花柄分岐点に、糸状の小総苞片がある。
(追記・茎や雄しべの項はセリ科としては一般的な特徴か)

「大葉川弓」の名は、生薬として栽培される中国原産のセリ科植物「センキュウ(川芎)」に似て葉が大きいことからか。
茎葉が弓なりに反り川沿いに生えることからのようにも思える。


 セリ科 シシウド属
属名のAngelicaは、ラテン語のangelus(天使)が由来で、この属には強心剤としての効能を持つものがあり、死者をも蘇らせるということから。



田村草

2011年11月21日 | その他植物







2009年9月中旬写真。

 タムラソウ(田村草)。


本州・四国・九州の山地の草地や林道沿いなどに自生する、キク科の多年草。
どう見てもアザミ類の花だが、タムラソウ属という別のグループ。
葉を見るとなるほど刺がなく、アザミとは別の植物と納得する。

草丈は30~150センチほど、羽状に深く裂ける葉が互生する。
葉は変異が大きいようで、写真のものより鋸歯がはっきりしているのが一般的である模様。
8~10月ごろ、茎の先にアザミにしか見えない紅紫色の頭花を咲かせる。(白花品種もあり)
総苞はつるりとした印象で、総苞片の先は黒く尖る。

「田村草」という名の由来は不明。
花の様子から「玉群草」あるいは「多紫草」からの転訛との説もあり。
「夏の田村草(ナツノタムラソウ)」「秋の田村草(アキノタムラソウ)」など季節を冠するのはシソ科の別種で、やはり「田村草」の由来は不明であるらしい。


 キク科 タムラソウ属
属名のSerratulaは、ラテン語のserratus(鋸歯のある)が由来。



金盞花

2011年11月20日 | その他植物



11月中旬写真。

 キンセンカ(金盞花)。
別名・カレンデュラ、時知らず、冬知らず
英名・Calendula、Pot Marigold


南ヨーロッパ地中海沿岸地方原産の、キク科の一年草(扱い)。
日本には江戸時代に渡来したといわれる。
日本では古くから観賞用に栽培され、また品種改良も盛んで、房総半島での大規模な切花栽培が有名。

暖地では秋に蒔いて翌春に開花する一年草として扱われるが、越冬が困難な寒冷地では春に蒔く。
耐寒性に優れる一重咲き小輪黄花の品種は冬にも開花し、「冬知らず」の名でも流通する。

草丈は20~80センチほど、柄のないヘラ形の葉が互生し、茎葉には微毛が生える。
春または秋から、茎の先に黄~オレンジ色の頭花を長く咲かせる。
その花はヨーロッパではハーブとして利用されていたという。

「金盞花」は漢名からで、「盞」は杯の意で花の形から。
ちなみに「ギンセンカ(銀銭花)」は、ハイビスカスと同属のアオイ科の植物で無関係。


 キク科 カレンデュラ(キンセンカ)属
属名のCalendulaは、ラテン語のcalendae(月初めの日・calendarの語源)が由来で、毎月咲いているほど花期が長いことからという。
花言葉は「忍ぶ恋」「傷ついた恋」「別れの悲しみ」



サフラン

2011年11月14日 | その他植物



11月上旬写真。

 サフラン。
別名・バンコウカ(番紅花)、薬用サフラン
英名・Saffron Crocus


地中海沿岸地方から小アジア原産のアヤメ科の球根植物で、秋に咲くクロッカスの仲間。
日本ではじめて栽培されたのは明治時代。

観賞用の花というより、染料や薬用、ことにパエリアやブイヤベース、サフランライスなどに欠かせない香辛料として有名。
人類とのかかわりは非常に長く、紀元前から貴重な薬や染料として利用・栽培されてきたという。

秋に伸びる針状の根出葉は翌年の夏前に枯れ、球根だけで休眠する。
生育サイクルが違うだけで、草姿はクロッカスと見分けがつかない。

10~11月に、やはりクロッカスにそっくりな淡紫色の花を咲かせる。
雌しべは紅色で3裂して長く伸び、この雌しべを収穫して乾燥させたものが、生薬・香辛料としての「サフラン」となる。
当然、収量はごくわずかで、現在でも非常に高価なスパイス。(グラムあたり1000円以上)

薬としては、生理関係や更年期障害など婦人病、頭痛、不眠、情緒不安定などに効能があるという。
手軽な利用法としては、10本弱にお湯を注いで色がついてきたところを服用する。
妊婦の服用や大量摂取は避ける。(Wikiによると致死量は12~20g)

「サフラン」の名は、生薬としての名前からで、アラビア語で黄色を意味する語が由来。
「番紅花」は漢名から。


 アヤメ科 クロッカス属
属名のCrocusは、ギリシア語のkroros(糸)が由来で、蕊が糸のように長く伸びることから。
花言葉は「快楽」「節度の美」