goo blog サービス終了のお知らせ 

雀の槍

2012年01月15日 | その他植物





2010年5月上旬写真。

 スズメノヤリ(雀の槍)。
別名・シバイモ(芝薯)


日本中の山野に自生する、イグサ科の多年草。
普通に見られるというが、丈が低くイネ科の雑草に似ていることもあり、なかなか目に留まらない。

草丈は5~30センチほど、根出葉のへりに白長毛が目立つことでイネ科の草と区別できる。
地中には根茎を持ち、飢饉のさいには採取して食用としたとのことで、「シバイモ」の名もある。

4~5月ごろ、茎の先に毛槍状の両性花を咲かせる。
自家受精をさけるためまず雌しべが成熟し、その後雄しべが現れるという仕組みから、雌花と雄花があるようにも見える。

「雀の槍」は、花穂を大名行列の毛槍に見立て、また小型であることから。
かつては「スズメノヒエ」といったが、同名のイネ科植物との混同を避けるため改名された。


 イグサ科 スズメノヤリ属
属名のLuzulaは、ラテン語のlux(光)が由来で、この属のある種が露に輝くさまからという。



鹿子木楓

2012年01月13日 | その他植物







2011年6月中旬。






2011年7月。

 カラコギカエデ(鹿子木楓)。
英名・Amur Maple


山地の湿った場所に自生する、カエデ科の落葉小高木。

樹高は最大で10メートルほどになり、対生する葉は鋸歯があり不揃いに3裂する場合が多い。
葉の形状は非常に差異が大きく、切れ込みの目立たない葉は到底カエデ類とは見えない。

初夏ごろ、花序に両性花と雄花が入り混じった黄緑色の花を咲かせる。
花後にできる実はカエデ類において典型の、対になった翼果だが開き方が狭く、ウサギの耳のように見える。

「鹿子木楓」の「カラコギカエデ」という読みは「かのこぎかえで(鹿の子木楓)」の訛りで、古くなった樹皮が縦に斑に剥がれ、鹿の子模様になるからという。



 カエデ科 カエデ属
属名のAcerは、「裂ける」を意味するラテン語に由来し、葉の形状から。



大地縛り

2012年01月05日 | その他植物



2009年5月上旬写真。

 オオジシバリ(大地縛り)。
別名・ツルニガナ(蔓苦菜)


田んぼのあぜ道や道端などに自生する、キク科の多年草。
ジシバリに比べてやや湿り気を好む。

名前どおりジシバリより大型、葉が細長いヘラ形で基部近くが羽状に切れ込むこともありタンポポを思わせる、など違いはあるが、概ね性質・特徴はジシバリと同じ。


 キク科 ニガナ属
属名のIxerisの語源は不明。



地縛り

2012年01月04日 | その他植物





5月写真。

 ジシバリ(地縛り)。
別名・イワニガナ(岩苦菜)


日本中の日当たりのいい道端などで普通に見られる、キク科の多年草。
ニガナの仲間。

ランナーを盛んに出し、節々で根を張って広がっていくため、畑や花壇に侵入されると厄介な雑草となる。
このはびこり方が地面を縛っているように見えることから「地縛り」。
乾燥に強く岩がちな場所にも進出し、またニガナの仲間で食べると苦味があることから「岩苦菜」ともいう。

オオジシバリに極めてよく似ているが、ジシバリは全体に小柄、オオジシバリの根出葉は長めのヘラ形でしばしば羽状に裂けるが、ジシバリの葉は円形から楕円形で丸っぽく、ほとんど羽状になることはない。

4~6月ごろ、花茎の先にタンポポを小型にしたような舌状花だけの黄花を咲かせる。
雑草扱いとはいえ花の観賞価値は高い。


10月中旬写真。
秋にもまばらに開花する。

草を乾燥させたものを煎じて鼻づまり・健胃の民間薬とするという。



 キク科 ニガナ属
属名のIxerisの語源は不明。



高砂草

2011年12月30日 | その他植物

2009年6月上旬写真。

 タカサゴソウ(高砂草)。


本州・四国・九州の日当たりのいい草地に自生する、キク科の多年草。
開花は4~6月ごろで、白い舌状花は紫がかることもある。

シロバナニガナによく似るが、舌状花が20枚以上と多く、草丈は若干小柄。
多くの県で絶滅危惧種に指定される、減少しつつある植物。

「高砂草」は、能の「高砂」に登場する老夫婦の白髪に花色を見立てて。


 キク科 ニガナ属
属名のIxerisの語源は不明。



苦菜

2011年12月26日 | その他植物











6月写真。

 ニガナ(苦菜)。


山野のいたるところで見られるキク科の多年草。
変種が多く、舌状花が5~7枚のニガナに対して8~11枚のハナニガナ(花苦菜)、白花で舌状花が5~7枚のシロニガナ(白苦菜)、8~11枚のシロバナニガナ(白花苦菜)などがある。
とはいえ舌状花の枚数は同一個体内でも差異が大きく、当然中間型もあり無意味な細分のように思える。

草丈は30~60センチほど、基部が茎を抱くやわらかな葉が互生、茎葉を傷つけると苦味のある白い乳液を出す。
5~7月ごろ、茎の上部に舌状花のみの頭花を多数咲かせる。

「苦菜」は食べると苦いことから。
沖縄で食用とするニガナは別種。


 キク科 ニガナ属
属名のIxerisの語源は不明。



深山刺草

2011年12月23日 | その他植物
雌花。




雄花。




2008年8月下旬写真。

 ミヤマイラクサ(深山刺草、深山蕁麻)。
別名・アイコ


山地の湿った林内などに自生する、イラクサ科の多年草。
イラクサ同様、草全体にヒスタミンを含む刺が生え、触れると刺さらなくても痛みやかゆみを生じるので注意。
「蕁麻疹(じんましん)」という語は、イラクサ(蕁麻)に触れたときの症状からきているという。

にも関わらず山菜としては人気で、若い茎葉をおひたし、和え物、汁の実などにする。
刺は茹でるとなくなるが、採取のさいには厚手の手袋が必須。

草丈は40~80センチほど、全体に刺を生じ、鋸歯があり先端が尾状に伸びる葉が互生する。
イラクサの葉は対生、また葉の形状が似たアカソ類も対生で区別可能。

夏、茎の上部から伸ばしたひも状の花序に雌花、それより下の葉腋からは雄花を咲かせる。


 イラクサ科 ムカゴイラクサ属
属名のLaporteaは、19世紀フランスの裁判官にして昆虫学者でもあったFrancois L.de Laporteの名から。
イラクサはイラクサ属(Urtica)で別属。



青みず

2011年12月19日 | その他植物







2009年9月上旬写真。

 アオミズ(青みず)。


湿った林内など陰湿地に自生する、イラクサ科の一年草。

草丈は20~40センチほど、茎はみずみずしく、鋸歯があり脈の目立つ葉が対生する。
近似種のミズは鋸歯の先が丸く、鋸歯の数が少なく葉先は尾状に伸びない。

ウワバミソウの記事ではミズは食用としないと記述したが、ミズ・アオミズともに茎や葉柄をいつでも山菜として利用できるとのこと。
ミズ・アオミズ以外のミズ属は、関東以西分布の暖地性のものが多い。

7~10月ごろ、葉腋から非常にこまかい雄花と雌花を咲かせる。

「青みず」は、植物全体が青々としてみずみずしいことから。


 イラクサ科 ミズ属
属名のPileaは、ラテン語のpileus(古代ローマのフェルト帽《Wiki参照》)が由来で、この属のある種の実が、萼によって帽子状に覆われることから。




蟒草

2011年12月17日 | その他植物





9月上旬写真。

 ウワバミソウ(蟒草)。
別名・ミズナ、ミズ


山地の湿った斜面や渓流沿いに自生する、イラクサ科の多年草。
東北では山菜として重宝され、ミズ、ミズナとも呼ばれる。
イラクサ科ミズ属にも「ミズ」の和名を持つ植物があるが、そちらは食用とはしない。

草丈は50センチほどで垂れ気味に伸び、茎は多肉質でみずみずしく基部は赤みがかり、鋸歯のある葉が互生する。
雌雄異株で、5~6月ごろ葉腋から白っぽい小花を咲かせる。(写真なし)

山菜としてはおもに春から夏の茎を利用し、葉を取り除き薄皮をむいて油いためやおひたしなどに。
くせはなくシャキシャキとした歯ざわりで非常においしい。
秋に節々にできるムカゴも歯ざわりよく美味。

「蟒草」は、蛇でも出そうな山の暗い場所に生えることから。


 イラクサ科 ウワバミソウ属
属名のElatostemaは、ギリシア語のelatos(弾性)とstemon(雄しべ)が由来で、雄しべが最初は曲がっていて、成熟すると弾力で跳ね上がることから。



ゲラニウム

2011年12月12日 | その他植物





5月末。おそらくゲラニウム・ファエウム系。






6月中旬。ゲラニウム・マクロリズム系か。

 ゲラニウム。


フウロソウ科フウロソウ(ゲラニウム)属の植物の総称。
世界に広く分布し400種以上確認されている大きな属で、園芸品種も数百種に及ぶ。
園芸的に栽培されるのはだいたい耐寒性の多年草で、比較的冷涼な気候を好む。

現在はペラルゴニウム属であるゼラニウム(Geranium)も、かつてはフウロソウ属に分類されており、「ゼラニウム」という名前もその名残。

日本では身近なところでゲンノショウコやヒメフウロが見られ、ゲンノショウコ以外の種類はほとんど(あるいは全て?)「~フウロ」の名がつく。


 フウロソウ科 フウロソウ属
属名のGeraniumは、ギリシア語のgeranos(鶴)が由来で、花後の実がくちばし状に長く伸びることから。